ペンダント
陽日視点です。
乃々香ちゃんのお陰で、晃人はお家のお手伝いを頑張ってくれる事になった。
「今日の夜ご飯は、お祭りで買って来た物と、さっき用意しておいた分があるけど、明日の朝御飯はまだ用意してないの。晃人、手伝ってくれる?」
「あぁ」
「陽日ちゃん、私も手伝うよ!」
「ありがとう! 乃々香ちゃん」
まさか、あの晃人と一緒に朝御飯の用意をする日がくるなんて……
これは何とも、感慨深い……
あとでお母さんとお兄ちゃんに報告しないと!
「う……う~ん? あれ? はなびは~?」
寝ちゃってた照が起きたみたいだ。
でも困ったな……
私は今、ちょっと手が離せない……
「私が行くよ」
「うん」
「照君、花火は終わっちゃったよ。一緒に最後のわぁーって奴、見たでしょ?」
「え? あぁ……うん。みた」
「あれで終わりだよ。残念だね……」
「うん……でも、ののかちゃんのおかげで、たのしかったよ!」
「そう? それはよかった!」
乃々香ちゃんが少し寝ぼけ気味の照と話してくれている。
もう一回寝てくれるといいんだけど、あの様子はどうも、目が冴えちゃったみたいだ……
「あれ? でもぼく、どうやってかえってきたの?」
「私がおんぶしてきたよ?」
「ののかちゃんがおんぶ! えーおぼえてないよー! もういっかいっ! もういっかい!」
「いいよー」
「わぁーい!」
照の嬉しそうな声がキッチンにまで響いてくる。
乃々香ちゃん、ごめんね……
「あーっ! てるばっかりずるい! ののかちゃん! わたしもー!」
「いいよー!」
「ありがとー!」
今度は光まで参戦したみたいだ。
「ん? あれ? ののかちゃん、なにかキラキラしてるよ?」
「え?」
「ほら、くびのところ」
「ん? あぁ、これね。ほら、ペンダント」
「「ペンダント?」」
「うん! 私の宝物なんだ!」
「へぇー、見せて見せてー!」
「うん、いいよ」
なんか、乃々香ちゃんの宝物のペンダントを見せてもらってるみたいだ。
あれ? 乃々香ちゃんって、ペンダントなんてしてたっけ?
気になったので、ちょっと振り替えって様子を見てみると、乃々香ちゃんは服の中に隠すように下げていたペンダントを首から外して、光と照に渡してくれていた。
きっと、光をおんぶしてくれたから、光にはペンダントが見えたんだろうな。
でも大切な宝物なのに、光と照に渡しちゃっていいのかな?
光も照も人の物を壊したりするような子じゃないけど、それは私だからそう思うだけだ。
乃々香ちゃんが、自分の宝物を幼い子ども達に渡してしまうというのは、今日会ったばかりなのに、乃々香ちゃんは光と照の事を信用してくれているからこそなんだろうな。
私もあとで見せてもらおう!
「はる姉ちゃん、これであってる?」
「ん? おぉー、いいね! 凄く美味しそうだよ!」
「本当?」
「うん! じゃあ次は、ここをこうして、こうね!」
「分かった!」
晃人が凄く素直に私の指示を聞いてくれている。
本当に今日は驚く事ばかりだ。
これも全部、乃々香ちゃんの影響で間違いない!
早くお母さんとお兄ちゃんに、今日の色んな事をたくさん話したいなぁ……
と、そんな事を考えながら、朝御飯の準備をしていると、
「ただいまー」
と、お兄ちゃんが帰ってきた声が聞こえてきた。
読んでいただきありがとうございます(*^^*)