話し方
陽日視点です。
急に帰ってきて、今日のお祭りは一緒に行けなくなったと言ってきたお兄ちゃん。
私もたまには友達と行きたかったし、残念に思ったけど、乃々香ちゃんが代わり行ってくれるみたいだ。
お兄ちゃんも乃々香ちゃんに任せるって行ってくれたし、これで私は友達といく事ができる!
乃々香ちゃんに感謝だ。
でも、本当によかったんだろうか?
「乃々香ちゃん、本当によかったんだよね?」
「うん。大丈夫だよ。あ、陽日ちゃんも私の事、信用出来ない?」
「ううん、信用してるよ」
「ありがとーう」
乃々香ちゃんは、ちゃんとしっかりした人だと思うし、光と照もかなり懐いてるみたいだから、大丈夫だと思う。
問題は、晃人だ。
「あのね、乃々香ちゃん。光と照の上に、もう1人弟がいるんだけど」
「あぁ、晃人君?」
「あ、それも名前見たんだね」
「うん。その晃人君がどうかした?」
「晃人は今10歳なんだけど、本当に凄くやんちゃなの。見張ってないとすぐに何処かに行っちゃうし、一番要注意なの!」
光と照もあまり落ち着きはないけど、ちゃんと言うことを聞いてくれる。
でも晃人は反抗期もあるのか、ずっと自分勝手だ。
今日だって、いきなりお友達の家に遊びに行くーって出て行っちゃったし……
「そうなんだね! 元気でいいね!」
「だからお祭りの付き添い、結構大変だと思うけど……」
「大丈夫! 人探しとか見張りとかには慣れてるから」
「え?」
「晃人君を迷子にさせたりなんて絶対にしないから、安心してね!」
乃々香ちゃんは笑ってそう言ってくれた。
本当に任せて大丈夫だという安心感もあるし、その点はあまり心配していないんだけど、何で見張りなんて慣れてるんだろう?
やっぱりちょっと変わってるな……
「あ……あぁ、ののかちゃん……」
「あ、光ちゃん! 起きたんだね! おはよー」
「よかった……ののかちゃん、まだかえってなかった!」
「うん」
昼寝をしていた光が起きてきた。
起きて一番に、乃々香ちゃんを探していたみたいだ。
やっぱり寝てる間に、乃々香ちゃん帰ってもらわなくてよかった。
「光ちゃん、今日ね、一輝お兄ちゃんは一緒にお祭り行けないんだって。だから、私と一緒にいこ!」
「え? かずにぃちゃん、いけないの?」
「うん。私でごめんね」
「そっか……でも、ののかちゃんがいっしょなのもうれしいよ」
「私も光ちゃんと一緒で嬉しいよ! 1人でお祭りに行くのは寂しかったからね!」
乃々香ちゃんが光に話してくれた。
光はお兄ちゃんと行けない事が少し残念そうではあったけど、ちゃんと分かってくれた。
乃々香ちゃんの話し方が上手いからかな?
「光ちゃんは、お祭りで何を食べたい?」
「え? うーん? たこやき?」
「あ、乃々香ちゃん。その、あんまりお金ないから、できるだけ皆で分けれるような奴を買ってね」
「ん? そうなの? それなら私が買うよ。光ちゃんも照君も、食べたいものを言ってね」
「ううん。そういうのはダメだから……」
「乃々香ちゃん、そんなの悪いから……晃人、光、照の3人で2千円くらいでおさめてくれればいいから……」
多分乃々香ちゃんは、知らない人にも簡単に奢ったりしちゃうタイプのお姉さんだ。
でもそれに甘えてちゃダメだし、自分達の生活は自分達で補っていかないといけない。
光もちゃんと断れてるので、成長したなぁと思えた。
「そっか……分かった。2千円におさめるよ!」
「晃人はちょっと我が儘なところがあるから、何を買うか纏めるのは難しいと思うけど……」
「大丈夫! 私に策があるから!」
「策?」
「ちゃんと皆の希望を聞けるようにするね!」
「う、うん。よろしくね」
乃々香ちゃんの策ってなんだろう?
少し気になるけど、多分大丈夫だよね?
読んでいただきありがとうございます(*^^*)