シーン8挫折…仲間。
私の身体から力が溢れてくる。
それは煌々と身体中に力が漲っているように感じる。
そして私は叫んでいた。
「やめろーーーーーーーーーーーーーっ!?」
三人がボロボロになるほどの力を持っている目の前の強敵であろうミノタウロス。
奴はこちらに気が付き大斧を肩に乗せ振り向く。
だけど…今……私の腕力では到底あの怪物には攻撃が効かないだろう。
それは見るまでもなく分かる。
ならば…私には勇者の力がある。
頭でそれを考えていると…脳裏に精霊さんの声が届く。
『ラブラ……君はミノタウロスを封印する事を考えてるんでしょ?』
『そう……だ……けど…………………。』
『だよね?でもそんな君に教えておくよ…今の君の力ではあのミノタウロスの封印はできないよ。』
『えっ?どうしてだよ?今までゴブリンだってキラーエイプだって封印できたんだよ?大丈夫さ!!』
すると精霊さんは告げる。
『これまではラブラの力でも封印はできたかもしれない……でもミノタウロスはレベルが違う………そして僕は君の一部である精霊なんだ…君が消える事になったら僕も消えちゃうんだ……だから僕は君の無茶な行動は止めるよ…。』
すると精霊は言葉を止めてしまう。
私は剣を構えミノタウロスに向き直る。
「やってみなきゃ……わからないんだーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
私は剣を振り上げミノタウロスに斬りかかる。
次の瞬間。
ガキーーーーーーーーーーーーーーーンッと音を立て私の斬撃を止めるミノタウロス。
その大斧は軽々しくも私の体重をかけた斬撃を止めてしまう。
『くっ!?なら……連撃だっ!?』
私は剣を止める事無くミノタウロスに連撃を繰り出す!!
だけどその強靭な肉体とアイツの大斧はビクともしない。
「それなら………」
私は『封印』を強行する事にする。
腕輪はキラリと輝きを見せる。
そして光が溢れ出していく。
『魔神……………封印…………………………。』
私のとっておきの技が放たれる。
「おおっ……………。」
「これで魔物は魔神として………捉えられる……………。」
二人がそう呟く。
私もその言葉にふぅっと息を吐いたんだ。
『ほら……やっぱりね……私の力を使えばこんな敵でも………………………。』
私の呟き……………だが…ミノタウロスは平然とし……その存在は残ったままだ。
『まだだーーーーーーーーーーーーーーっ!?』
ドワフロスの叫び声。
『えっ!?』
私の目の前にはニヤリと笑みを浮かべるミノタウロスの姿。
『そんな………無理…………なの?……………………』
振り上げられるミノタウロスの巨大な腕……握られている大斧。
そしてそれは無惨にも振り下ろされる。
ザンッと激しい斬撃音。
私は思わず目を閉じる。
だが……私の身体に何も起こらない。
ゆっくりと目を開いていく私。
そこには。
『うっ!?ぐううっ……………………………。』
「「ドワフロス!!???」」
エルファーノとロイズの叫び声が鳴り響く。
見れば僕を庇い右腕を犠牲にミノタウロスの大斧の攻撃を受けているドワフロスの姿。
ドワーフの筋肉質の剛腕に刺さり動きを止める怪物の大斧。
だけど…ドワフロスの腕からはおびただしい血液が流れ出し地面を赤く染め上げていたんだ。
『ぐううう………なんとか間に合った………な。』
『ドワフロス!?』
私はその光景に動けなくなっていた。
するとドワフロスは痛みに耐えながらも私に笑顔を向ける。
『ふぅ………無事だったか?』
『………………』
私は目の前で起こった恐ろしい光景に震えてしまう。
すると、ふっと笑みを浮かべドワフロスは語る。
『そりゃあ……そうだよなあ……敵だろうが味方だろうがこうして戦い傷つけ合えば痛え……でもな……勇者ラブラよ……誰かがこの戦いに終止符を打ってやめさせなければこれからも世界のどこかで魔族による『痛い』は増えるんだ……お前はまだわけもわからず戦わされているこの状況……今は……お前の気持ちを最優先すればいい…戦いたくなかったら戦わなくていい……その分……俺がお前の代わりに……………。』
傷つきながらも立ち上がっていくドワフロス。
そしてまた彼は大きな剣を握る。
『戦ってやるからよおーーーーーーーっ!?』
すると同じく立ち上がっていくロイズ。
『僕だってやってやる………勇者はまだ目覚めた子供みたいなものだ……僕達が守り成長してもらうんだ……君は僕達の…………………希望……なんだから。』
彼は胸から取り出した銃を構える。
そして………立ち上がり口を開くエルフィーナ。
『二人とも……そうね……この子……ラブラちゃんはまだまだ生まれたての勇者……すぐに何かを望んじゃいけないし……これは彼女の歩き出す一歩なの……それまで私たちは彼女を守らなくちゃ…ね。』
三人は立ち上がった。
目の前には到底勝てそうもない魔族がいるのに。
僕は。
僕は。
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