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龍と鑑定士  作者: ふっしー
第二部 第七章 プロ鑑定士試験編 『試験開始、新たな懸念』
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親友との再会

 プロ鑑定士試験まで残り一週間となった頃。

 この日、プロ鑑定士協会にあるウェイルの自室に、珍しい客が訪ねてきた。


「ウェイル兄~~! フレス~~!! 遊びに来たよ~~~!!」

「……えっ? ……ギルパーニャ!?」

「そうだよ! フレス、久しぶり!!」

「う、うん。いや、そうじゃなくて、どうしてここに!?」

「そりゃ私も鑑定士試験を受けるからだよ! 後一週間だから、競売の本場マリアステルで勉強をしようと思ってね。ウェイル兄に連絡を入れておいたんだ」

「ちょっとウェイル! どうして黙っていたの!?」

「お前の驚く顔が見たかったんだよ。なぁ、ギルパーニャ」

「うん! 作戦バッチリだったね!」


 ギルパーニャは一昨日リグラスラムを出発して、今日ここについた。

 ウェイルには連絡を入れていて、フレスを驚かすから黙っていてとお願いしていたのだ。


「驚いた?」

「驚いたよ!! ずっと会いたかったんだからさ!」

「私もだよ!」


 久しぶりの再会にも関わらず、まるで姉妹のように抱き合う二人。

 フレスは相当嬉しかったのだろう。ここまではしゃぐフレスは久々に見た気がした。


「二人とも。喜ぶのもいいが、そろそろ勉強を再開しないとな。フレス、少し遠出するから荷物をまとめておけ。ギルも一緒に行くからそのつもりで。昼から行くからな」

「えっ!? どこいくの?」

「ここで勉強するものだと思っていたのに……」


 このことについてはギルパーニャにも話していない。

 二人して驚いた顔を向けてきた。


「行き先はルークのオークションハウスだ」

「……ルークさんの? ってことはもしかして」

「宗教都市サスデルセルに行くってことだ」






 ――●○●○●○――






 宗教都市サスデルセル。

 数多くの宗教が集中する大都市だ。

 ウェイルとフレスが初めて出会った都市でもある。

 そのサスデルセルへ向かう汽車内、フレスはとてもご機嫌だった。


「みゅふふふ、楽しみだなぁ……」

「フレス、どしたの?」

「聞いてよ、ギル! サスデルセルには、ウェイルのお友達でヤンクって人がいるんだけどさ!」

「……ヤンク? ……もしかしてヤンク・デイルーラ!?」

「うん。よく知ってるねぇ」

「そりゃデイルーラ社の会長さんだもん。私じゃなくても知ってるよ。ヤンク・デイルーラ。交渉術において右に出る者はいないと言われた伝説の商人。他大陸相手でも一歩も引かない強硬な交渉姿勢は、経験行かぬものであれば、即座に首を縦に振らせてしまうという。まさに怪物。睨んだだけで、勝手に手がサインをしてしまい、一声発すれば即決になると言われたほどの……。さすがウェイル兄、そんな大物とも友達だなんて……」


 ギルパーニャの尊敬する眼差しに、ウェイルは困る。


「あのヤンクがねぇ……」


 思わず苦笑。

 大層な伝説をギルパーニャは言うが、実際に会えば判る。

 あれはただの気さくなお爺ちゃんであると。


「それで、そのヤンクさんとフレスは一体どういう関係なの?」

「お友達だよ。それでね! ヤンクさん、ボクに今度クマの丸焼きを食べさせてくれるって言ってたんだ!」

「……く、ま……?」

「クマだよ! 熊! みゅふふ、楽しみだなぁ……!! 今度ってことは、今回だよね!! ギルにも食べてみなよ!」

「え、えっと……遠慮しておく……」


 爛々と目を輝かせるフレスに対して、ギルパーニャは若干引き気味であった。


(……そういえばギルパーニャはフレスが龍であることを知らないのか)


 師匠シュラディンはフレスの正体に気付いたが、ギルパーニャに話すことはしないだろう。

 もしかすればギルパーニャには、フレスの正体を見る日が来るかも知れない。

 その時、ギルパーニャはどんな反応をするだろう。

 元ラルガ教会の信者だったギルパーニャ。

 龍に対して良いイメージを持っていないであろうことは想像に容易い。

 出来る限り秘密は守り通した方がいいだろう。

 仲良く会話をする二人を見て、少し複雑な気持ちとなったウェイルであった。




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