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第十七話 査問会

ボスは、ハナ子の奇襲攻撃に完全停止。

金縁メガネですら目を白黒させて「バグったNPC」みたいに動かない。

しかし、思わせぶりな誘導尋問であることに気づくと二人そろって大草原WWWWWWWW。

……いや、笑いすぎだろ。

ハナ子だけは笑わずに、逆に睨みつけてくる。

「この場面で笑うなんて失礼です!」って顔だ。

だが金縁メガネの口は止まらない。

「なるほど寒月が恋しているのは、そのお嬢さんですか。いや確かにそうでしょう。寒月が恋してるのは間違いないですね。もう隠しても無駄ですよ、白状しちゃいましょう!」

ボスは「ハフン」と投げやりな言葉。

……いや、返事になってないし。

ハナ子はさらに得意げに畳みかける。

「隠してもダメですよ、証拠は揃ってるんですから!」

金縁メガネはノリノリで話に乗っかってくる。

「秘密って怖いねえ。隠してもどこからかバレるんだ。で、どうして金田の奥さんが知ってるんだ?これは驚きだ!」

ハナ子は胸を張って「私だって抜かりはありません」とドヤ顔。

「抜かりなさすぎですよ。誰から聞いたんです?」と金縁メガネ。

「裏の車屋のおかみさんです」

「黒猫がいるあの車屋か!」とボス驚愕。

「ええ、寒月さんが来るたびにどんな話をしてるか、全部報告してもらってたんです」

「そりゃヒデエ!」とボスが声を張り上げる。

ハナ子は涼しい顔で「先生のことじゃないですよ。寒月さんのことだけです」と返す。

「寒月だろうが誰だろうが、あの車屋のおかみは気に食わん!」とボスは一人で怒り出す。

ハナ子はさらに追撃。

「車屋だけじゃありませんよ。琴の師匠からも色々聞いてます」

「寒月のことを?」

「寒月さんだけじゃありません」

……ちょっと怖いことを言ってる。

ボスは逆ギレ気味に吐き捨てる。

「師匠は上品ぶってるけど、馬鹿野郎だ!」

「先生、女ですよ。野郎はお門違いです」とハナ子が冷静にツッコミ。

もう完全に喧嘩腰。けど金縁メガネは余裕の笑みで観戦モード。

まるで「ハブとマングースの決闘ショー」を見物してる旅行客みたいな顔で、楽しそうに聞いている。

ボス、ハナ子の口撃に完全に沈黙。ハブじゃ勝てないと悟ったらしい。

しばらく固まったあと、ようやく思いついたように金縁メガネへ助けを求める。

「いやいや、寒月が御嬢さんに惚れたって話ばかりだけど、俺の聞いたのはちょっと違うんだぜ。なあ、迷亭君?」

金縁メガネは「うん、あの時の話じゃ御嬢さんの方が病気になって、うわ言を言ったように聞いたね」とウンウン相槌。

「そんなことありません!」と金田夫人は即座にブロック。

言葉が鋭すぎて、まるでイチローのレーザービーム。

ボスは食い下がる。

「でも寒月は確かに○○博士の夫人から聞いたって言ってたぜ」

ハナ子は話を合わせる。

「それがこっちの作戦なんです。博士夫人に頼んで寒月さんの気を引いたんですよ」

「博士夫人は承知で?」

「ええ。ただじゃ引き受けませんよ。色々モノを使ってますから」

ハナ子のドヤ顔が止まらない。

金持ちの傲慢さに金縁メガネもさすがにムカついたらしく、珍しく声を荒げる。

「寒月君のことを根掘り葉掘り聞かないと帰らないっていうんですか?」

ボスは「まあまあ、話したって損するわけじゃないし、話そうじゃないか」と先に進める。

「奥さん、俺でも先生でも寒月君に関する事実で差し支えないことは全部話しますから。順を追って聞いてくれた方が都合がいいですよ」

俺からすれば、もう完全に「情報交換会」じゃなくて「査問会」。

ハナ子の勢いに押されて、ボスと金縁メガネが半ばギブアップしてるのが笑える。

ハナ子はようやく納得したらしく、今度は質問モードに切り替えた。

さっきまでの喧嘩腰が嘘みたいに、金縁メガネには丁寧な言葉遣いだ。

「寒月さんも理学士だそうですが、どんな専門でございます?」

ボスは横から真面目に答える。

「大学院では地球の磁気の研究をしています」

残念ながらハナ子には意味が分からない。

「へえー」と言いつつ、顔は完全に「???」。

「それを勉強すると博士になれますか?」

ボスはムッとする。

「博士にならなきゃ嫁にやれないって言うんですか?」

「ええ。ただの学士じゃねえ、いくらでも居ますから」

ハナ子は平然。ボスの顔はますます渋い。

金縁メガネも苦笑い。

「博士になるかどうかは保証できんから、別のことを聞いてください」

「近頃でもその地球の……何かを勉強してるんでございましょうか?」とハナ子が食い下がる。

ボスは何の気なしに答える。

「二、三日前には首吊りの力学の研究結果を理学協会で発表しました」

……おい!その言い方は誤解を招くって!

ハナ子は目を丸くする。

「いやだ、首吊りだなんて。そんなことで博士になれるんですか」

ボスはクールに返す。

「本人が首を吊ったら難しいですが、首吊りの力学なら博士になれないとも限らないです」

……いや、フォローになってない!

ハナ子は意味が分からず、ボスの顔色を伺うばかり。ボスは渋い顔。

「そのほかに分かりやすい研究は?」

「そうですな、先日は”ドングリの安定性について”という、天体の運行にも関係する論文を書きました」

「ドングリを大学で勉強するんですか?」

金縁メガネは涼しい顔で冷やかす。

「寒月君がやるくらいだから、価値はあるんでしょうな」

俺からすれば、もう完全に「学問=謎の暗号」。

ハナ子は理解できず、ボスは不機嫌、金縁メガネはニヤニヤ。人間ってほんと面白。

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