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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode6 対人関係における偏見編
130/424

自由人

episode6になります。

乃々香視点です。

 超金持ちで有名な桜野グループ。

 私はその桜野グループのお屋敷に住んでいる。

 ここが私の家という訳ではないけど……

 ここは私の大切な友達、奏海ちゃんの家だ。


 奏海ちゃんとは子供の頃からずっと一緒にいる。

 もう友達というより家族って感じだ。

 いや、私達の仲は家族なんてものも通り越している!

 じゃあなんなのか……んー? いい言葉が思い浮かばない……


 まぁ、奏海ちゃんと最初に仲良くなったのは私だし! って、これを言うと、いつもくー君に反発されるんだった……

 奏海と最初に仲良くなったのは俺だ! とかって、勝手な事を言ってくる。

 いい加減うるさいから、奏海ちゃんにはっきり言ってもらいたいなー、なんて事も考えながら、今日も仕事を終えてお屋敷に帰ってきた。


「お帰りなさいませ、乃々香様」

「ただいまでーす」

「奏海様がお呼びですよ」

「えー、お腹空いてたのになぁ……まぁ、奏海ちゃんが呼んでるんなら仕方ない! 行ってあげますか! 執務室ですか?」

「はい」


 もう夜も遅いし、軽食食べて仮眠しようと思ってたのに……

 でも奏海ちゃんに呼ばれたら行くしかない!

 くー君とかだったら明日にしてたけど。


「お腹空いてるんで、執務室に軽食を持ってきて下さい」

「執務室にですか?」

「はい」

「怒られますよ?」

「大丈夫です」

「……かしこまりました」


 先に荷物を置きに行こうかとも思ったけど、執務室の方が近いし、別に後でいいかな。

 このまま行こう。


 執務室の前……

 本当はノックとかして入るべきなんだろうけど、面倒くさい。

 それくらいで奏海ちゃんは怒ったりしないし……


「奏海ちゃーん! 来たよー!」


 私は元気に部屋の中に入った。


「乃々香、ノックは?」

「忘れてたー」

「嘘。覚えてたけどしなかった」

「そうだね」

「はぁ、そろそろ社会性を身につけたら?」

「必要かな?」

「必要ね」


 とまぁ、いつもとおんなじような会話から始まる。

 最近会ってなかったけど、奏海ちゃんは相変わらずって感じだ。


「それで、私へのご用件は?」

「あぁ、乃々香に休んでもらいたいと思ってね」

「ふぇ?」


 ちょっと聞き間違えたかな?


「休んでもらう? 何か、そう聞こえた気がしたけど……」

「そう言ったからね」

「ナニソレ?」

「お休み、休暇。といっても、明日だけなんだけど」

「今までそんなのなかったじゃん。勝手に休んで、勝手に仕事してたよ?」

「勝手に仕事はしてないでしょ」


 ツッコミは的確。

 だけど冷めてる……それも相変わらずの奏海ちゃんだ。


「それで、皆で休んでペンギンパーク?」

「休むのは乃々香だけ」

「は? 奏海ちゃんは?」

「乃々香がぬけるんだから。その穴埋めね」

「今までそんな事しなかったじゃん!」

「そうね。だからしようと思って」

「何で急に?」

「この間、葵が休みを使ったじゃない。それにみーも倒れたりしたし……やっぱり休みって、私の方から皆に支給するべきなんだと思ったの」

「それ、誰かに相談した?」

「してない。さっき思いついたから」


 だろうね。

 奏海ちゃんは、相談なしだと変な事を言い出すからな……


「で、何でいきなり私なの?」


 休みがなかったのは私だけじゃない。

 私達全員だ。

 まぁ、休みっていう決まった日がないだけで、皆適当に休んでたんだけど……


「乃々香が一番休みがなかったと思ったから」

「そんな事ないよ! 私は合間にかなり休んでるから!」

「でも、急に召集がかかる事が多いでしょ?」

「それはそうだけど……」


 確かに、予定していなかった仕事をいきなり入れられる確率は、私が断トツだとは思う。

 でもだからって私が急に休むのはおかしくない?


「まぁとにかく、明日乃々香はお休みだから。何が起きても絶対に呼ばないから」

「はぁ? 何その言い方!」

「言い方なんていつも通りでしょ」

「違う!」

「もういいから、乃々香は明日お休みね」

「何でそう勝手に決めるの!」


 本当に自分勝手。

 すぐに暴走するし。

 桜野奏海は冷静でクールな人だと勘違いしてる世間様に、知らせてあげたいくらいだよ。


「私、明日は手が空きそうなの。でもそれから先はいつ交代出来るかなんて分からないから」

「手が空くんなら、一緒にペンギンパークに行こうよ!」

「2人も抜けて、何かあったらどうするの?」

「でもっ!」

「確かに相談もしないで決めたのは悪かったけど、ちゃんと紅葉に許可ももらったから」

「だからって!」

「早くお風呂入って、ちゃんと歯磨きして寝なさい」

「もうっ!」


コンコンッ!


「乃々香様、軽食にサンドイッチをお持ち致しました」

「あ、はーい!」

「ちょっと乃々香! ここで食べないでよ」

「うるさい。私の話を聞いてくれない奏海ちゃんの話なんて、私も聞かない!」

「聞かないも何も、最初からこの部屋に持ってくるように頼んでる時点で、食べる気だったでしょ」

「ふーんだ」


 何か奏海ちゃんがぎゃーぎゃー言ってたけど、無視してサンドイッチを執務室のソファで食べてあげた。

 いきなり休みとか言われるし、奏海ちゃんと喧嘩になっちゃうし、散々だ。

 もう、疲れたし寝よう……


「ちょっと乃々香! そこで寝ないで!」


 怒ってる雰囲気の奏海ちゃんの声を聞きながら、私はそのままソファで寝ちゃった……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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