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龍と鑑定士  作者: ふっしー
第二部 第七章 プロ鑑定士試験編 『試験開始、新たな懸念』
169/500

上空にて

 ――上空にて。


「…………どこへ…………いくの…………?」

「それはもう決まっているよ。早速この100万ハクロアを使っておかないとね!」

「…………フロリア…………本当のこと…………言ってない…………」

「うん?」


 フロリアは少しばかり驚いていた。

 ニーズヘッグにしては珍しく、フレスベルグ以外のことについて言及してきたからだ。

 だからフロリアはつい嬉しくなって、口が軽くなってしまう。


「まあね。と言っても、私、嘘は何一つ言ってはいないよ? ただ、少しだけ情報を隠しただけ」

「…………それって…………リベアの目的……でしょ?」

「今日はやけに食いついてくるね。そう、私達、本当は知っていたんだよね。リベアの本当の目的。でも、ウェイルには敢えて伝えなかったんだよ」

「…………どうして……?」

「どうせもうじき判ることだし。それにウェイルなら心配ないよ。私が見込んだ男だからね」


 ニーズヘッグとここまで会話を弾ませたのは初めてだ。


「今日はやけに話してくるね?」

「…………どうせ……あの鑑定士の近くには……フレスがいる……。フレスが……酷い目に……あって欲しくない……だけ……。フレスは……私の……だから……」


 フロリアは、今初めてこの龍の本質を垣間見た気がした。

 ニーズヘッグは、ただ純粋なだけ。それもとびっきりに鮮明、クリアな。

 彼女はただ、フレスベルグのことだけを考えて生きている。

 およそ理解は出来ないが、する気もない。

 途方もない時間の中を生きている龍の精神など、理解出来るはずもない。

 フロリアは、仲間の贋作士から話づてで、ニーズヘッグのしたことを聞いている。

 その内容は酷く、とても言い表せられない残酷なものだ。

 ニーズヘッグの行動原理は、ただフレスに会いたい、彼女が欲しい。それだけだ。

 その為ならば、どんなに卑劣なことでも出来る。それがニーズヘッグの純粋さだ。


(危ういねぇ……)


 それはまるでガラスの如く透明な精神。

 しかし、そういうものは総じて脆かったりするのだ。


(こっちに牙を剥かなきゃそれでいいかな?)


 今はただ、フレスを餌に利用すればいい。


「…………結局…………どこへ……いくの……?」

「そうだね、まずは――」


 行先とその目的を告げると、ニーズヘッグは一気にスピードを速めた。

 その日、マリアステルでは紫色をした龍を見たと、もっぱらの噂になった。




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