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「王、タクティス・ディーノ及びニーア参上いたしました。」

タクティス様はそう言って騎士の礼をとった。

けれど、私はこの人に遣えている訳でもないためわざとらしく立ったまま王を見やる。側近や宰相が渋い顔をしてるが知ったことか

「顔をあげよ、タクティス。

タクティス、ニーア。二人を呼んだのは他でもない。魔王討伐についてだ。ユリウス」


「は。魔物の被害は国内全体に広がっており、それによる土地の荒廃が進んでいると報告が多数あります。魔王の居城は山脈を越えたところかと」

机いっぱいに広げられた大陸の地図。

宰相が指差すのは王都からかなり離れた土地だった


「姫巫女様には途中の街々の穢れも祓っていただければと思います。」

「は、はい」

緊張した面持ちの彼女。安心させようと肩を叩く

ぎこちなくも笑顔を見せた


「さて、供にだが…」

王は言葉を切り、私達を見る

「タクティス、リアム、ルーク、カイル、そしてニーア」

「拝命いたします」

代表してルーク王子が声をあげる


「姫巫女様、魔王を討伐しこの世界に光をもたらしてくれ」

「は、はい!」


いや、だから…頼むなら土下座しろ




あの後、王の間を辞して寄宿舎に戻った。

いつまでもあの王の顔なんて見たくない。

この国は嫌いだ。言っちゃ悪いがこの国がどうなろうが知ったこっちゃない

けど、彼女は最善を尽くすんだろうな…いろんな意味で正義感が強いから


「シノノメか。」

「ガッカリした顔するなよな。折角腹へっただろうとメシ持ってきてやったのに」

手にはパンとシチュー。

そんな気分じゃなかったのに、身体は正直でお腹がぐぅっと鳴るのがわかった

「ありがと」

「おう」


シノノメは私に夕飯を渡すと横に座った

「いただきます」

今日のシチューはじゃがいもがごろごろとはいってる

ここの食事は美味しいけど、和食が恋しくなる。

あぁ、米が恋しい


「ニーアは食べる前に変な言葉いうよな」

「ん?…あぁ、故郷の言葉だよ。ここでいう神への感謝と一緒」

「ニーアの故郷の話は初めてだな」

「そう?」

シチューのなかをスプーンでかき混ぜる。


私が日本の…家族の話をしないのは意図的だ。

話せば帰りたくなるから。

シノノメはなにか感じたのかそれ以上私の故郷のことを聞こうとはしなかった

「そう言えばさ、昼間は大丈夫だったか?タクティス様に連れていかれただろう?」

「あぁ…まぁ、大丈夫。」


「ニーアの大丈夫は信用性に欠けるからな…」

ため息をつきそうなシノノメにへ曖昧に笑ってみる

「ったく…あんま無理すんなよ」

そう言って私の髪をぐちゃぐちゃと撫でた

見た目は私と変わらないはずなのに何故か時折歳上っぽく見える。いや、実際は私より年上だけど…

兄がいたらこんな感じなのかな。ふとそう思うが、シノノメが兄というイメージが湧かず考えを放棄する

ただ少し、家族に会いたくなった




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