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閉ざしていた僕へ  作者: 林檎梨
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第一話

少しながくなってしまいましたがご了承ください。

                        第1話



 「おい、津月!購買行こうぜ!」

 

 4時限目が終わると同時に、後ろから大きな声が聞こえた。


 「うるさい、毎度毎度大きなこえで呼ぶな。恥ずかしいだろうが」


 いつも飽きずに大声出しまくってるこいつは野田翔也。見た目的には黒髪ショートで、オールバック気味のthe 高校生という感じなのだが、身長が189cmもあり少しモテている。

 ・・・少しよこせこのやろう。

 とまあ密かな愚痴は置いといて、こいつは小学生の頃からの付き合いで、リトル、シニアと同じチームだった。そしてすでに、一年生ながらにして、幾つかの強豪大学から声がかかっている外野の名手でもある。


 「そんなこと言うなよな、俺とお前の仲だろう〜」


 相変わらずの軽い口調で話す姿を見ると、こいつ本当に名手なのか?と多々思うが、野球のプレーは紛れもなく一流なのだから、世の中とはよく分からない。


 「うえ、気持ち悪い」


 あっさりと翔也を突っぱねて、しかたないな、と一緒に購買へと向かうことにした。

 廊下を歩いて購買へと向かう道中、もうすでに何回聞いたか分からない質問を隣で口笛吹きながら歩いている翔也に投げかける。


 「なあ、お前県外からの誘いいくつもあったのに、なんだってこんな田舎高校に入学したんだ?お前なら、もっといいとこ入れたろうに」


 そう、今俺たちが通っているこの学校は、緑川高校といい、県内の学力そこそこの公立校である。弱くはないが、野球も決して強いとはいえない立ち位置だ。翔也がどう思っているかは知らないが、甲子園を目指している者がくる学校ではないと言える。それ故に、不思議だった。まあ、この話題を振るといつもぼかされて、真実は聞けずじまいなのだが。それでも、今日こそはと思い聞いてみると、


 「またその話かよー、津月もこりねーなー。だから言ってるだろ?俺は、お前と一緒の学校に行きたかったんだよ。津月君大好き!」


 ほら、ぼかされた。そう言って、両手をあげる翔也をみて軽く殺意を覚えたが、いつものことなので、すぐ冷静になる。そんないつものくだらないやりとりをしていると、気づけば、購買の前にいた。

 購買の定番・・・かは知らないが、焼きそばパンを頬張る。うん、やっぱりうまい。この学校に来て、一番の収穫は、パンがうまいことだった。満足げに焼きそばパンを頬張っていると、


 「なあ、津月。お前部活どうすんだよ?野球・・・やるよな?」


 唐突にそんな質問が飛んできた。くそ、俺が一番答えづらい質問じゃねえかよ。俺が顔をしかめていると、それに気づいたんだろう、翔也が黙ってしまった。その空気に耐えられなくなった俺は、


 「あー、まだ考えてるんだよ。期限まであと二日もあるだろ?俺的には陸上とかいーかなーなんて思ってるんだが、」

 

 と言いかけたところで、


 「だめだ!!」


 怒鳴られてしまった。無理もない、俺が逆の立場だったら止めると思うし。でも、俺には翔也の立場なんて分からない。リトルの時から、ずば抜けていて、なんでもうまくいくあいつと、才能がない俺があいつの立場なんて分かるわけないじゃないか。俺だって、本当は・・・。急にむしゃくしゃしてきた俺は、二つ目の焼きそばパンを一気に胃に詰めこむと、

 

 「お前が、ここに入った理由聞かせてくれたら考えてやるよ」


 と、少しきつめに言い放った。

 どうせ、こいつは話さない。今まで頑なに喋りたがらなかった翔也が話すわけないと踏んだんだ。すると、翔也は少しだけ考えると、俺に、

 

 「・・・分かったよ。その代わり、誰にも言うなよ?」


 え、話すの?予想外の回答がきて困ってしまった俺に対し、翔也は続けた。


 「てかさ、締め切り今日だぜ?」


 「え?」


 翔也の不意をついたいや、むしろバッドニュースが頭の中に飛び込んできたのとほぼ同時に、

 

 「1年4組津月陽君、至急職員室まで来るように」


 担任兼体育担当の山越の低い声のアナウンスが響き渡った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「失礼します」


 職員室の中は以外と教員たちが少なかった。どうせ外食でも行ってるんだろうと思いながら、山越を探す。別室のカーテンを開けると、そこにはおにぎりを食べている山越の姿があった。


 「先生、なんのご用でしょうか?」


 わかりきっている質問をする。すると、当然呼ばれた理由は明確で、


 「うちのクラスで、部活志望届だしてないのは、お前だけだぞ。一回も相談にもこんし。で、決めたのか?」


 ですよねー。でも、決めていないのもまた事実なので、素直に、


 「いえ、まだです」


 こう答える。すると、山越は、ため息をつき、何やってたんだよと言わんばかりに睨み付けてくる。さすが、緑高の鬼と生徒から恐れられるだけのことはある。山越はその表情のまま、口を開き、


 「津月〜、お前小、中と野球やてったんだろ?野球部でいいじゃないか。うちは、強くはないが弱くはないそこそこいい部だと思うぞ?」


 ・・・うんざりだ。人が野球から離れようと頑張っているのにどうしてみんなして俺の邪魔をするんだ。

 わかってる、俺に才能がないことくらい。ただ、それを理解してしまった上で、野球をやることは、とても酷じゃないか。また、あの日の光景を思い出してしまう。正直逃げだってことも理解している。

 ただその反面、陸上と言いながら、決断できないことも確かだ。

 クソ、おれはどうしたいんだよ・・・。


 「先生、明日まで待っていただけませんか?お願いします」


 頭を下げて、こういうほかなかった。





 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 なんとか、延期の許可を貰い、自宅へと帰ってきた。そのまま、自室へと直行し布団にダイブ。今日はつかれた。

 俺は一体何に悩んでいるのだろうか。眠くて思考が鈍る。


 「明日のことは、明日の俺にまかせる」


 と、明日の自分に全てを放棄し、夕飯も食べずに、眠りについた。


 



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