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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode5 貧乏人の虚言編
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自主性

愛依視点です。

「だったら、私は何をどうしたらいいんだよっ!」


 急に声を張り上げて喚いた私を前にして、皆困った顔をしている。

 沈黙……

 きっと私になんて声をかけるか、考えてくれているんだろう。

 皆、優しい人達だから……

 だからこそ、これ以上関わってはいけない。


 今ここで、私がこの部屋から出ていきさえすれば、もう私は孤立出来る……

 そうするべきなんだ……


パシッ


「えっ?」


 無言で出ていこうとしていたのに、その私の手を、高坂さんが掴んだ。

 出ていかせてくれる気はないみたいだ。

 でも、そろそろいい加減にして欲しい……


「高坂さん、もうやめてくれないかな? 私はもう、孤立しないといけない人間なんだから」

「そんな人なんていないよ」

「だから私が……」

「私が孤立なんてさせないよ、絶対に」


 何でそんなに私に関わろうとするの?

 別にレンが好きな仲間でもないのに……

 本当になんなんだろう?


「愛依ちゃんが今悩んでるのは、何をどうしたらいいのか、だよね?」

「は?」

「その答えは簡単だよ! 私達と、プルルスと、ちゃんと向き合えばいいんだよ。孤立しないといけないとか、結局向き合わずに逃げてるだけじゃん! ちゃんと向き合おうよ!」


 私が逃げてるだけ?

 ちゃんと向き合う?


「私達を利用してたとかいうんなら、もうそんな考えは捨てればいい。これからは、愛依ちゃんが本当に思った事をちゃんと言ってくれればいいよ」

「そうだよ早瀬さん。無理に合わせなくていいんだよ」

「詩苑君みたいな、自分のやり方を皆に押し付けてくるようなタイプでも、ちゃんとやっていけてるんだから」

「今までの学校がどうだったかは分からないけど、少なくともこの学校の校訓は"自主性の尊重"だからね」

「……変な学校」

「だね! あははっ」

「だよな、この学校じゃなかったら詩苑は終わってるからな!」

「終わらせるなよ!」


 なんなの……もう……


「ついていけない?」

「え?」

「この感じが嫌?」

「……嫌ではないよ。でも、意味分かんないって思う」

「分からないなら聞いてくれればいいよ」

「じゃあ、何で高坂さんはこんなに私に関わろうとしてくるの?」

「え? 愛依ちゃんと仲良くなるチャンスだと思ってね」

「別に仲良くならなくていいじゃん。なのに何で?」

「んー? なんとなく?」

「答えになってない!」


 私が強めに言うと、高坂さんはヘラヘラと笑って、


「愛依ちゃん。私は、仲良くなるのに理由はいらないと思うの」


と、ふざけたように言ってきた。


「愛依ちゃんは、何に対しても理由を求めすぎなんだよ。きっと今までの自分の行動に、全部理由があったからだよね? だから、全部に理由を求めてる」

「理由?」

「皆が皆、そんなに考えて動いてないよ。ほら、将大君を見て。将大君が何かちゃんと考えて行動してるように見える?」

「おい、高坂!」

「うん、見えないね」

「おい! 早瀬!」

「でしょ? ふふっ」


 将大君とか面倒くさいバカだと思ってたのにな……

 こうして話してるのは、少し楽しく思えてくる。


「つまり、里香も将大君と同じで、何も考えてないって事なんだね」

「わぁ……」

「何?」

「里香! 里香って言った! やっと、やっとぉぉ!」


 すごい勢いで抱きつかれた……

 私は、ちょっと里香の事もバカにしてやろうとおもって言ったのに……


「そんなに呼んで欲しかったの?」

「うん! 愛依ちゃん!」

「里香」

「何?」

「里香って、面倒くさい……」

「うん! よく言われるよ!」

「だろうね」


 なんとなく、分かった気がする。

 私はもう、孤立することは出来ないんだ。

 里香達がいてくれるから……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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