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うんこ村と悪夢

「うんこ村の村長の息子って次期村長候補なんですか?」


 ここはなんでも相談所。深刻な悩みからくだらないことまで一律三千円で相談出来る。


 今回はくだらない相談のようだ。


「家系で決まるんですか? それともみんなの投票みたいなので決まるんですか?」


 あれ、これ意外と真面目な相談か⋯⋯?


「なるほど、うんこ村という村があるんですね。外国ですか?」


「いや、無いです。例えばの話です」


 くだらない相談でした。例え話の村をうんこ村にすんなよ。こういう相談は適当にあしらっておけば大丈夫。何も考えずに変な話を聞いてればお金が貰えるんだから楽なもんだ。


「上杉さん、聞いてますか?」


「もちろん聞いてますよ」


 聞いていないことを悟られてはいけない。適当に話を合わせるのも技術。


「僕は投票で決まると思うんですよ。上杉さんはどう思います?」


 これって普通に選挙じゃないの? なら二世ってだけでもわりと票が集まるのでは? 両方だなおそらく。


「私は両方だと思います」


 本来私は相談を受けるだけなのだ。こんな調べたほうがいいような質問を持ってこられても困る。


「なるほど、両方ですか、論文に使わせていただきます! ありがとうございました!」


 解決! ていうか論文にうんこって書くのかよこいつ。


 さて、次の人は〜


「変な夢を見るんです」


「僕も見ますよ」


 しまった、つい反射的に答えてしまった。長年の経験から、この言葉は相手を怒らせてしまうと分かる。自分が味わった辛さや苦労を簡単に『僕もですよ』と言われるとムッとしてしまう。分かっていたのに言ってしまった。

 でも実際変な夢くらい誰でも見るでしょ。昨日見た夢なんか自分の鼻が飴になっててそれを舐めてたよ。


「え、先生も見るんですか!? あの夢

を⋯⋯」


 怒らせるというより勘違いさせてしまったか。謝った方が良いのだろうか、このままなんとなく話を合わせていけば良いのだろうか。怒られたら嫌だから合わせておこう。


「やっぱりあのタイミングで目覚めます?」


 何だあのタイミングって。


「そうですね、あのタイミングで起きちゃいますね」


 エレベーターで落ちる感覚とか、躓く感覚とかかな。あれすごいよね、仰向けでも前に転びそうになるもん。


「私も実は前まではそのタイミングで起きてたんですけど、最近首だけになっても目が覚めなくなりましてね、その先に進めるようになりました」


 なんか怖い事言ってる。なるほどなるほど⋯⋯ギロチンか何かで首が切られる夢かな。


「どこまででも進んで、そのうち目覚めなくなるんじゃないかと思うと怖くて怖くて⋯⋯先生、どうにかなりませんか?」


 目覚めないなんてことないでしょ。おしっこが溜まれば嫌でも起きるよ。


「考えすぎですよ。その思い込みのせいで余計怖くなるんです」


「家族を何回も皆殺しにして、何回も自分の首を切って、そんなの気が狂いますよ!」


 すごい怖い夢見てるじゃん。かわいそうに。


「ですから、夢は夢ですから。忘れちゃえばいいんです」


「そんなの無理に決まってるでしょう! 現に先生も同じ夢を見てるじゃないですか! あーもう終わりだあああ! 死ぬんだあああああああ家族も殺して自分も死んで終わるんだあああ!」


 勘違いのせいでここまで行くとは⋯⋯なんか申し訳ないな。それにしてもうるさいなこの人。


「ピギャアアアアアアアアアアアアアアア」


 うちに来る人ってたまに変な人がいるんだよな。最終的に狂っちゃう人。この物件には何か悪い霊でも居るのだろうか。


 あまりにもうるさいので黒服を呼んでつまみ出してもらった。

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