友達の友達
陽日視点です。
乃々香ちゃんの事を知っている人を見つけたという光と照。
2人共かなり興奮していたみたいで、何を言っているのかを解読するのに少し時間がかかってしまったけど、大体の事は分かってきた。
どうも照の行っている幼稚園で、隣のクラスの陸君という子が、乃々香ちゃんの事を知っていると言っていたみたいだ。
照の話では、陸君は乃々香ちゃんとお友達で、呼んだら来てくれるとかなんとか言っていたけど、流石にそんなおかしな話はないと思う……
光や照と乃々香ちゃんが楽しそうに遊んでくれていた事から考えても、乃々香ちゃんは多分子供好きだ。
だからその陸君とも遊んだ事があるのかもしれないけど、だからといって呼べば来るはおかしいだろう。
そもそも、その陸君の話を信じていいのかが分からない……
照は多分、幼稚園でもずっと乃々香ちゃんを探してるって言っていたはずだ。
それを聞いて、知らないのに知ってるといって、照の反応を面白がっている子の可能性だってある……
「ただいまー」
「おかえり、お兄ちゃん」
「どうした?」
「実はね、照が幼稚園で乃々香ちゃんを知ってる子を見つけたらしいんだけど……」
「……えっ! そ、そうか……どこの家の人だ? ちょっと行ってくるっ!」
「ま、待ってお兄ちゃん! こんな夜に迷惑だよっ!」
「そ、そうだな……」
夜遅くに帰ってきたお兄ちゃんは、相当動揺した様子でまた出ていこうとした。
ずっと探していた乃々香ちゃんの事だから、慌ててしまったみたいだ。
どちらかといえばいつも冷静なお兄ちゃんが、こんなになるなんて……
よほど乃々香ちゃんに会いたいみたいだ。
「で、どこの誰なんだ?」
「それがよく分からなくて……幼稚園の陸君っていう子なんだけど、隣のクラスらしいし、照とははじめて話したみたいで……」
「それ、信用出来る話なのか?」
「分かんない……だから、明日その陸君に会ってみようかと思って」
「そうだな、任せた!」
「うん! 任された!」
夜にそんな会話をした次の日……
私は学校が終わってすぐに、照の幼稚園へと走り、照と先生方に事情を説明して、陸君を紹介してもらった。
いきなり知らないお姉さんに話しかけられたりしたら、怖いに決まってる。
だから出来るだけ怖がらせないように、優しく接してあげないといけないという意気込みで、陸君に、
「陸君はじめまして、私は陽日っていうの」
と、笑顔で声をかけてみた。
すると陸君は、
「うんっ! てるくんのおねえちゃんだね!」
と、とても明るく笑ってくれた。
全然私を警戒していないみたいだ。
人懐っこい子なのかな?
でも、これならありがたい。
「照から聞いたんだけど、陸君は乃々香ちゃんとお知り合いなんだよね?」
「うんっ! ペンギンおねぇちゃんだよね? ぼくしってるよ!」
「本当に?」
「あのね、まえにぼくをたすけてくれたの。ペンギンおねえちゃんとマジックおにぃちゃんが!」
……マジックお兄ちゃん?
謎の新たな存在が登場しました……
でも、陸君の様子からは嘘をいって照をからかっているという感じは一切しない。
陸君、疑ってごめんね?
「陸君はその、ペンギンお姉ちゃんとお友達なんだよね?」
「ううん。ぼくじゃなくて、ばぁちゃんのおともだちのおともだちなのー。ばぁちゃんのおともだちがよぶと、ペンギンおねぇちゃんもくるのー」
おぉーっと、これはまた新たな存在の登場だ!
ばぁちゃん……陸君のお婆さんかな?
でもそのお友達のお友達って、これはまた随分と離れていってしまったんだけど……
陸君のお婆さんに話を聞くのが早いかな?
「ねぇ、陸君。私も陸君のばぁちゃんに会いたいんだけどいいかな?」
「うんっ!」
陸君は満面の笑みで返事をしてくれた。
本当にとても可愛い、いい子だと思った。
読んでいただきありがとうございます(*^^*)