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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode6 対人関係における偏見編
156/424

間違い

一輝視点です。

 俺が金持ちを嫌いだと分かってる癖に、乃々香は何故か自分が金持ちであるかのような発言をしてくる……

 その事を少し感情的になって言うと、乃々香に俺が間違っていると言われてしまった……


 俺の何が間違っているのかが分からない……

 でも、ここで更に感情的になってしまえば、俺はもう乃々香と分かり合う事が出来なくなってしまう気がした……

 だから冷静に、冷静に……


「俺の、何を間違ってると思うんだ?」


 ……ちょっと喧嘩腰になっちまったけど、怒鳴ってないし、乃々香も呆れたような態度から変わっていない。

 怖がらせてはいなさそうだ。

 ……いや、乃々香は例え怒鳴っていたとしても、呆れた態度なのは変わらなかっただろうな……

 肝の据わった奴だから……


「私の考え方と一輝お兄ちゃんの考え方が違うのは当たり前だし、これは私の価値観だから、一輝お兄ちゃんに押し付けたいわけじゃないけど……」

「なんだよ?」

「お金持ちだからって人を見下す訳じゃないし、お金を持っていない人を嘲笑って生きてる訳じゃないよ?」

「は?」

「お金を持ってない人だって、人を見下す事はあると思うし、お金を全然持っていなくても、もっと持っていない人がいたら嘲笑う人もいるんじゃないかな?」

「何言ってっ! っ……くそっ!」


 ……これじゃ昨日と同じだ。

 乃々香の言ってる事にムカついたから大声を出して怒鳴り付けた。

 その怒りのままに追い出して、乃々香の意見を聞こうともしなかった。


 ……乃々香が正しいって思いたくなんてなかったから……


 あの時乃々香が言った、


"金持ちは、お金を持っているからこそ、お金では買えないものがあることを知ってる"


というのは、俺の今までの考えを全て否定するような言葉だった。

 そして俺は、そっちの方が正しいんじゃないかと、思いかけてしまった……

 だから急いで乃々香を追い出したんだ……

 そんな事、認めたくなくて……


 でも乃々香は今、自分と俺の価値観が違うと言ってきた。

 俺に自分の価値観を押し付けたい訳じゃないと言ってまで、俺に自分の間違いを気付かせようとしてくれてるんだ……


「ねぇ、一輝お兄ちゃん……」


 乃々香が俺を目を、真っ直ぐに見つめて聞いてくる……


「一輝お兄ちゃんが本当に嫌いなのは、"お金持ちの人"なの? それとも、"人を見下している人"なの? どっち?」

「そ、そんなの……」


 そんなの、答えは決まってる。


「俺は、人を見下す奴が嫌いなんだ!」


 そこに、金持ちかどうかなんて、関係ないんだ!

 俺はいつの間にか、金持ちなら絶対に人を見下すものだと、決めつけてしまっていたんだな……


「そうだよね? やっぱり、そうだよねっ!」


 乃々香は、さっきまでの呆れたような顔が嘘だったみたいに破顔して、凄く喜んでくれた。


「私も嫌いだよ! 人を見下す人なんて」

「あぁ」

「私はきっと、一輝お兄ちゃんのいうお金持ちに該当しているけど、自分が嫌いな人を見下すような人には、ぜったいになりたくないと思ってる」

「あぁ、そうだな……乃々香は人を見下したりなんてしてないな」

「だねよ? じゃあ、一輝お兄ちゃんは、私の事を嫌いじゃないんだね?」

「き、嫌いじゃない……」

「私、金持ちだよ?」

「分かったって!」


 あいつが金持ちで、人を見下してる奴だったからって、俺は嫌うべき存在を間違えていた。

 金持ちという事を気にしすぎて、勝手に金持ちに対する偏見を持っていた。

 その事に乃々香は気付かせてくれたんだ。

 そんな乃々香を、俺が嫌いな訳がない!


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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