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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode6 対人関係における偏見編
138/424

得体

一輝視点です。

 家の中から登場した、よく分からない"乃々香ちゃん"という女……


「陽日、何でその、乃々香ちゃん? が家にいるんだ?」

「あ、さっきね、光と照が迷惑をかけたみたいで、お礼をするって言って連れてきたんだよ」

「そうなのか……」


 かなり変な奴のように見えたけど、光達が世話になったんなら無下にもできない。


「あの、ありがとな。なんか妹達が世話になったみたいで」

「大丈夫だよー、気にしないでね。で、お祭りはどうするの?」

「いや、流石に任せる訳には……」

()()お兄ちゃんは、私が信用出来ないのかな?」

「あぁ……まぁ……」


 そりゃ、いきなり現れた知らない人に、幼い兄弟達を任せられる訳はない。

 ……あれ? ちょっとまてよ……

 俺、名乗ったか?


「何で、俺の名前……」

「お風呂掃除ついでに脱衣所とかも掃除してたら、結構あちこちに皆の名前が書いてあったからね」

「風呂掃除……陽日、この人に風呂掃除をしてもらってたのか?」

「うん。乃々香ちゃんが暇だから手伝いたいって言ってくれてね、お願いしたの」


 陽日はとてもしっかりした自慢の妹だ。

 その陽日が、得体の知れない変な奴に家の仕事を頼むとは考えにくい……

 となると、この乃々香とかいう女は、信頼できるやつなのか?


「陽日、本当にこいつ、信用出来るのか?」

「うん。ちょっと変わってる気がするけど、凄くしっかりした人だと思うよ」

「そんなぁ、しっかりしてるだなんて、照れちゃうよ」


 これがか?


「私は光達の事を任せても大丈夫だと思う。あ、もちろん乃々香ちゃんさえよければだけどね」

「私は大丈夫だよー!」

「で、でも……」


 やっぱり、ちょっと不安だ。

 あいつ等はまだ幼いんだし……


「じゃあ、一輝お兄ちゃんに信用してもらうために、特別にこれを貸してあげよう!」

「ん? 携帯?」

「私の携帯だよー。ここをこうして、こうすると、ほら、ね。私の居場所が分かるんだよ」

「GPS? 凄いね、乃々香ちゃん!」

「でもこれいいのか? 大事な連絡とか、入るかも知れないだろ?」

「いいよ。なんたって今日は、"何が起きても絶対に呼ばない"日らしいからね!」


 なんだ? その日は……

 なんか、若干不機嫌そうだな……

 本当に変な奴……


 でも携帯を渡してくるって事は、こいつも俺にちゃんと信用してほしいって事なんだろうな。

 俺は携帯なんて持った事がないからよく分かんないけど、自分の携帯を人に触られるのは誰もが嫌がる事らしいし……


「あっ俺、そろそろバイトに戻らないと……」

「私の事は信用できそう?」

「あぁ……ああ! なら、悪いけど乃々香、俺の兄弟達の事、よろしく頼む」

「もちろんだよ! まだこれからもお仕事あるんでしょ? 頑張っていってらっしゃい、一輝お兄ちゃん」


 いや、お前のお兄ちゃんではないんだけど……

 確かに変わってはいるが、話しをしていても全く不快にならない話しやすさがあるし、こんな見た目の奴なのに、謎の安心感もある。

 まぁ、任せても大丈夫だろう。


「お土産期待しててねー!」

「いってらっしゃーい!」


 頼りになる妹と、頼りになるのかよく分からん女に見送られながら、俺はバイトに戻った。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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