シーン22セオドア
ロイズの故郷マイーラルミの街に辿りついた私達。
でも目の前の光景はあまりにも酷い惨状だった。
『これは酷いな。』
きな臭く……だが…まだあちらこちらに噴煙が立ち込め、この悲劇が数分前か数時間前に起こった事を物語っていたんだ。
『父さん!!!???』
ロイズは叫び街中を走っていく。
その後を追うように私達は追走する。
すると町外れまで辿り着こうとしたその時、ロイズの足はピタリと止まる。
後ろから見た私達の眼前にボロボロの廃墟と化したとある施設が見えたんだ。
『父……さん……………。』
震えながら施設へと足を進めていくロイズ。
私達はロイズの背中をついていく。
ここまでするのか。
一見そう見えてしまうボロボロの建物。
完全なる廃墟だったがあちらこちらに噴煙が立ち上る。
その焼けた匂いに不快な思いをするが誰か人影がないかを確かめながら私達はゆっくりと歩を進める。
その時。
『ロイズ………か。』
そう声を震わせながら姿を現した男がいたんだ。
『セオドア!!???』
ロイズが声を上げ男の元へ駆け寄りだき抱える。
『セオドア!!一体何があったんだ!?』
『分からない………昨日まで本当に……この街…マイーラルミ……そしてこの施設も平和だったんだ。』
『そんな……施設内の人達は!!???』
ロイズは知人なのであろうセオドアの肩を揺すり大きな声を上げる。
すると苦しげに口を開くセオドア。
『すまない……………………。』
『うあああああーーーーーーーーーーーっ!』
町中に響き渡るロイズの悲痛な叫び。
それはこの街に起こった悲劇を痛感させる声だったんだ。
◇
◇
◇
『数多の精霊達よ……この者の傷を癒す光となれ…………治癒』
エルフィーナの魔法はセオドアの傷をみるみるうちに回復させていく。
『お……おお………回復魔法か……ありがたい。』
エルフィーナのヒールに声を上げるセオドア。
そして、ロイズはセオドアに声をかけていく。
『それで……セオドア……一体この街……この施設に何があったんだ?』
ロイズの声にセオドアは微妙な表情を浮かべる。
『あ、ああ……では話そう……この街に起きた悲劇を。』
そして…セオドアはゆっくりと語り始めたんだ。
◇
◇
◇
あれは今日の夜明け前の出来事だった。
本来ならこの街にもいつもと変わらない一日が訪れるハズだったんだ。
僕はあの施設で働いているんだ……だからいつものように施設内の夜の見回りをしていたんだ。
◇
『ふぅ……今日も何事もないかな。』
僕はそんな独り言を口にしていた。
この施設は魔王による被害から精神にも異常をきたし動く事もままならない者達も数多く入所している……そしてそんな一人にロイズの母親もまた。
そして僕はいつものようにそんな利用者の為に働いていたんだ。
僕は…………ロイズ……君の父親の担当が多かったんだ。
君を友人として僕は君が夢を追いかけていたのを知っていた…だから君の為に……君がもしもこの街に帰ってきたらこの父親と幸せに暮らせるだろうと。
僕は見回りを終え戻ろうとしている所に。
……闇から突然僕の前に現れた…なにか…。
『お前らは……魔族か。』
僕はそう言葉をかけていた。
僕の前に現れたのは数名のなにか。
でも僕には何かを感じたんだ。
とても人間とは思えない邪気。
すると彼らのうちの一人が口を開く。
『ほお?人間か………貴様……我らの気配に気がついたのか?』
『何を言ってるんだ?』
僕はそう言葉を返す。
『我らは、とある人間に頼まれてここに来たのだがな…ここへ『ロイズ・ミラー』という男の肉親がいると聞いてきたのだが……知っているか?』
魔族はなんと……君の事……そしてその肉親である父親『ロッド・ミラー』が居る事を知り施設へとやってきたという話だった。
もちろん僕はそんな話を許す訳がなかった。
すると……男は言った。
『僕は密かにロイズ、君の現在の話を耳に入れていた……メギノス博士の元へ弟子入りし頑張っている事を。』
僕は意を決し返す。
『そんな人達は知らない……ここにはいない……だから帰ってくれ。』
僕のその声。
すると奴らのうちの一人がいつしか……君の父親をどこからともなく連れ出してきていた。
僕は懇願した……彼に何かあったら君に顔向けできないと。
セオドアはそこまで言うと顔を上げたんだ。
◇
『全てを……奴ら魔族に燃やされたんだ……そして、これがここで起きた全てさ……』
『父は……どうなったんだ?』
『連れてくるかい?』
セオドアの声に頷くロイズ。
すると…セオドアはゴソゴソと胸から何かを探る。
次の瞬間……セオドアは何かの『骨』を高々と持ち上げていた。
『セオドア!?それはなんだ!?』
『これはね………君の父親だよロイズ!?』
『なにっ!?』
セオドアは構える。
『クククッ……僕はザイアック様に雇われているネクロマンサー……セオドア……ザイアック様に敵対する勇者一行をここで始末する為に待ち構えていた男だ。』
◇
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