スーパーボール
陽日視点です。
「ただいまー。ん? あれ? これ誰の靴……」
「あぁ、晃人君。おかえりー」
「の、乃々香!?」
「はーい、乃々香でーす!」
買い物に行ってくれていた晃人が帰ってきた。
乃々香ちゃんがいる事に驚いてる。
「仕事かなんかは終わったんだな……」
「終わったよー」
「今日は家で晃人の作るご飯を食べていってね!」
「それはわるいよー」
「全然いいよ! 寧ろ私達も乃々香ちゃんに食べていって欲しいから!」
「そーお?」
「うん!」
乃々香ちゃんのお蔭で晃人も家事をするようになってくれたんだ。
折角だし晃人の作った料理を、乃々香ちゃんにも食べてもらいたい。
「じゃあお言葉に甘えるねー!」
「気合い入れて作るからね! ね、晃人」
「う、うん……」
あれ? 晃人がなんか、元気ない……
折角乃々香ちゃんが食べていってくれる事になったのに……?
「私も手伝うよ」
「ありがとう……」
乃々香ちゃんも手伝ってくれるのに、晃人はどうしてこんなにも暗い顔をして……あっ! 乃々香ちゃんって確か、いつもは料理長とかいう凄い人の作った料理を食べてるんだった。
それと私達の料理では、差がありすぎる……
だから晃人は気にしていたんだ。
「ごめん、乃々香ちゃん……料理長さんに悪いね……」
「え? 全然大丈夫だよ。今日はまだ料理長に夜ご飯を頼んでなかったし」
「そ、そんな感じなんだね……」
お兄ちゃんが乃々香ちゃんから聞いた話だと、乃々香ちゃんはお友達の家に住まわさせてもらっていて、そのお友達がお金持ちらしい。
乃々香ちゃん自身も相当に稼ぎはあるみたいだけど、その料理長さんとかは、お友達の家の人のはずだ。
でも乃々香ちゃんの今の感じだと、自分の都合で料理長さんを振り回しているみたいだったな……
「俺の作るご飯は、その料理長のご飯と比べるなよ!」
「比べないよー。今日は料理対決の日でもないんだからー」
「料理対決なんてあるのか?」
「たまーにね。私も審査員をする時があるんだよー」
「乃々香は本当に変わってるな」
「そうかな?」
「そうだよ」
比べたりする発想自体、乃々香ちゃんには最初からなかったんだろうな。
晃人も安心したみたいだ。
「そういえばさ、あのお祭りでとったスーパーボールはどうしたんだ? 7個あっただろ?」
「あー、あれはね、一番最初にとったキラキラのは、私が部屋に飾ったよ。それと同じキラキラのを大親友の奏海ちゃんにあげたんだー」
「この間きた人、スーパーボールをストラップにしてつけてたよな?」
「ん? まー君の事?」
「多分……」
「まー君には紅葉ちゃんとお揃いで、緑色のスーパーボールをあげたんだよね!」
紅葉ちゃんとお揃い?
紅葉さんって確か、陸君のおばあさんのお友達の……
「ねぇ、乃々香ちゃん? なんでまー君と紅葉さんはお揃いなの?」
「だってあの2人は、恋人同士だからね!」
「そうなの!?」
おぉ! お兄ちゃん、ライバルが1人減ったよ!
「折角なら恋人同士で同じ色の方が嬉しいかと思ってね!」
「そうだね、凄くいいと思う!」
「だから本当はね、くー君にもキラキラのスーパーボールを渡したかったんだけど、キラキラのは2個しかなかったからね……」
「えっ……」
キラキラのは乃々香ちゃんとお揃いになる……
くー君とお揃いにしたかったって事は、乃々香ちゃんはくー君の事が……
いや、それなら大親友の奏海ちゃんにキラキラを渡さずに、くー君に渡してるはずだ。
「奏海ちゃんとくー君も恋人同士なんだね?」
「ううん。くー君はずっとフラれてるから、まだ恋人同士じゃないよー。あははっ!」
なんか、くー君がフラれてる事を乃々香ちゃんは面白がっているみたいだ。
「乃々香はさ、くー君? がフラれてると、嬉しいの?」
「んー? 嬉しくはないけど、やっぱり面白いよね! 子供の頃からもう何回目かも分からないくらいフラれてるからね」
「それなのにくー君は諦めないんだな」
「まぁ、ふってはいるけど、奏海ちゃんもくー君の事が好きだからねー。だから見てて面白いんだよー。この間もいっ君と一緒に、奏海ちゃんとくー君のデート映像を作ったりしたんだー。あれも面白かったなーあははっ!」
折角くー君もライバルから外して大丈夫だと思ったのに、今度はいっ君が話しに出てきたー!
「いっ君には何色のスーパーボールを渡したの?」
それが乃々香ちゃんの好きな色とかでなければ……
「あぁ、いっ君には渡してないよ。7個しかとれなかったからね」
「あ、そうなんだ……」
渡してないなら大丈夫か……
「じゃあ誰に渡したんだ?」
「奏海ちゃんとくー君、紅葉ちゃんとまー君、あとふーじーと日下部君だね!」
また新しい人が登場してきた……
読んでいただきありがとうございます(*^^*)