表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode6 対人関係における偏見編
146/424

帰路

陽日視点です。

「皆、本当にありがとー!」

「私達も楽しかったー!」

「陽日ちゃんとこんなにいられたの、初めてだったもんね!」

「また、来年も一緒に来ようね!」

「うん! じゃあまた、学校でー!」


 友達達と別れて、家に帰る。

 本当に、こんなに盛り上がったのは初めてだった。

 いつもは、皆の行動にばかり意識を飛ばして、ゆっくり花火をみたりする事も出来なかったし……

 最高に楽しいお祭りだった。

 これも全部、乃々香ちゃんのお蔭だ。


 乃々香ちゃん達、大丈夫かな?

 光も照も、まだ幼いとはいえしっかりしてるし、晃人も私にだけは反抗期だけど、基本的にはしっかりしてる……はず……

 乃々香ちゃんに迷惑かけてないといいけど……


 そんな事を考えながら帰り道を歩いていると、


「あ、はるおねえちゃんだー!」


という、光の声が聞こえきた。

 横の道を見ると、光が晃人と手を繋ぎながら、とても楽しそうに手を振ってくれていた。

 隣には、照を背負いながら歩いている乃々香ちゃんもいる。

 照は寝てしまっているみたいだ。


「皆おかえりー、楽しかった?」

「あのね、あのねっ! ののかちゃんがピョンピョンってのぼってね、みんなではなびみたんだよ!」

「そっか、良かったね!」

「うん!」


 光が凄く楽しそうに笑って話してくれた。

 ちょっとよく分からないけど、凄く楽しかったんだなって事は分かる。


「お祭りの方では会わなかったね」

「そうだね。陽日ちゃん達はちゃんと花火見れた? 楽しかった?」

「うん、花火も見れたし、楽しかったよ! ありがとう、乃々香ちゃん!」


 気掛かりだった皆も、こうして無事だし、私もとても楽しかった。

 お兄ちゃんが楽しめなかったという事さえなければ、本当に最高のお祭りだったと思う。


 晃人も、口には出さないけど、楽しかったって感じの顔をしてるし……


「って、晃人! こんなに買ってもらったの?」

「あぁ、これは……」

「ダメじゃん! ちゃんと2千円でおさめてって……」


 晃人が持っていたのは、焼きそばに、たこ焼きに、お好み焼き……

 こんなに買ってもらっちゃって……


「陽日ちゃん、陽日ちゃん! ちゃんと、2千円でおさめたから! 安心して」


 いや、明らかに2千円以上の買い物をしてるから……

 しかもよく見ると、光と照はスーパーボールまで持ってるし……


「あのね、乃々香ちゃん。家のルールは、恵んでもらう事に慣れないためにも、自分達の事は自分達で賄う事なんだよ。だから、乃々香ちゃんの気持ちは嬉しいけど、乃々香ちゃんが払ってくれたんだから、この分のお金は返すよ。何円?」

「はい、お釣り」

「え?」


 私が乃々香ちゃんに説明をして、お金を返そうとすると、乃々香ちゃんはお釣りと言って、1700円を渡してきた……


「最初に預かった、2千円のお釣りだよ」

「これだけ全部で300円? ないない、流石にあり得ないから」

「でもそれが、ありえちゃったんだなー」


 乃々香ちゃんはふざけてるようにしかみえない。

 こういう楽しいテンションに、流されちゃったのかな?

 まだ幼くてもしっかり断れると思ってたんだけど……


「あのさ、はるねぇちゃん。本当に、最初の2千円からしか、使ってないから……」

「どういう事?」

「乃々香がさ、射的で大当たりを当てて、それで5千円をもらったんだよ。で、そこから買ったから」

「そうそう! ね、ちゃんともらった2千円からしか、使ってないでしょ?」

「え、えぇ……」


 こういう場合は、恵んでもらった事になるの?

 どうなるんだ?


「私の射的代、この2千円から使わせて貰ったから、なんなら私の方が恵んでもらってるんだよ!」


 確かに……? いや、納得したらダメか!


「なんなら、スーパーボールもやらせてもらったからね!」

「めっちゃ下手だったけどな」

「これから上手くなればいいんだよ」

「ふーん……」


 なんか、晃人とも仲良さそうに話してるし……

 もう大混乱だ……


 えっと、とりあえず……

 どうしたらいいのかは、お家に帰ってから、考えよう……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ