会話
どうも。緋絽です!
今回話の区切れが悪いので短めです!
その翌日、朝学校に行くと珍しく翔太と健司が俺より先に学校に来ていた。
入口から声をかけようとして2人の会話に航、と俺の名前が出たような気がして思わず口を噤んで隠れる。
「あいつもアホやと思わへんか? 今は付き合うつもりないて、健全な男子高校生とは思われへん」
翔太が机に肘をついて溜息を吐きながら言った。椅子の背もたれ側を向いて跨るように座っている。
「航は今それどころやないんやろ」
健司が漫画を捲って言った。その言葉に翔太が首を傾げる。
「それどころやないって?」
おい、翔太、お前野次馬根性丸だしやな。声がウキウキしとるやんけ!
「好きな女がおんのか? あれ? あいつやったらすぐ付き合える気ぃすんねんけどな」
「いや、せやから今は付き合う気ないて、航言っとったやんけ」
「あ、そうか」
健司が溜息を吐く。
「まぁ、今からやなくて、もっと前からかもしらんけどな・・・。あいつ、未練たらたらやで」
翔太が目を瞬かせる。くるくると丸い目を回した。
「何に(・・)?」
それは、人ではないと、理解した上での疑問――。
思わず、息を詰める。
「――バスケに、や。今はそれで頭いっぱいなんと違うか」
未練たらたらて。
俺は思わず苦笑する。
うん、せやな。確かに、間違ってはいない。
「……あいつ、アホやからな」
ポツリと翔太が漏らした。椅子にきちんと座りなおして、机に足を上げる。俯いた顔の口が弛んでいたように見えた。
アホやと! くっそう翔太、後で覚えてろよ。
なんとなく照れくさくなって、心の中でだけ文句を言う。
「スポーツって楽しいけど、苦しいて感じたらなかなかドツボから抜け出せへんねん。俺は、そういうのちょっとわかる。…いや――」
緩々と翔太が首を横に振る。
「わかるとか、そんなん言われへん。俺今ちょっと傲慢やったな。あっぶない」
健司が漫画を閉じて、俯いた。考えている。返すべき言葉を考えているのだろう。不意に健司が一言呟くように言った。
「俺はあいつにバスケにやめてほしない」
――まるで、空気が固まったかのような。少し、胸が苦しくなる。
「バスケをあいつは絶対嫌いになられへん。今でさえ、練習しとるらしいやんか。それが証拠や」
翔太は何も言わない。
まるで、肯定のような沈黙。
「それなら楽しんでやれとる方がええんちゃうかなって」
深く息を吸って、ゆったりと吐いた。
ったく、こいつら、ほんまにダチ思いの奴らやな。
少し待って勢いよくドアを開ける。
「おはよーさんっ」
「「おはよーさん」」
2人がのんびりと返してきた。
俺が聞いとったの、気付いとったわけやないよな?
2人が俺とバスケのことをどう考えているかを知って、少し、戸惑った日の朝のことだった。




