事情聴取にはあれがつきもの
――次の日。
大監獄でのテロ事件について、ウェイル達は治安局事情聴取を受けていた。
事情聴取の担当は当初、ウェイルの知らない人物が行う予定であったのだが。
「ウェイルさんの事情聴取!? そんなの私がやるに決まってるだろ!? ふふふふふふ……!! 根掘り葉掘り私の欲しい情報を聞きだしてやるのだ……!! はぁはぁ……!!」
なんて鼻息を荒くしたステイリィが乱入してきて、無理やり担当を自分に変えたらしい。
「さあ、ダーリン! もう観念して私へ愛の言葉を吐くのだ! 故郷のおっかさんもそれを望んでいる! このかつ丼も食べたいだろ――」
「――てい!」
「――ふぎゅ!?」
「容赦ないな……」
握り拳を顔面にぶち込む辺り、もうビャクヤに関してはステイリィに遠慮する気はないらしい。
「……ビャクヤ、殴ることはないでしょうよ……。しかもグーで、顔面だなんて……。痛い……」
「上官、真面目にやって下さい。それとかつ丼って一体何のことですか?」
「さあ? でも事情聴取するときはこれを言わなければいけない気がした」
「はぁ……、そうですか」
突っ込むのも面倒なやり取りである。
「ステイリィ、さっさと進めろ。あまりお前の茶番に付き合う暇はないんだ」
「茶番じゃないのに。本気なのに」
「尚更性質が悪いわ! さっさと進めろ!!」
「へいへーい。それでウェイルさん達はどうして犯人が『不完全』の残党だと知っていたんですか?」
事情聴取が始まって早三十分。
ようやくまともな質問タイムが始まった。
「少し前運河都市ラインレピアで大規模な運河氾濫があったろ?」
「えっと、確か集中祝福期間内での事件ですね」
「仕事で遊びに行けなかったのだ……」
「それはステイリィ上官が有給休暇を使い果たしていたのが悪いんです。今度からはもっと計画的に使ってください」
「ステイリィの有給の話は置いておくとして、あの事件の時ラインレピアでは同時にいくつか事件が発生したんだ。『アレクアテナコインヒストリー』というイベントを丸ごとをぶっ潰された事件もあった。それら一連の事件は全て今回のテロリスト達が起こしたことだ」
「なんと……!!」
「俺は偶然にも丁度ラインレピアで仕事を抱えていてな。そこで奴らを知ったんだ」
「どこまで巻き込まれ体質なんですか!? 狙ってるんですか!?」
「好きで巻き込まれているんじゃねーよ!」
「今回だってまた巻き込まれちゃってますし! そのせいで私は無駄に出世してしまったんですよ!? 責任とれ! 責任とって結婚し――」
「――てい!」
「――ふぎゅ!? ……ビャクヤ、だから顔面を殴ることはないでしょうよ、顔面を……。痛い……」
「上官、真面目にやって下さい」
こんなやり取りばかりであるためか、事情聴取が終わるまでに三時間も費やしてしまったのだった。
ちなみにフレス達の六倍の時間であったという。
先にファランクシア駅で待っていたフレスには、遅いよと腹音でぐーぐー文句を言われたウェイルであった。
「俺のせいじゃないんだけどな……」
「そう言えばこれ、返すってさ」
「こいつが無かったおかげで結構危なかったな……」
規制に引っかかり没収されていた『氷龍王の牙』も無事取り戻すことが出来た。
事情聴取も終わり必要な情報も全て手に入れたウェイル達一行は、新たにエリクを加えて本拠地であるマリアステルへと戻ったのだった。
――●○●○●○――
ウェイル達がマリアステルに戻って、ほんの数時間後の出来事である。
「ステイリィ上官……。やっちまいましたね……」
「う、うわああああああ!? な、なんなんだ、この状況はあああああああ!?」
ステイリィの大声が、ファランクシアで響き渡る事件が起こったのであった。