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死顔の噂

 一九八二年十月二十五日、カミラ・エストリィは、複数の殺人と死体遺棄の容疑で逮捕された。被害者の一部が失踪する直前にエストリィと会っていたこと、彼女の購入したスタンガンの型とスタンガンによるものと考えられる遺体の火傷の痕が一致したこと、遺体発見現場の近くでエストリィの所有する自動車を目撃したという複数の証言が得られたこと、また車内から被害者数人のものと思われる毛髪が多数見つかったこと、これらが逮捕の決め手となった。

 エストリィは取り調べには素直に応じ、共犯者の存在を仄めかし、共犯者の罪の意識を少しでも和らげることができたならと思ってやったとの犯行理由を明かした。エストリィの供述に基づき、警察はルカ・フロレスクという男の捜索を行ったが、それと思しき人物は見つからなかった。

 エストリィは公判でも、「血液は抜き取ったのではない。ルカ・フロレスクが飲んだのだ」と証言したため、精神鑑定が行われたが異常は認められなかった。

 一九八四年八月八日、裁判にかけられた全ての事件において、殺人と死体遺棄の罪が立証され、死刑判決を受けた。その翌日未明、見回りの刑務官が収監していた房で死亡しているエストリィを発見した。エストリィの首筋には噛まれたような痕があり、検死の結果、失血死であるとされた。エストリィの血液は体内にほとんど残されておらず、現場に流出した形跡も見られなかった。

 遺体の状況がエストリィの起こした事件と酷似していたため、警察は復讐を目的とした殺人事件として捜査を開始した。その後、一人の刑務官が逮捕されたが、すぐに無実が証明され釈放された。刑務官は、ある被害者の婚約者であった。エストリィを殺害した犯人は、今も捕まっていない。

 なお、エストリィの死顔は安らかで微笑みを浮かべていたとの噂があるが、警察はこれを否定している。

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