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おれたちはサクラ色の青春  作者: 藤香いつき
青春をうたおう
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05_Track01

 桜統(おうとう)学園は、夏休みを迎えようとしていた。

 終業式が終わり、生徒会からの連絡や体育祭に向けた色決めのくじ引きなどが、教室のモニター越しにライブ映像で流れる。2Bのクラスメイトたちはそれを見ながらも、すでに気もそぞろだった。(壱正(いっせい)だけは、真面目に画面を見つめていたが)

 

「夏休み、(うち)に泊まりに来ねェ~?」

 

 午前中で放課後となった教室。琉夏(るか)がクラスメイトを誘った。「夜通し遊ぼ~」ハヤトや竜星を中心としているが、誰でも歓迎らしい。遠い席の壱正まで届く声だった。

 

 竜星(りゅうせい)がスクールバッグにペンケースだけ放り込んで顔を上げる。

 

「夏休みって言ってもぉ、集中講座あるやろぉ?」

「オレ、一個も取ってねェもん。フルでフリー」

「嘘ぉ……あんた自由すぎんか? 先生から注意受けんかったん?」

「担任? 研究だけ、ちゃんとやれって言われたァ~」

「集中講座を取らん桜統生。前代未聞やろな……」

「オレって歴代最高の天才だから」

「あっそぉ……天才は天才でも誘っとき」

  

 竜星が顎で示したのは、中央の席で机の中を整理しているヒナだった。教科書やノートを順にリュックへ詰める手が妙にきびきびしている。

 

「ヒナ~、夏休みオレんち泊まりに来るよなァ~? ゲーム大会しよォ~」

「うん、全然むり。おれは空いてる時間ぜんぶ集中講座いれた」

「——はァっ?」

 

 琉夏の声が教室に響く。

 ヒナは振り向くことなく話し続けた。

 

「留学向けのも取ったし、この夏は充実しそうだ。講座はみんな違うから少し(さび)しいけど……学祭の準備で会えるな! みんな熱中症に気をつけて。じゃあなーっ」

 

 取り出した教科書類をリュックに詰め終えると、ヒナはひらっと手を掲げ、颯爽と教室を後にした。

 あっさり振られた琉夏が固まっている。

 竜星がぼそりと(つぶや)いた。

 

「ぜんぜん淋しそうじゃないやろ」

「……ってか、昼メシ! 一緒に食おうって約束してたじゃん!」

「ほんとや。ヒナ、完全に忘れてるわ……連絡するかぁ?」

「オレする。どうせ部活あるし、敷地内にいるっしょ」


 琉夏がブレス端末に触れたところで、ふと竜星が周囲を見渡す。


「……ん? ハヤト、どこ行った?」


 気がつけば、ハヤトの姿も教室にない。

 

 

 

 

 

 

 

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