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龍と鑑定士  作者: ふっしー
第二部 第八章 銀行都市スフィアバンク編『決戦! 波乱の株主総会』
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株主総会、開幕

 様々な思惑が交錯する中、ついに株主総会当日がやってきた。

 会場となったのはリグラスラムにある株主総会専用の大ホール。

 客席数2000人という破格の大きさを持つホールだ。

 その客席全てを埋め尽くそうと、朝から大勢の株主がホール前で列を作っていた。

 株主総会の開始時刻は、本日の正午。

 後4時間以上もあるというのに、治安局が整理に入るほど人が集まっている。


「こいつらが株主……」


 治安局を率いているのはステイリィ。

 大多数の局員を交通整理に従事させ、残り一部の者で、怪しい人物がいないか監視していた。


 長い長い行列の中にイルアリルマはいた。

 彼女の目的は一般市民に紛れ込み、新リベアが企てている罠を見抜くこと。

 リルには事前に煙の出る爆竹を渡してある。

 この爆竹の音が作戦開始に合図になる手筈だ。



 ウェイル達プロ鑑定士の面々は、スフィアバンク支部へ身を寄せていた。

 プロ鑑定士総勢四十五名。

 ヴェクトルビア奪還の為に集まった、同志だ。


「うわぁ~~、こんなにたくさんのプロ鑑定士が、一同に会するところなんて初めて見た!」


 総会当日だというのに、緊張感の欠片もないフレス。

 だが、そのフレスの無邪気さにある意味助けられていると言える。

 いくらプロとはいえ、王都を取り戻す重要な作戦だ。緊張しても仕方ない。

 それをフレスの言動が柔和してくれているのだ。


「あ、試験の時、ボクの壺を鑑定してくれた人!」


 プロ鑑定士試験第一試験の時、フレスの壺を鑑定した老鑑定士もこの場に来ていた。


「ウェイルの弟子か。今回はすまなんだなぁ、試験が延期になって」

「ううん、延期だから気にしてないよ! 再開したら、ボク絶対受かるからね!」

「良い自信だ。鑑定士は常に自分に自信を持っていないとな」

「良い師匠を持ったからね! 多少の試験は余裕だよ」


 そう言われるとウェイルも少しくすぐったい。

 午前9時半になる。

 ウェイルが集まった鑑定士達の前に出て、語り始めた。


「みんな、協力感謝する。今回の株主総会はおそらく周りはリベア側の者ばかりとなる。俺とフレスだけでは何かと対処できないことが多い。それで、だ。このフレスの株を、皆に1株ずつ配布しようと思う」


 ウェイルの作戦とは、会場に入るプロ鑑定士の数を増やすこと。

 現状、株主はフレスだけであるから、入場できるのもフレスだけだ。株を持っていない者は入場を拒否される。

 しかし逆に言えば一株でも持っていれば入場すること自体は可能なのだ。

 もちろん、発言権を行使するために25%の株はウェイルが預かることになるが、残りの5%を皆に配布する。

 発言権を持つウェイルを守るためにも、護衛をつけることは必要だ。


「はい、これ。結構いい値段になるけど、ただであげちゃうね!」


 一人ずつに株券を分配していくフレス。

 これでプロ鑑定士協会は堂々と会場に入ることが出来るようになる。


「よし、皆に行きわたったな。会場内では、とにかく周りに気を付けてくれ。新リベアの奴ら、本当に何をしてくるか判らない。プロ鑑定士には逮捕権があるから、いざとなったら逮捕権を行使してくれ。会場内に神器や武器の持ち込みは禁止されている。だが主催者側の持ち込みについて、しっかりとしたチェックはない。各々、警戒だけは怠らないように頼む」


 ウェイルが部屋の窓を開ける。

 窓からは今回の会場である大ホールが見える。


「株主総会は正午から。だが、俺は本当に正午からあるかどうか疑問に思っている。奴らが発表した事全て信頼は出来ないからな。だからこそ、こういう風な形を取った」


 ウェイルは武器や神器を机の上に置いた。

 大量の株券は小分けにしてバッグに詰めてある。

 今一度株券をチェックした後、窓から外を見渡した。


「予想が正しければ、そろそろ始まるはずだ」


 間もなく午前10時を迎える。

 皆はしんと静まり、ウェイルの合図を待つ。

 それから数分後のこと。




 ――パパンッ!! パァンッ!!




 大ホールの方向から大きな音と煙が沸く。

 何事かと皆が戸惑う中、ウェイルは説明した。


「これこそ、株主総会が始まったという合図だ! 皆、行くぞ!!」


 ウェイルの指示に混乱はしていたものの、流石はプロというべきか迅速に行動を開始した。

ウェイル、サグマール含め総勢47名のプロ鑑定士と、一人の龍が急ぎ足で大ホールへと向かったのだった。


 王都ヴェクトルビアを賭けた株主総会が、今始まる。



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