純米吟醸
今回は清酒です
酒を呑む
「純米吟醸」という名の清酒を
寝間着に作務衣を羽織りながら
クローゼットを利用した隠れ家で呑む
黒い徳利に「純米吟醸」を注ぎ入れ
一部が小さく欠けた
大きくて茶色いお猪口に注いで
一口呑む
度数14度の酒の味だな
一息を軽く吸いてゆっくり吐く
そうしたくなる味だ
つまみを食そう
今夜の晩酌のつまみは
味噌に青しそを巻いた「青しそ巻」だ
あらかじめ、団子のように
串に刺さってあるため
箸の必要性がなかったか
まぁいい、気にせんことにする
青しそ巻を一口食べてから
酒を一口呑む
味噌と酒の
一体感が織り成す美味さに
青しそ巻が一つ
杯の中の清酒が
食べ呑み消えてしまった
口直しに、湯飲みに一杯
ミニサイズのペットボトルのお茶を注ぎ
一口飲む
口内にある酒の味が
お茶によって洗い流され
さっぱり感が生まれた
お猪口に二杯目の清酒を注ぎ入れ
一口呑み
青しそ巻を一口かじる
飽きの来ぬ一体感に酔いしれ
酒の味が強ければ
お茶を飲み直す
同じ動作をただ繰り返す
脳内に[エルの肖像]が
断片的にリピートしているのを感じるが
気にしないことにする
気がつけば
徳利一本と
青しそ巻が一串
お茶が一杯
空いてしまった
身体の火照り
酒を呑んだから当然のことだ
おもむろに、中原中也の詩集[汚れつちまつた悲しみに……]を手に取り
数作を声に出して読む
酔いの気晴らしにはなったか?
そんなことどうでもよいか
徳利に残りの純米吟醸を注ぎ入れ
もう一つのつまみである「しらすのり」を食べる
今度は箸の必要性があるな
お猪口に注いで
一口呑み
しらすのりを一口食べる
青しそ巻とは違った食感と酒の一体感
しらすは記憶力に対する効能があるため
食べる価値はありおるわい
湯飲みにお茶を二杯目を注ぎ
口直しに一口飲む
酒を呑み
しらすのりを食べ
お茶を飲む
飽き来ぬ循環に
身を投じるとはこのことか?
気がつけば
酒を呑み終え
お茶を飲んでいた
空気から酒を生み出す方法など
私は修得しておらんため
今夜の晩酌は
ここではお開きにする
まぁ、酒はあったとしても
呑む気はせんから
どのみちお開きは決定じゃな
残りのお茶を飲み空かし
ペットに倒れ込む
お休みなさい
《終》
青しそ巻は好物に入ります
清酒にも合いますしね