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squeal sound  作者: 緋絽
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再会?

どうも。緋絽と申します。楽しんで読んでいただけたら幸いです。

高校生になって半年。季節は秋の中間くらい。

電車の揺れに合わせてゆらりゆらりと体が揺れる。隣で高校からの友達が騒いでいるがなんだか遠くに聞こえる。

俺――峰岸(みねぎし)(わたる)は電車の窓から外を眺めていた。

毎日楽しい。授業で時々居眠りして、漫画も読んで、友達とバカやって女の子と遊んで。なんや知らんけど俺もてるしなぁ。とか天狗になってみたりして。嫌な事といえば学校のテスト、授業、てっぺんが危ない生活指導のおっちゃんぐらいやな。

欠伸をする。酸素が少ないと欠伸が出るんやったか。

「なんや航~湿気た面してんなや!」

「してへんわ! 毎日女の子と楽しく過ごしてんのに、湿気た面なんかできるかい」

「うわっ、ムカつく! もてるからっていい気になるなや!」

「なんや! 僻みか!」

電車の中なのにぎゃいぎゃい騒いで、座席に座っていたおばさんに睨まれた。

「うわっ、ちょっ、黙らな! おばはん怒ってるで。あれは今にも噴火する勢いや」

小声で友達に促すと、友達はおぉ怖っと首を竦めてみせた。

――普通の日常。とても楽しいはずなのに、なんだろう。何か、物足りない気がするのは。

「航っ、公園寄っていかへん?」

友達──水城(みずき) 翔太(しょうた)がキラキラと目を輝かせ首を傾げて言った。

「何すんねん」

「だぁほ! 少しは頭を使えや! 公園行ったら可愛らしい女の子がチワワとかダックスフントとか、ちっこい犬連れて走りまわっとるのがイメージでけへんのか! 真っ白なワンピース着てんねん、髪サラッサラやねん」

翔太が拳を握って熱く語っている内容に顔を顰めてみせる。

「お前の方がアホやないか。どこの避暑地やねん、寂れた公園になんて不釣り合いな画なんや」

「あっお前女の子をなめんなよ! その気になれば背景さえも輝かせるんが可愛らしい女の子や!」

「へーイヘイ。本音は?」

首を傾げて問うとキラリと目を光らせた。

「遊びましょ」

真顔でハキハキと返事を返してきた。その後にうるうると目を揺らす。

やはり。理由はアレか。

「健司のアホォォオ! なんであいつに彼女ができるんや! 俺のほうが百倍エエ男やのに!」

そう。我らが友人である大友(おおとも)健司(けんじ)に彼女ができたのだ。

「そら顔だけ見ると翔太のほうがエエけどもやな、お前かなりフラフラしてるやんか。それに比べて健司は純情少年やからなぁ」

電車が止まってドアが開き、そこを降りる。改札を抜けて定期をしまうと翔太が大きく伸びをした。

「俺にはさっぱりわからへんけどな、女の子にとっちゃ可愛いらしいんじゃないの」

「健司がか?」

「あぁ」

頷くと翔太がオェッと吐くフリをしてみせた。

「ありえへんな」

「女心は複雑やねん、ほっとけ」

駅を出てしばらく取り留めのない話をしながら歩くと大きくも小さくもない公園に着いた。中のベンチに腰かけると隣に翔太が同じように腰かけた。

「女の子おらんな」

「なぜや!」

「やっぱりどんなに可愛らしい女の子でもこの寂れた公園は荷が重かったんちゃうかな」

「嘆かわしいことや」

翔太が吐き捨てるように言った。

「で? 何すんねん」

「地味に鬼ごやろか」

「二人でか?」

「うわっ、やなツッコミ! お前モテへんやろ!」

「ありがたいことに毎日ウハウハや」

「ほんまに嫌な奴やな!」

翔太が噛み付く勢いで返事をしてきた。

――ふとボールの弾む音がして息を呑む。

あのコートに今も尚立っているような、そんな感覚に囚われた。

頭を振ってその思いを振り切る。

落ち着け、俺。あれからは完全に縁を切ったやないか。もう、あんなに苦しい場所に立たなくてもええんやぞ。

俺は小・中学時代バスケをしていた。でも、高校に上がるのを機にやめたのだ。そのことを思い出して鳩尾のあたりが重くなる。

「お? あれ山城やないか」

「えっ」

山城という名に反応すると翔太に変な目で見られた。慌てて目を逸らす。翔太達にバスケをしていたことは言っていないのだ。

それにしても、と翔太の見ていた方向に目をやると、山城が公園の隅でドリブルをしていた。同じ位置に違う高さでボールが弾む。山城は、バスケに関わりのある人ならこの地域では知っている奴もいるだろう。しかし、そうではない人にはほとんど知名度はない。

翔太が知っとるところを見ると、翔太と山城、同じ中学やったんやな。

山城――山城(やましろ)(しゅん)はかなり有名な選手だった。あまり強豪ではなかった中学校がいきなり彼を中心としたチームで県大会を勝ち上がっていったのだ。

その動きはバスケット選手にしては小柄な体格という見た目とは打って変わって力業を得意とし、かといって技術がないのかと言われるとそうでもない。オールラウンダーというやつだった。

どこを受験した、とかいう話を部活仲間がしていたがここに来ていたとは。

何故、バスケでは無名のここに来たのだろう。

まぁ、今後は関係のない話だな、と目を逸らす。

「おーい、山城ー!」

ギョッとして翔太を見る。

なんで呼ぶ必要があんねん! アホか!

山城を見るとこちらに気づいて袖で汗を拭っていた。


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