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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode6 対人関係における偏見編
151/424

無視

一輝視点です。

「お、おはよう……」

「……」

「陽日……」

「……」

「おはよう、晃人」

「……」

「光、照……」

「ふんっ! かずにいちゃんなんかとはなさない!」

「そーだ、そーだ!」


 朝起きて、弟妹達に無視された……

 こんな事は初めてだ。

 皆俺の事を慕ってくれていて、俺もそれが誇りだったのに……


 こうなってしまった原因は分かってる。

 昨日、俺があの金持ち……"乃々香"を家から追い出したからだ。

 金持ちなんて、俺達みたいなのをバカにしているだけだ。

 それはいつも皆にも言ってたし、皆も分かってくれてると思ってたのに……


「なぁ、陽日……」

「……」


 俺を睨んでくる陽日……

 昨日の夜、


「お兄ちゃんがここまで最低だなんて思ってなかった!」


と言われてから、陽日は一切口を聞いてくれない。

 確かにまぁ、ちょっとやり過ぎたとは思ってるけど……


「皆、朝ご飯だよー」

「はーい」

「わー、おいしそう!」

「晃人が手伝ってくれたんだよー」

「あきにいちゃん、すごいねー」


 朝ご飯を陽日が用意してくれた。

 もちろん俺の分もある。

 怒ってて、無視をしてくるとはいえ、ご飯抜きとかにはしないんだな……陽日らしい。


「凄いな、晃人。陽日と一緒に作ってくれたのか」

「……」

「いただきます。……おっ! 凄く美味しいぞ!」

「……乃々香が、家の手伝いをしろって……」

「え?」

「乃々香いなかったら、作らなかったってだけ!」

「そ、そうか……」


 晃人はそれだけ言って話してくれなくなった……

 乃々香が言ったからか……


「ごちそうさまーっ!」

「はるねえちゃん! スーパーボールであそんでていい?」

「うん。でも、なくさないようにね」

「はーい」

「なんだ? そんなの家にあったか?」

「これは、きのうののかちゃんが……」

「てるっ! かずにいちゃんとは、しゃべらないのっ!」

「あ、そうだった!」


 光と照が遊びだしたので話しかけてみたけど、やっぱりダメだった。

 というか、これも乃々香か……


カチャ……カチャ……


 陽日が食器を片付けてくれている。

 手伝うか……


「ありがとな、陽日。ほら」

「……」

「いつも家事とかありがとな。1人で大変だろ?」

「……昨日は、乃々香ちゃんが手伝ってくれたからね。そんなに大変じゃなかったよ」

「うっ……あ、あのなぁ……乃々香、乃々香って、あいつは金持ちだったんだぞ?」

「……しつこい」


 しつこいって……

 陽日にそんな事を言われるなんて……


「陽日、金持ちっていうのは、俺達をバカにして生きてるんだ!」

「じゃあ乃々香ちゃんは、私達をバカにしてたの?」

「あぁ! そうだよ! そうに違いないんだ!」

「……昨日、お兄ちゃんお風呂に入ったよね?」

「え? あ、あぁ……」

「何も思わなかった?」

「何も……? うーん?」

「……最低」


 また最低とか……

 しっかりものの陽日に言われると、かなり傷つくんだけど……

 風呂で何を思えっていうんだ……?


「あー、そうだな。いつもより綺麗だなって思ったよ。脱衣所とか、トイレとかも綺麗だったな」

「……」

「昨日は掃除も凄い頑張ってくれたんだよな! ありがとう、陽日」

「……違う。私じゃない」

「は?」

「私もあそこまで綺麗だとは思ってなかったから、かなりビックリした。乃々香ちゃん、あんなに綺麗にしてくれたんだって……」


 乃々香……

 そういえば昨日、乃々香が風呂掃除したとかなんとか言ってたな……


「ねぇ? あんなにしてくれる人が、本当に私達をバカにしてたと思う?」

「で、でも、祭り屋台のご飯とか、恵んだりとかしてきたんだろ? 明らかに俺達に情けをかけてやったって感じじゃないか」

「兄ちゃん! 乃々香はそんな感じじゃなかったよ! 俺達が恵んでもらうのはダメだって言ってるのも考慮して、それでもって買ってくれたんだ。バカになんてしてなかった!」


 陽日と晃人が、2人して乃々香の肩を持ってくる……


「兄ちゃん、いい加減にしてくれ。俺は兄ちゃんの事が大好きだ。いつも俺達の事を気にしてくれてるし、頼りになるし……俺の目標だった」

「晃人……」

「でも、今の兄ちゃんは最低だ……」

「お兄ちゃん、ちゃんと乃々香ちゃんに謝って」

「うぅ……」


 2人がまっすぐに俺を見て言ってくる……

 俺が間違ってた……のか?

 でも、あいつは金持ちで……

 でも、俺の家族にこんなに優しくしてくれて……

 でも、でも……


「とにかく、乃々香ちゃんを見つけないと話にならない」

「そうだ。はる姉ちゃんはまだ家事があるだろ? 俺、とりあえず探してくるよ」

「うん。私も家事が終わった行くね。見つけたら、とにかく家に呼んで。ちゃんと話し合おう。あ! 見つからなくても、お昼ご飯までには必ず家に戻って来てね」

「分かった。行ってきます」


 晃人は乃々香を探しに出ていった。

 陽日も行くつもりか……


「はるねえちゃん! わたしもいくー」

「光と照は遠くに行ったらダメだから、あの公園で遊んでいて。もしかしたら、乃々香ちゃんが来るかもしれないし」

「うん!」

「お昼には必ず帰ってくるんだよ?」

「はーい!」


 光と照まで……


「お兄ちゃんは? どうするの?」

「……行ってくるよ」

「うん」

「乃々香を見つけて、謝って、家に連れて来ればいいんだろ?」

「うん」

「行ってきます……」


 昨日は感情的になりすぎていた。

 それは分かってる。

 だからこそ、俺はもう一度ちゃんと話さないといけない……んだ……


 あまり気乗りはしないけど、俺がまねいた事だし……

 とりあえず、バイトのない午前は乃々香を探すとしよう……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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