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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode6 対人関係における偏見編
161/425

あの時の

由佳さん視点です。

 幼稚園に陸を迎えに行くと、


「あ、沢田さん。陸君のお迎えですね。今日はちょっと、陸君にお客さんが来てるんですよ」


と、先生に言われた。

 陸にお客さんって誰だろう?


「陸君ー! お母さん来たよー」

「はーい!」


 パタパタと私の元に走って来てくれる陸。

 こんな甘えてくれるのはきっと、今だけなんだろうと思いながら抱きしめる。


「おかぁさん、ばぁちゃんにおきゃくさんっ!」

「え?」

「あの、初めまして。私はこの照の姉で、陽日と言います」

「は、はい?」


 陸がばぁちゃんにお客さんだと言うと、幼稚園の少し奥から中学生くらいの女の子が出来てきた。

 その女の子が手を繋いでいるのは、陸と同い年くらいの男の子……

 陽日ちゃんと、照君?

 さっき先生が言っていた、陸のお客さんって言うのはこの子達の事だろう。


「えっと、お義母さんにご用事ですか?」

「はい。陸君のお婆さんに是非お話を伺いたいのですが、お会いさせていただく事はできますか?」

「それは、構いませんが……」

「ありがとうございますっ!」


 凄い深々と頭を下げてくれた。

 どういう事情でお義母さんに会いたいのかもよく分からないけど、悪い子達ではなさそうだ。


 ずっと幼稚園で話していても迷惑になってしまうし、お義母さんに合いたいとの事だったので、家まで一緒に来てもらう事にした。

 帰り道で、どうしてお義母さんに会いたいのかを聞いてみる……


「お義母さんには、どういったご用件ですか?」

「あの、話すと少しややこしいのですが、私達は大切な友達を探しているんです」

「友達?」

「はい。かなり変わった子で、いつもペンギンみたいなパーカーを来ている、高校生くらいの女の人なんですけど……」


 ペンギンのパーカーの女の人……


「あぁ、あの時の!」

「えっ! お婆さんだけじゃなくて、お母さんもお知り合いなんですか!?」

「私は知り合いというか、会った事があるだけですよ」

「そうなんですね。その、私達はずっとその友達を探していて、そうしたら照が、陸君が知ってるというのを聞いてきたんです。それで、いきなりで大変失礼だとは分かっていたのですが、陸君に話を聞かせてもらいました」

「ぼくが、ペンギンおねぇちゃんは、ばぁちゃんのおともだちのおともだちっていったのー」

「そう、そういう事だったのね」


 この陽日ちゃんと照君は、あの時私達を助けてくれたあの子を探してるって事か……

 探してるのなら、あの子がスノーフレークの子だって事を知らないって事になる。

 もし知ってたら、いの一番にスノーフレークに行くだろうし……


 どうしようか……

 凄く必死なのは分かるし、早く会いたいのも分かる。

 これは、お義母さんに会ってもらうより、"スノーフレークに行けば会えますよ"って、教えてあげた方がいいのかな?


 でも……

 紅葉さんは確か、自分がスノーフレークだと知られたせいで、お義母さんが狙われたんだと気にしていた。

 自分の自己管理がなっていなかったんだと、謝罪までしてくれた。

 という事は、スノーフレークの人達は、自分がスノーフレークだと話さないようにしてるって事なのかもしれない。


 お義母さんは、最初からスノーフレークの紅葉さんに依頼に行って知り合っているけど、この子達はきっと、普通に出会ってあのペンギンさんとお友達になったんだろう。

 それなら私が勝手にスノーフレークの人だと言ってはいけないな……


「あの、お婆さんにお願いしたら、乃々香ちゃんに会わせていただく事は可能ですか?」

「お義母さんの友人に、紅葉さんという方がいらっしゃいます。その方に頼めば大丈夫だと思いますよ」

「ありがとうございますっ!」

「あのペンギンさんは、乃々香ちゃんって言うんですね」

「あ、名前とかまでは知らない感じだったんですね? そういえばさっき、陸君が助けてもらったとかって言ってましたけど?」

「そうなんです。紅葉さんも乃々香さんも、あと……」

「マジックおにぃちゃん!」

「そうね。私達家族の恩人なんですよ」

「そうなんですね」


 そんな話をしながら、家へと帰ってきた。

 私はお義母さんに事情を説明して、すぐに紅葉さんへと連絡をしてもらった。

 怪しい子達ではないと思うけど、私達が下手な事を話して、紅葉さん達に迷惑がかかるのは嫌なので、紅葉さんに直接来てもらう事になった。

 今日は緊急の用事もないとの事で、すぐに来てくれるみたいだ。


「すぐに来てくれると思うから、待っていてね」

「ありがとうございます!」

「そういえば、その乃々香ちゃんは、連絡先とかを教えてくれていなかったの?」

「あ、そうですね……といいますか、私達が電話を持っていなくて……家にもありませんし、お母さん以外は携帯も持っていないので……お母さんと乃々香ちゃんは会っていませんので、連絡のしようがなくて」

「そう……」

「だから、乃々香ちゃんが"また来る"って言ってくれた口約束しかないんです。日にちや時間を決めて約束した訳じゃないですけど、もうかれこれ1ヶ月以上になりますし……」

「ののかちゃん……」

「大丈夫よ、絶対に会えるから」


 少し不安そうに話す陽日ちゃんと照君……

 そんな2人を宥めながら、乃々香ちゃんとの思い出話を聞いていると、


ピンポーン!


と、インターホンがなった。

 紅葉さんが来てくれたみたいだ。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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