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勇者ラブラ伝説~私って実はちょっと凄いんだよ?~  作者: 黒羽冥


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シーン52悲しき精霊ウンディーネ

この男……名は『速水はやみ』という。

異国の忍という一族の暗殺者である。


『ふぅ……ようやく辿り着いたがこの依頼……ほお……。』


男は目にしていた依頼書であろうか紙を粉々に引きちぎる。


『この俺への依頼とは『ザイアック』という富豪め……余程の相手なのか……まあいい……この世界きっての暗殺者であるこの『速水』の忍の実力……そして魔神である『韋駄天』の力を思う存分……思い知らせてくれる。』


これがヨーロディアにラブラ達が転移するほぼ同時刻に起きた出来事であった。


そして現在まで遡る。

『ふうぅぅぅ……お腹いっぱいだあ。』


私は満足気にそう声を上げる。


『そうですか……それは良かったです。』


そう言ったドライアードは森の恵を実らせていた木々が実の全てを食い尽くされ枯れようとしかけた様を目の当たりにしながら呟く。


『おお………凄いわねラブラちゃん。』

『まさか森の木々までもがラブラの胃には勝てなかったとは。』


そう呟くエルフィーナとロイズ。


『君達ーーーっ!!ホントにごめんね!ゆっくり休んでいてねえ…』


実をなしていた木々にそう告げるドライアード。


『さあ!!村へと急ぎましょう勇者様!!??』

『わかったあああーーーーーーーっ!!村では何が出るかなあ……』


私がそういうと驚きの表情を浮かべる皆。

私…なにかおかしな事言っただろうか。

そう思いながら村へと向かったんだ。

私達は森の中を目指していく。

すると徐々に水の音が聞こえてくる。


『あれっ!?川かなあ?』

『ええ……ここから川の上流域までいくとそこにこの地の水の精霊『ウンディーネ』達の暮らす村へと行く事ができます。』

『おお……なんと……あの精霊ウンディーネ達を目にする事が出来るのね?』


そう言葉にするエルフィーナ。


『ウンディーネって珍しいの?』

『ええ……ラブラちゃんもそうだけど私達やドワーフ達精霊ですら中々…元素の精霊達を目にする事はないのです…それだけ希少な存在という事なの。』

『そうなんだあ……でも……水の精霊って事は……もしかして………お魚さんなんか沢山とれる村なのかなあ……』


私の頭の中には様々な魚料理が浮かんでくる。


『えっと……焼き魚に魚のムニエル……なんと言ってもお刺身………ああ……またお腹が空いてきちゃう。』


妄想する私。


『ちょ……ちょっとラブラちゃん!?』


私の言葉に焦るエルフィーナ……私の頭の中は妄想のまま…先を急いでいたんだ。

道案内をしてもらいながらウンディーネの住むという村を目指した私達。

やがて森の奥の方に泉の様な場所が見えてくる。


『ラブラ様っ!ラブラ様っ!?』


私を呼ぶドライアードちゃん。


『ん〜〜〜?お魚どこお??』


私は駆け寄り飛びかかる!!


『そこかあああーーーーーーーーーーっ!?』


するとドライアードちゃんは驚き……ひらりと私を躱す……そのまま私は泉にダイブする。


『うわあああっ!!』


ドボンっ!!


『ぷはあああーーーーーーーーーっ!?』

『もう……何してるのーーー!?』


後ろからエルフィーナの呆れたような声が聞こえる。

すると。

私の目の前の泉に波紋が現れる。


次の瞬間。


ボコボコっと大きな波紋に変わりそして。

ザバーーーーーーーーーーーーーーンっと姿を現したのは……………小型の精霊だったんだ。


『あーーーーーーっ!?ウンディーネ!!』


叫んだドライアード。

すると気がついた水の精霊は目をぱちくり開き口を開く。

全身が透明な水で、できたその身体。

そして見た目は小さな女の子の水の精霊ウンディーネ。


『んんっ?ドライアードかあ?』

『そうだよ~~~!久しぶりだねウンディーネ!?』

『ドライアードぉ……久しぶりだなあ……今日はなんのようかなあ?』


どうやらこの特徴のある話し方をする水の身体を持つ者が精霊ウンディーネらしい。


『君達に何かが起きてると……我らが雷武様より向かえとの司令がでたのよ!それで私がこちらの『勇者』様を案内してここまできたってわけよ。』

『ほおおお〜〜〜!雷武様……流石……そして……お前が勇者かあ?』


私をじーっと見ながらそう問いかけてくるウンディーネ。


『そうだよ!初めましてウンディーネ!私は勇者ラブラ!よろしくね!』


するとニコニコと笑顔を見せるウンディーネ。


『うわ〜〜〜あああ〜〜〜い!勇者を連れてきてくれてありがとうなあ〜〜〜ドライアード〜〜〜!』

『なんのなんの!それでアンタ達に一体何があったんだい!?』


そう問いかけるドライアード。

すると急に悲しそうな表情に変わるウンディーネ。

次の瞬間……ぽたぽたと水滴………という名の涙を目に浮かべ潤ませたウンディーネは静かに語りはじめたんだ。

お読みくださりありがとうございました。


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