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団長に続いて歩けば、王の間が見えてくる。
そう、ここから悪夢のようなこの日々が始まったのだ。
光に包まれ、次に目に入ったのはいつもの帰り道ではなかった。
無駄にきらびやかな壁面と高い天井。
そして、私たちを囲むようにして突きつけられた刃。
「お主が姫巫女様か?」
横を見ると偉そうな男が彼女?に話しかけていた。
はてなになるのは聖の髪が、金色に輝いていたためだ。
「え?ひ、姫巫女?」
「王、文献によりますと彼女かと」
傍に控えていた神父さんみたいな男が話す。
「そうか。姫巫女様。この世界を救ってくれ」
頼んでいるはずなのにどこか偉そうな王と困惑している彼女とを見てるしかなかった。
いや、ひとついいか?
人に頼むなら土下座しろ。
で、私には説明ないのかな?
なんだか分からないまま放置されてんだけど…。
私か困っているのがわかったのか、それともただ気付いただけか解らないけれど、これまた王の傍に控えていた男が此方を見た。
「お前は誰だ」
「え?新名 さ…「ニーアか」
名乗ってる途中で言葉を遮られた。ニーアってなんだよ
「いや、新名 咲良だけど…」
「ニーア、お主はなぜここに?」
「いや、話を聞けよ。新名だって」
「王、この者間違って召喚されたのでは」
「まさか、」
ちょ、待てよ!
話を聞け!つか、聞き流せないことポロっと言わなかったか?間違ってとか、は?
口を挟もうとするが本人置き去りで話が進んでるんすけど…。
「しかし、王。こちらの手違いならば手厚く保護すべきでは」
「王、この者の髪と瞳を御覧ください。漆黒でございます。闇の者かもしれません。」
「身分がわかるまで牢に繋ぐべきかと」
「ねぇ。さっきから聞いてれば好き勝手言ってくれるけどさぁ…まず、私への説明が先なんじゃない?」
好き勝手言ってる男たちを睨めば一番若そうな…保護すべきと言った男が事情を説明してくれた。
「つまり…私は間違って召喚されたと。」
「はい、恐らく姫巫女様の召喚の際に巻き込まれたかもしれません」
「こちらの手違いだ。すまなかった」
そう王は言い放った。
人に謝るなら土下座しろ。
その後は、彼女は姫巫女として手厚く歓迎され、私は手違いとはいえ招かれざる人として嫌煙された。
そのまま騎士団の宿舎に放り込まれたのは、騎士団長に私を見張らせるためだろう。
理不尽だ。
巻き込んだのはそっちなのに。