電信ってなんだろう!?
「ねぇねぇ、ウェイル。電信が届いたよ?」
「ああ、ありがとう。見せてくれ」
フレスから受けとった小さな紙。
これには電信によって書かれた文章が記されていた。
「……なるほどな。またレギオンの価値が上がったのか……。もしかするとあの影響が……」
「ねぇ、ウェイル! ボク、前から不思議に思ってたんだけど、電信って一体なんなの?」
「ん? 教えてなかったっけな?」
「うん。サラーだって電信を使えるくらいだし、ボクだって使ってみたいよ!」
「鑑定士には必要不可欠なものだからな。よし、教えてやろう」
そういうと二人は自室を出て、電信室と札がある部屋に向かった。
「これが電信だ」
ウェイルが手を置いた大きな装置。
見ると中央部分に小さなボタンがたくさんついていた。
「このボタンを押すと、ボタンに描かれている文字が紙に印字されるんだ」
試しにとボタンを一つ押す。
するとボタンが並んでいる部分の隣に、今打った文字が印字されていた。
「このボタンを押して文章を作成するんだ」
「やってみていい?」
「いいぞ」
フレスはたどたどしく時間をたっぷりと掛けて、文章を入力した。
「あ、間違っちゃった! ねぇ、これどうすれば治るの?」
「そこの消去ボタンを押してみろ、今打った文字の上に新しい紙が重ねられて、上書きできるようになっている」
「ホントだ! ……よし、出来たよ!」
何とか打ち終わったみたいだ。
「出来たなら、今度は送り先を選択しなければならない。どこへ送るんだ?」
「サラーのとこ!」
「となるとクルパーカーのイレイズ宅でいいかな。イレイズのコードは……よし、打ち込んだ」
「これでもう送れるの?」
「そうさ。といっても送るのはこの紙じゃなくて文章の情報だけだ。よし、送ったぞ?」
「ありがと! ……これ一体どういう仕組みになっているの?」
「今言ったように電信は文字情報だけを送るんだ。無線電波という技術があってな。それを用いる。ここで打ち込んだ文字の情報を相手に送り、相手の電信受信器でそれを印字するんだ」
「へへー! すごい技術だね!」
「だろう? 実はこの技術、根本には神器が用いられているんだ。だから本当にすごいのは、その神器を作った神なんだけどな」
「返事はいつ頃届くの?」
「届くのはすぐだが、返信は相手が電信を確認してからになる。結構掛かるだろうよ。飯でも食べながら待っていようか」
「賛成!」
それからしばらくの間、待っていると――
「ウェイル―!! 返信が来たよーーーー!!!」
「そりゃ良かったな」
電信の紙を持って大いに喜ぶフレスに、ウェイルは笑みを漏らす。
「さっそく読んでみたらどうだ?」
「うん! えーっとね…………。『知るか』 だってさ! ……うう……ボク、何か変なこと書いたかなぁ……?」
「なんて書いたんだ?」
「えっとね、『今日も一日暇でした』って」
「……フレス。お前って本当に暇なんだな……」
「だって、本を読み終えるまで外出禁止だって……」
「その本は読んだのか?」
「…………」
翌日から、フレスはとても忙しくなった。




