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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode6 対人関係における偏見編
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保護者

陽日視点です。

 光と照が連れて来た乃々香さんは、少し変わった人だけど、とても優しい人だと分かった。

 怪しい不審者とかではなさそうなので、光と照を任せて、私は家事の続きをする。


 洗濯もしたし、次は掃除と夜ご飯……

 今日はお祭りでも何か買うかもしれないし、夜ご飯は残しても大丈夫なものにしないと……


「陽日ちゃん、何か手伝おうか?」

「乃々香さん。あの、光と照は?」

「寝ちゃったよ」

「そうですか……あの、私は大丈夫ですので、ゆっくりくつろいでいて下さい」

「でも、暇だからね。何か手伝わせてくれないかな?」

「え……」


 暇だからって言われてもな……どうしようか?

 今日会ったばかりの知らないお姉さんに、家の事を手伝ってもらう訳にはいかないし……

 でも、光と照が寝ちゃってる間に帰ってもらうっていうのも、2人が悲しむだろうし……


「あははーごめんね。困らせちゃったねー」

「い、いえ……」

「じゃあ今日だけでいいから、陽日ちゃんは私の事も妹だと思ってくれないかな?」

「え?」


 急に何を言われたかと思えば、妹?

 ……お姉さんじゃなくて?


「私ね、皆から頼りにされるお姉さんを目指してるんだけどね、なかなか上手くいかないの。頼りにはされてると思うんだけど、何かお姉さんって感じじゃないんだよねー」

「そうなんですか?」

「そーう。今日だってさ、私だけ特別扱いみたいなので、仕事を休むように言われちゃってね……だから、凄く暇なの」


 よく分からないけど、乃々香さんは今日、皆から心配されて、仕事がお休みになったみたいだ。

 それが不満みたいに話している。


「陽日ちゃんは、しっかりしたお姉さんって感じだし、参考にさせてもらおうと思ってね」

「そんな、私は全然しっかりなんてしてないですよ?」

「そんな事ないよー。陽日ちゃんは、私の中のしっかりしてる人ランキング3位圏内には入ると思うよ!」

「ふふっ、そうですか?」

「うん!」


 なんか全然分からないけど、話していてとても楽しい人だって事はわかった。

 信用出来ない人とかではなさそうだし、協力してあげてもいいかなって思えてきた。

 あれ? 協力してあげるのかな? してもらうのかな? まぁいいか。


「私が役に立てるなら何でもいいですよ。えっと、私はこれから、乃々香さんのお姉さんもやればいいんですね?」

「うん! やってくれるんだね、ありがとー。じゃあ、陽日ちゃんも敬語とかじゃなくていいからね。話しやすいように話してねー」

「あ、ありがとうございます……ううん。ありがとう、乃々香ちゃん」

「うん」


 本当に変わった人だ……

 妹だと思うようにと言われたけど、こういう楽しいお姉ちゃんが欲しいなぁと、少し思った。


「じゃあ陽日ちゃん、私は何をしたらいいかな? 掃除かな?」

「うん。乃々香ちゃんは、んー? お風呂掃除?」

「分かったー」


 本当にお風呂掃除をし始めてくれた。

 しかも何か、手慣れてるようにみえる。

 よくやってるのかな?


 お風呂は乃々香ちゃんに任せて、私は違うところを掃除する。

 後は夜ご飯の準備だけど……と、考えていると、


「ただいまー。陽日ー?」


と、お兄ちゃんが帰ってきた。

 今日は早いって言ってたけど、早すぎないかな?


「おかえり、お兄ちゃん。早かったね」

「あぁ、陽日……その……」

「ん?」

「悪いんだけどさ、この後のバイトの人が急に来れなくなっちゃったみたいでさ、代わりに入ってくれって……」

「え?」

「だから今、それを伝えに来た……」


 それって、この後もバイトになったって事……?

 だ、だってそれじゃあ……


「お祭り……どうするの? 晃人と光も照も、お兄ちゃんとお祭りに行くのを、楽しみにしてたんだよっ!」

「分かってるよ……だから、ごめん……」

「それ、私に行ってやってって事だよね?」

「うん……」


 今日は元々、お兄ちゃんが皆を連れてお祭りに行く予定だった。

 いつもなら私が連れて行ってたけど、今日は友達も誘ってくれたし、友達とお祭りに行くというのもしてみたかった。

 それを話したら、お兄ちゃんもその日なら夕方から空いてるからいいよって、言ってくれていたのに……


 お兄ちゃんは本当に申し訳なさそうにしてる……

 そうだ……お兄ちゃんだって、私達のために一生懸命働いてくれてるんだし、私が我が儘ばっかり言ってたらダメだよね……

 お祭りを楽しみにしていたのは、私だけじゃないし……

 だからってあの子達を連れて、友達とも一緒に行くのは、皆が気を遣ってしまって楽しくないだろうから……

 これは、仕方のない事なんだ……

 ここは私が諦めれば、全部丸く収まる……


「分かったよ……友達には、今日は家族と行くことになったって、連絡しておく……」

「本当にごめん……」

「いいよ。バイト、頑張ってね」

「あぁ……」


 お兄ちゃんがもう一度出掛けていくのを見送ろうとしていた時、


「今の話、光ちゃん達とお祭りに一緒にいく、保護者的な人が必要なの?」


と、乃々香ちゃんが話しかけてきた。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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