シーン45魔道具の怪。
私達の前であの怪鳥が苦しめられている。
この怪鳥は極楽鳥と呼ばれ……人々に脅威を与える存在ではないとエルフィーナ達も話していたし私もそう感じる。
そして古代からこの地の平和を守ってきたような存在なのだ。
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『やめろおおおーーーーーーーーーっ!?』
私はそう叫んでいたんだ。
『やめろだと!?』
騎士長『フレイル』はそう呟く。
『そうだよ……その魔物は何もしてないじゃないか!?それにおじいちゃんの魔道具をこんな事に使うなんて……私は認めないんだから!!』
『クククッ…そうか、やはりお前はあのメギノス博士の孫とかいう娘だったか……。』
『どうして君がおじいちゃんの事を知っているんだよ?』
するとニヤリと笑みを浮かべる『フレイル』は口を開く。
『そりゃあ……ねえ…………………。』
『おじいちゃんはどこにいるんだい?』
『ふん…………そこまでは僕達も知らない………僕達はあくまで魔道具の開発者としての彼の事しか知らないのだから。』
そう冷たい言葉を告げる奴。
『しかし……我々はこの山に魔物の討伐にきたのでね………捕らえたこの極楽鳥はもう僕達のものだ……そしてこの頂上にはもっと恐ろしいドラゴンがいるとも聞いていてね……まあ我々の力と魔道具でそのドラゴンも捉える事が我々の仕事って訳さ…そしてドラゴンを仕留め……この地の魔草を手に入れ下山するのさ。』
『なんだって!?ドラゴンってもしかして………深紅のドラゴンの事?』
『ほう……どうやら君たちはドラゴンの事まで知ってるなんて……そしてここまでくるなんてやはり…只者ではなさそうだねえ…でも……おや?そこにいるのは僕達の邪魔をしようとしてきた……あのドライアードじゃあ……ないか……どうやってここまでこれたんだい?……。』
淡々とそう問いかけてくるフレイル。
すると私の背後に隠れながら震えた声を上げるドライアード。
『な!!私達が貴方に何をしたというのです……私達はこの森を守る存在……それ故に突然現れた貴方達の様子を伺っていた………そこをあなた方は突然その魔道具を使い私の力を奪ったではありませんか……しかも、この地の魔草を狙うなんて。』
『ふっ……精霊とはいえ……あなたの様な存在は我々ヒューマンからすれば……恐ろしい魔物……僕達が捕らえるに等しい存在だろう?……そしてお前には魔草の場所を案内させるがな。』
私はその声に震えが止まらなかった。
すると、聖騎士フレイルは続ける。
『我々はこの魔道具を利用し聖騎士としての責務を果たすのだ……邪魔だてする者はどんな相手だろうが……容赦はしない……ドライアードであろうが…極楽鳥だろうが…ドラゴンですら……僕達の敵ではない。』
『ググッ………グウウ………………………………。』
『人間……私達に害をなす存在……私はドライアード……もう……以前のように簡単に私を捕らえる事……叶うと思わぬ事だ。』
ドライアードは魔力を全身に纏う。
すると…見ていたフレイルは笑いだす。
『クククッ……我々の魔道具はその全てを奪い吸収し尽くす……貴様らにどれだけの力があろうがこの聖騎士の敵ではない。』
奴はそう告げる。
フレイルのその声に先程よりも弱った極楽鳥は静かに唸ったんだ。
そしてドライアードもまた。
『この森……この山……そして……貴方がたに何一つ害をなしていた訳では無かった…ここに存在していたそんな私の仲間達……皆を傷つけた罪……私達は全力で貴方達を止めてみせます!!』
極楽鳥の弱った姿……そして……震え叫んだドライアード。
すると、口を開く騎士長フレイル。
『なら……そのドラゴンとやら……そいつもここへ呼べよ……そしてそのドラゴンを我々が倒したなら……お前達ももう……抵抗する事なく我々の支配下に収まるのだ。』
下卑たその表情で奴はそう言い放ったんだ。
そんな奴に目を向ける私。
そして私の手には魔神具が握られている。
『そうか…………なら………この私も……本気になっても………いいの…………かな?』
『ん?なんだ?…』
(雰囲気が変わった…………のか?)
私の体内になにかの異変が起こっていたんだ。
胸の辺りが急激に熱くなり何か爆発しそうな程だった。
『私はさ……皆が仲良くなれるなら楽しくなるんじゃないかなって思っていたんだ。』
『なに?それがどうした?』
『それは魔物も人間も何も変わらない……私は人間も精霊も……そして魔物だって言われてる子達だって私に力を貸してくれるし優しくしてくれるんだ…それでも私は優しすぎる………甘いって思われる事も確かに多いよ………。』
『………………………………。』
『でも………それでも私は…………………。』
『私は………』
身体中に力が漲る。
『私の敵だと認識してしまったら……絶対………そいつには………負けないんだ。』
するとフレイルの表情が豹変する。
それはまるで……聖騎士とは思えない程の表情で……冷たく私を見つめていたんだ。
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