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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode5 貧乏人の虚言編

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場違い

愛依視点です。

「皆ありがとう! 食べながらでいいから、ちょっと僕の話を聞いてくれ!」


 そう言って家庭科準備室に入ってきた詩苑君。


「どうしたの?」

「今までの事を振り返って、反省したんだ」

「反省?」

「将大、高坂、最初は僕達3人だけだったよな?」

「あぁ」

「そうだね、懐かしいね」


 そうなんだ……

 この壮大な試食会は、最初はこの3人だけでやってたのか……

 え? 無理じゃない?


「最初はこんなに大規模じゃなかったね」

「詩苑が作った料理に、俺と高坂が文句いう程度の会だったな」

「それが今は皆のお陰で、ここまで大きな会になった。こんな、学校全体の人が食べに来てくれて、皆から感想が言ってもらえる……」


 あー、最初は違ったんだね……

 当たり前か、子供3人だけでこんな試食会が開ける訳がない。

 いや、今開いてるこの試食会も十分におかしいんだけどね。


「これだけの試食会が開けるようになったのは、本当に皆のお陰なんだ。手伝ってくれるお前たちもそうだし、食べに来てくれるお客さんたちもそうだ。皆の助けがあるから、僕はこうして試食会を開く事が出来てる」

「うん、そうだね」

「なんだよ改まって……恥ずかしいじゃん!」

「何々? 何かドッキリ?」

「いや、そういうのじゃなくて……」


 詩苑君は凄く真面目に話してる感じなのに、聞いてる皆は凄くふざけてるみたいだ。

 この人達は本当に皆、仲がいいんだ……


 私はこの場にいるべき人間じゃない……

 出ていくタイミングを誤ってしまったな……


「僕が言いたいのは、皆に甘えきっていたって事だ。これだけの会が開けるのは皆のお陰なのに、それを考えもせず、皆に横暴な態度をとってた」

「そう? いつも通りじゃない?」

「詩苑君のあの感じにはもう慣れたからねー」

「うん。あーでも、確かに早瀬さんに対しては酷かったな。早瀬さんが優しい人だったから良かったけど、転校生でまだ何も知らない早瀬さんに、あの態度はないだろって」

「ほんとほんと、皆心配してたんだよ。里香ちゃんなんてね、ずっと気にかけてて」

「それに関しては、本当に反省してる……早瀬、本当に悪かった」

「は……?」


 皆が一斉に私の方を見てきた。

 場違い感丸出しだったのに、急に主役に立たされてしまった感じだ……


「なんで……?」

「早瀬さん? 大丈夫?」

「具合悪いの?」


 何も言えない私を皆は心配してくれてる。

 皆の思う早瀬愛依だったらここは、


「全然大丈夫だよ! 皆、こんな凄い事をしてたんだね! 今までの学校ではなかったから、ビックリしちゃったよー! 詩苑君も、知らなかったとはいえ、集中したい時に邪魔しちゃってごめんね! 詩苑君が謝る必要なんてないからねー!」


くらいの事は言うんだろうな……

 今は、そんな気力がない……


「早瀬さん? もしかして、凄く怒ってる?」

「将大君に急に手伝わされたもんね……」

「ごめんね……」

「いや、そういうのじゃ……」


 この空気がいたたまれない……

 仕方ない、さっきのを言うか……


「ぜ、ぜん……」

「皆、愛依ちゃんはちょっと疲れちゃっただけだよ! こんなにお客さんが来るとは思ってなかったからね!」

「あー、初めてだもんね」

「怒ってる訳じゃない?」

「え? うん……」

「良かった!」

「いきなりでこれじゃあ、ビックリして疲れるのも当然だよね」


 高坂さんがフォローしてくれたおかげで何とかなったけど、誤解されたままだ……

 このままじゃ皆の中での私が、どんどん良い人みたいになっていってしまう……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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