表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode6 対人関係における偏見編
145/424

いい加減

晃人視点です。

「そろそろ花火が始まるね!」

「みえるかなぁ?」

「見える所に行こっか!」


 乃々香はそう言って、お店の並んでいない裏の方へと入っていった。

 俺達も続いて入る。


「乃々香? こんな裏から見えるのか?」

「ちょっと待っててね……」


 何をするのかと思って見ていると、乃々香はぴょんと跳ねて木の上に上った。

 本当に一瞬で、どう上ったのかもよく分からなかった。


「すごーい!」

「ののかちゃんは、やっぱりとべるペンギンさんなんだね!」


 光と照は、あまり驚いていない。

 きっと一緒に遊んでいた時にでも、今のジャンプを見たんだろう。


「よっと、あっちに行こっか。花火の上がる位置と角度から計算しても、あそこからなら見えると思うよ!」


 木から簡単に降りてきた乃々香は、花火が見える位置を見つけたみたいだ。

 なんか、ちょっと難しい事を計算したらしい……


「もしかして乃々香って、意外と頭いいの?」

「意外とは失礼な。私は目茶苦茶頭いいんだよっ!」

「◎◎大学とか、卒業してるの?」

「私、まだ16歳だから、大学生じゃないよ」

「え? 16歳?」


 だったら兄ちゃんより年下じゃん。

 兄ちゃんは誕生日のきてる18歳だから、高校3年生だ。

 乃々香は兄ちゃんの1個下か、2個下か、どっちだろう?


「乃々香って、高校2年生? どこ高校なの? 兄ちゃんの後輩?」

「年的には高校2年生だけど、高校は行ってないからね」

「え? 中卒?」

「うん!」


 そんな自信満々に言われても……


「何で高校行かなかったんだ? 頭いいんだろ?」

「高校に行って勉強するよりも、やりたいことがあったからね」

「何それ?」

「……ほらっ! 晃人君! 急がないと花火が始まっちゃうよ! 花火、花火っ!」


 思いっきり話を反らされた。

 ってことは、教えてくれる気はなんだろう。

 それなら深く聞くのはやめておこう。


バーン! ババーン!


「あー、みえないぃ……」

「もうちょっとだからね。頑張って歩こうね!」

「うん!」


 乃々香が見つけたという、花火の見える場所に向かって歩いていく。

 途中で花火ははじまってしまったみたいだ。


「ほら、もうすぐだよ!」

「わぁ!」


バーン! バンバーン! ババーン!


「すごいっ! きれーだね!」

「こんなにきれいにみれたの、はじめてだよ! ありがとう、ののかちゃん!」

「いえいえ、どういたしまして」


 少し高い丘の上。

 本当に穴場のようで、他にお客さんはいなかった。

 俺達の貸しきりだ。


「元々この場所を知ってた訳じゃないんだろ?」

「うん。さっき上から見つけたんだよ!」


 上からなら見つけやすいか……いや、そんな訳がない。

 もう辺りも暗くて、上からみたって灯りのないところはみえないはずだ。

 余程目がよくないと、こんな穴場を上から見つけるのは無理だ。


「乃々香って、目がいいんだな……」

「まぁねー」


 いい加減な返事……

 これも真面に答える気はないのか……


「晃人君! 考え事なんてしてると、花火終わっちゃうよ!」

「そんなに早くは終わんないよ! 始まったばかりなんだから」

「そうなんだ」

「乃々香は、今まで花火を見た事ないのか?」

「こんなに盛大なのは初めてだね! 地元の可愛い感じのなら、皆でよく見てたよ!」

「へぇー。地元ってどこ?」

「どこだろうねぇ?」

「まぁ、何処でもいいけど」


 もう乃々香の事を気にするのはやめよう。

 気にしたってしょうがないんだ。

 悪い奴じゃないんだし、"変な奴"って事で納得してしまおう。


「またいっしょにみよーね、ののかちゃん!」

「おっ! 誘ってくれるの? 嬉しいな! でもごめんね、来年は一緒に見られるか、分からないよ」

「えー」

「一緒に見られるといいね!」

「う、うん……」

「乃々香、そこは嘘でも、一緒に見ようって言えばいいだろ?」

「出来ない事を約束する訳にはいかないよ。でも、一緒に見られるように努力はするから!」

「うん! あきにいちゃん、わたしもののかちゃんにもつごうがあるってわかってるから!」

「そうか……」


 光……なんというか、大人になったな……


「あきにいちゃん。はなび、きれいだね!」

「そうだな」


 はる姉ちゃん達も、楽しく花火を見てるかな?

 兄ちゃんも一緒に見られてたら、もっととよかったのにな……


「来年はきっと、お兄ちゃんとも見られるよ!」

「……別に、俺は」

「素直じゃないな、晃人君は」

「お前が素直過ぎるんじゃないか?」

「わーい、ほめてもらったー!」

「ほめてない!」


 本当に、来年こそは兄ちゃんと一緒にみたいな。

 出来れば母さんと、の……乃々香も一緒に……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ