表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おれたちはサクラ色の青春  作者: 藤香いつき
ハロー・マイ・クラスメイツ
9/79

01_Track08

 ——と思ったのに。

 どうしておれはベッドにいて、目覚ましのアラームが鳴っているんだ。

 

「あぁぁぁ……ばか! なんでチェリーはこんなときに限って起こしてくれないんだよっ!」

 

 スマホは、まだ充電ステーションの上。いつベッドに入ったのか記憶にない。……いや、ほんとは覚えてる。眠気に負けてまぶたが落ちてくるものだから、(ちょっとだけ)なんて甘えた考えで寝転がった。前日の緊張で眠れなかった睡眠不足と早起きが尾を引いていて……。

 言い訳を考えている場合じゃなかった、洗濯だ。ブレス端末の通知にも気づかないくらい健やかに眠っていた。


 廊下を走ったヒナがランドリールームをのぞくと、そこには昨日と同じ光景が——おや?

 

(これ……おれのだ!)

 

 昨日のワイシャツよりも一回り小さい。干されたヒナのシャツと、乾き終えているらしい乾燥機の中の服。それから、洗濯バサミで留められたノートの端切れ。

 ヒナが書いたメッセージの下、

 

『わるかった。ありがとう』

 

 走り書きの雑な字が、感謝を残していた。

 

(おれのも干してくれたんだ!)

 

 ぐしゃぐしゃの半濡れな服を覚悟していただけに、胸の奥が温かくなった。

 身勝手なことをしてしまったが、ありがとうの言葉に、親切のお返しまでくれた。


(こういうの、うれしいな……)

 

 比較的裕福な子が多い桜統で、寮生活をしている子は少ない。麦から聞いたが、現在の2Bはヒナ以外の寮生がいないらしい。

 少ない寮生同士、互いに支え合う、施設の仲間のような感じが、ヒナにとって懐かしく温かだった。

 

(……今日も一日、がんばろう)

 

 

 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ