空は虹色
「なんでお空は青いの?」
子どもは何でも聞いてくる。それ聞いてどうするんや。と思ったりもしますよね。
空が青い理由かぁ。
確か高校の物理で太陽光を大気が散乱させるとかって習ったけど⋯⋯
いやちょっと待てよ、空って青いか? 赤橙黄緑青藍紫の空、全部見たことあるぞ?
「お嬢ちゃん、空は青くないんだよ~」
「え、でも今日のお空青色⋯⋯」
「大人に口ごたえか」
「グスン」
赤は赤焼け。
橙は夕焼け。
黄色はなんかたまに見るやつ。
緑の空は数回しか見たことないけど、異様な感じがして怖い。
青は普通の快晴または晴れ。
藍色は夕方から夜にかけて。
紫は夕方にたまに見る。
だよね。
だから別に空は青くない。虹色だ。
次のお客さんは⋯⋯
また子どもかい!また幼稚園児か!
「お嬢ちゃんどうしたのー?」
「わしゃあのう! パンツを履くことに反対なんじゃ! パンツを履いているせいでパンツを下げるという無駄な動作が生まれ、その結果糞が漏れる!! じゃが、おやじは履けと言ってくるんじゃ! ねぇ、なんでパンツ履くの?」
最近の幼稚園児はませてるなぁ。次元が違うが。
「ズボンを下げる動作は無駄じゃないの?」
「わしらは基本、幼稚園ではスカートなんじゃ! だからそんな動作はない! ようは家以外で漏らすのが嫌なんじゃ!」
そんな事言われても分かるわけないよ⋯⋯
だって⋯⋯
「お嬢ちゃん、そういうことはパンツ履いてる人に聞くといいよ」
実は私もパンツ否定派なのだ。だから履く人の気持ちは分からない。
はい次ー
また子どもか! 今度は男の子だ。
「なんでママは死んじゃったの?」
え⋯⋯
こんなに小さい子残して逝っちゃったんだ。お母さんも辛かっただろうな。
「なんで! ねぇなんで!?」
ええ分からんよ! どうすればいいの⋯⋯
「パパもちゃんと話してくれないの! ママ急に死んじゃって⋯⋯ここに来れば分かるかもと思って三千円貯めたの!」
なんて可哀想な子なんだ!!
「お家の電話番号教えてくれるかな」
この子の父親に訳を話して聞いてみた。
「息子が知ったらものすごく傷つくと思うんです」
「でも、知ることが出来ずに苦しんでる状態ですよ」
「実は妻は、寝ぼけて冷蔵庫に入ってしまって、次の日には亡くなっていたんです。こんなこと息子には言えません」ガチャ
え⋯⋯
「病気だって」
「そうだったんだ⋯⋯」
こんな幼い子どもに嘘をついてしまった。
どっちかと言うと、真実のほうが嘘っぽいが。