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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode6 対人関係における偏見編
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乃々香ちゃん

一輝(かずき)視点です。

「えぇっ!? 今日来られない? 困るよぉ……」


 バイト中、店長が電話越しにそう言っているのが聞こえた……

 電話相手はおそらく、今日俺の後にシフトに入っていた誰かだろう。

 若干の嫌な予感も感じつつ、仕事を続ける……


「うん、うん……あぁ、それは仕方ないね……うん、分かったから、そんなに謝らなくていいから……うん、何とかしてみるよ……はい、はーい」


 電話を切った店長……

 すぐに、


「おーい! 一輝くーん!」


と、呼ばれた……

 やっぱり、嫌な予感が的中している……


「はい、なんですか?」

「今日さ、前半だけって話だったけど、後半もお願いしたいんだ」

「すみません。俺、今日はちょっと……」

「そこをなんとかっ! 本当に、今一輝君に断られたら、このお店終わりだから!」

「でも……」

「お願いっ! ねっ、ねっ?」


 今日は皆を連れてお祭りにいく予定だったのに……

 まぁ、お祭りに行きたかったというか、いつも皆の面倒を任せっきりにしてる陽日に、友達と楽しく過ごしてもらいたかったんだけど……


 でも、いつもお世話になってる店長からの頼みだし、断れない……


「はぁ、分かりました」

「ありがとうっ! 本当にありがとうっ!」


 ごめんな、陽日……


「じゃあちょっと、家族に連絡してきてもいいですか?」

「あぁ、今なら抜けても大丈夫そうだからね。行ってきていいよ」

「はい」


 お店を抜けて、走って家に帰る。

 俺は携帯なんて持ってないし、うちには電話なんてないから、連絡は家に帰らないとできない。

 とはいっても、そんなに遠い訳でもない。

 歩いて10分程度の距離だ。


 家に着き、玄関から、


「ただいまー。陽日ー?」


と、陽日を呼ぶ。

 あまり長くもいられないので、靴を脱ぐ時間がもったいないから、家には上がらない。


「おかえり、お兄ちゃん。早かったね」


 パタパタと走りながら、陽日が来てくれた。

 今日も家の仕事をやってくれていたんだろう。

 そんな陽日に、本当に申し訳ないと思う……


「あぁ、陽日……その……」

「ん?」

「悪いんだけどさ、この後のバイトの人が急に来れなくなっちゃったみたいでさ、代わりに入ってくれって……」

「え?」

「だから今、それを伝えに来た……」


 陽日の顔が一気に曇っていく……

 そりゃそうだよな、友達と一緒にいけるって、あんなに喜んでたんだから……


「お祭り……どうするの? 晃人と光も照も、お兄ちゃんとお祭りに行くのを、楽しみにしてたんだよっ!」

「分かってるよ……だから、ごめん……」


 本当にそうだ……

 いつも一緒に遊んでやれない俺が一緒だっていって、あいつ等も相当楽しみにしていた……

 俺だって、これでも結構楽しみにしてたんだ……

 でも、どうしようもないし……


「それ、私に行ってやってって事だよね?」

「うん……」


 陽日は俺の気持ちも全部察してくれたようで、


「分かったよ……友達には、今日は家族と行くことになったって、連絡しておく……」


と言ってくれた。


「本当にごめん……」

「いいよ。バイト、頑張ってね」

「あぁ……」


 その上、無理して笑って、俺を送り出そうとまでしてくれている。

 本当によくできた妹だ。


 陽日に見送られながら、もう一度バイトに戻ろうとしていた時、


「今の話、光ちゃん達とお祭りに一緒にいく、保護者的な人が必要なの?」


と、変わった格好の女性が話しかけてきた。

 それも、家の中から出てきたけど……ってか、誰だ?


「乃々香ちゃん? あ、うん。そうだよ」

「私が着いて行こうか? そうしたら、陽日ちゃんは友達と行ける?」

「え? でも、悪いよ……だってお祭り、夜だよ? 乃々香ちゃんだって、帰らないといけないでしょ?」

「ううん。私、もともとお祭りに行くためにここに来たから。だから大丈夫!」

「そうなんだ……」


 何か、陽日と普通に話してるけど……


「お、おい、陽日? この人は?」

「乃々香ちゃんでーすっ!」

「あ、うん。乃々香ちゃんだよ、お兄ちゃん」

「は?」


 ペンギンみたいなパーカーを着てる、歳は俺とそんなに変わらなさそうな眼鏡の女。

 しかも、結構可愛い……


で、結局乃々香ちゃんって、誰なんだよっ!?


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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