15 1-15 変な奴
チンピラ手下視点です。
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「こんばんは。私はアイツを消して欲しいんだもの。こんなバカを使わなくて、聞いてくれれば普通に答えるわ」
ガキは赤い羊と話している。
また俺の事をバカにしてやがるし、一発食らわしてやりたいところだが、流石に殺し屋との電話の邪魔は出来ない。
ただこのガキの偉そうな態度は気に入らねぇ……
「え? 帰りたくない理由? そうね、特に理由がある訳では無いのだけれど……何となく、ね。あの家には、本当は皆居たのよ。でも今は私だけなの。誰も居ないのよ。だから何となく……」
完全に俺を無視した状態で話しやがって……
にしても、これだけ歩いてた理由がないってのはな。
本当にただの無駄歩きだったんじゃねぇか。
俺はそんな無駄な事に付き合わさせられていたんだと思うと、怒りも余計に込み上げてくる。
「えぇ、勉強は学校で出来るし、食事も外で出来るわ。だから私にとってあの家は、お風呂と睡眠の為の場所でしかないのよ。急いで帰る必要性もないでしょう?」
自分の家を風呂付きの寝るだけの場所だと思ってるとか……本当に変な奴だな。
まぁコイツ、誰か殺そうとしてるんだしな。
変な奴で当たり前か。
親もいないとか言ってたし、碌な育ち方をしなかったんだろう。
俺が言えた義理じゃねぇけどな。
「他には何かある? ……そう。なら、こんなバカはもう使わないで頂戴ね。邪魔でしかないんだから。もちろん尾行や盗聴を止めて欲しいという意味ではないわ。こういうバカでなければ、あなたの好きなようにしてくれて構わないから」
電話が終わると、ガキは俺に一言の挨拶もなく去っていった。
挨拶がねぇどころか、こっちを見もしなかった。
どこまでもムカつく奴だ。
本当はガキだとか、女だとか関係なく殴って謝らせたかったが、それで騒ぎにでもなって計画の邪魔だとか言われた時には、俺が殺られるかもしれねぇからな。
今は堪えておくのがいいだろう。
一応既に100万は貰ってるんだし、当分金には困らない。
アイツらの計画とやらが終わった時にでも、殴りに行ってやるとするか。
読んでいただきありがとうございます(*^^*)