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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode6 対人関係における偏見編
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容姿

乃々香視点です。

 日下部君が△△神社でお祭りがあると教えてくれたので、そっちの方へ来てみた。

 木とか屋根とかを適当に飛びながら来たけど、思ったより早くついてしまった……

 まだ全然明るいし、お祭りは始まっていないみたいだ。


 ちょっと近くで休憩でもしておこうかな……?

 休憩出来そうな公園は……ん? 何だろうあの子達?


 上から公園を探していると小さい子が3人で、背の高い木に向かってジャンプを繰り返しているのが見えた。

 遊んでるというよりは、困っているように見える。

 一体何を……あっ! そういう事か!


 適当な屋根や電柱を使って、公園の方に向かう。


「ほらっ、おいで! ぜったいにキャッチするから!」

「こわくないよ~、だいじょうぶだよ~」


 近くに来ると、木に向かって必死に手を伸ばす子供達がいた。

 女の子2人と、その2人より少し幼く見える男の子が1人。

 そして、上から見たときに分かったけど、木の上に子猫がいる。

 きっとあの子猫が、木から降りられなくなっちゃったんだろう。


 近いと逆に見えづらいからな……

 私は眼鏡をかけてから、子供達の方へと近づいた。


「君達、大丈夫だよ。私が木に登るから」

「え? おねえちゃん……き、のぼれるの?」

「うん。任せて」


 いつもの要領で適当に木を登り、子猫を抱き抱えて、そのまま飛び降りた。

 これくらいの事は朝飯前だ。

 あ、食べたけどね。


「はい、どうぞ」

「おねえちゃん、ありがとう」

「君のお家の猫ちゃんかな? 少し怪我をしちゃってるみたいだから、出来れば早く獣医さんに診てもらってね」

「わかった! じゃあすぐにかえるね! ひかりちゃん、てるくん、バイバイ~!」


 3人いた子供のうちの、女の子1人が子猫の家族だったみたいで、子猫を抱えて走って帰っていった。

 そして、残った女の子と男の子の2人が、


「すごいっ! おねえちゃんは、とべるペンギンさんなんだね」

「すごかった、すごかった!」


と、手を叩いたり、飛んだりと、ハイテンションで喜んでくれた。


 "飛べるペンギンさん"っていうのは、私の格好をみて言ってくれたみたいだ。

 私は明奈ちゃんお手製のペンギンパーカーを着ているから、この子達にはペンギンに見えるんだろう。


「ふっふっふっ、そうだよー。お姉ちゃんは、飛べるペンギンさんなんだよー!」

「わぁ! ペンギンのおねえちゃんっ! おなまえは?」

「乃々香だよー!」

「ありがとう! ののかちゃん!」

「いえいえ、どういたしましてー」


 やっぱり感謝されるっていうのは、お互い心が温まっていいと思う。

 私はいい行いをしたんだ!

 あとで誰かに話して、褒めてもらおう!


「ののかちゃん、こっちにきてきてー」

「おうちにきてー」

「お家? 私がお邪魔しちゃっていいのかな?」

「うんっ! きてほしい!」

「たすけてもらったらおれいしないといけないし、ののかちゃんにきてほしい」

「そう?」


 2人して私の服を引っ張って、お家にご招待しようとしてくれている。

 そんな大層な事をした訳でもないのに申し訳ないと思うけど、凄い懐いてくれているみたいなので、そのままお家の方へお邪魔させてもらう事にした。

 どのみち暇だったし……


 同じ家に向かってるみたいだし、この子達は兄弟かな?

 男の子の方が、女の子より幼いみたいだし……


「えっと、君達は兄弟なのかな?」

「うん! わたしがひかり。7さいなのー」

「ぼくがてるだよ! 5さいっ!」

「さっきの子は?」

「わたしのおともだち。きょうはね、ねこちゃんをみせてもらうやくそくをしてたんだよ」

「そうなんだね」


 それで降りられなくなっちゃったのか。

 というか、子供だけで遊んでたら危ないだろうに……


「お父さんとお母さんは? お友達とひかりちゃんとてる君だけじゃ、危ないよ?」

「おとうさんはいないの。おかあさんは……」

「おかあさん、はたらいてるから……」

「そっかぁ……でも、ちゃんと大人の人と一緒に遊ばないと危ないからね。気をつけるんだよ」

「ののかちゃん、はるおねえちゃんとおなじこといってるー」

「ちゃんと気をつけるから、だいじょうぶだよ! それに、たすけてもらったらおれいをするのも、ちゃんとできるから!」


 そんな話をしながら、引っ張られるままについていくと、


「ののかちゃん、ここだよー」


と、一軒のお家の前に辿り着いた。


「ここが、君達のお家なの?」

「「うんっ!」」


 連れてきてくれたのは、結構ボロボロって感じのお家だった。


「ただいまー! はるおねえちゃんっ! ののかちゃんつれてきたー」

「えー? なになにー?」


 ひかりちゃんの声に反応して、家の奥から出てきてくれた中学生位の女の子。

 この子がさっきも少し話に登場してた、はるお姉ちゃんか。

 となると、3人兄弟?


「ののかちゃん?」

「はるおねえちゃん。ののかちゃんだよ、ののかちゃん!」

「あ、どーも。ののかちゃんでーすっ!」

「あっ! あの、ごめんなさい。この子達が何かご迷惑をお掛けしましたか?」

「そういうのじゃないから、大丈夫だよー」

「そうですか?」


 はるお姉ちゃんは、結構しっかりもののお姉さんって感じの子だ。

 これは私も見習わないとな。


「あのねー、ののかちゃんはとべるペンギンさんでね、たすけてくれたのー!」 

「ん? ちょっとよく分かんないよ?」

「おれいするのにきてもらったのー」

「お礼? そうなの? あの、どうぞ。上がって下さい。あんまりいいお家じゃなくて、申し訳ないですけど……」

「ううん、大丈夫だよ。お邪魔しまーす」


 私はひかりちゃんとてる君に引っ張られるままに、少し心配になるお家の奥へと上がらせてもらった。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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