シーン20シチュー。
「ふうぅぅぅ。」
「やったあああーーーーーーーーーーっ!?」
私は戦いを終えた……そう『ザイアック』の刺客の『オリバー』を無事倒す事ができたんだ。
私が振り返ると駆け寄ってくるエルフィーナ。
彼女が私に抱きついてくる。
「わわっ!!エルフィーナってば苦しいよおおーーーっ!?」
「いやあああーーーーーーーっ!?ラブラちゃんはやっぱり最高!!可愛すぎるーーーっ!?」
しがみつくエルフィーナ。
するとエルフィーナが我に返り恐る恐る振り返っていく。
そこには……いやらしい顔の博士が立ちその手はきっとエルフィーナの背後から何かを狙っていたようだ。
『はわわ……ああっ………ふえええぇぇ…………。』
涙目で首を横に振るエルフィーナ。
『いやあああーーーーーーーーーーーーっ。』
◇
◇
◇
そこへ近づいてきたのはロイズとドワフロスだった。
『やったな……勇者ラブラ。』
『お前はこれからだ……まずは一歩……踏み出せたな……ラブラよ。』
二人が私ににこやかにそう言葉をかけてくれた。
『うんっ!!二人ともありがとう。』
私の笑顔に二人は笑顔で頷く。
そこへいつの間にか戻ってきたのはエルフィーナだった。
すると彼女は私を抱きしめてくれる。
温かなその胸に抱かれた私。
『本当にお疲れ様ラブラちゃん…………』
「うんっ!!」
『さあ……じゃあラブラちゃんの為の、ご馳走に腕を振るわなきゃね?』
私にそう提案してくれるエルフィーナは小屋へと戻っていったんだ。
私が彼女の後ろ姿を見ているとエルフィーナに殴られたのであろう頬に赤い手のひらの痕をつけたまま戻ってきたメギノス博士。
『いったた……老人に手加減せんかいあの娘が………。』
「メギノス博士……………」
私は苦笑いしか出来なかった。
すると。
『ラブラよ……よくやった……お前はやはり勇者じゃ……これからあの魔王討伐という世界の悲願を果たさなければならぬであろう………それまでまだまだその道のりは長い……やっていけるか?』
私を見るその目には期待に似た何かを感じる。
『はい!!』
私は微笑んだんだ。
「さあ……ではそろそろ飯にしようかの……このままではきっとあのザイアックの手の者はまたここへ現れるであろう……その為の話をしようではないか。」
博士のその言葉に私達は頷き小屋へと入っていったんだ。
◇
私達が中に入ると小屋の中はいい匂いが立ち込めている。
◇
「クンクンクン……これは………」
私の鼻に感じたいい匂い……これは。
『シチュー!!!!!????』
私はそう叫んでいた。
『ラブラちゃん……そうよ………シチューよ?このメニューもしかして知ってるの?』
「うんっ!!私の世界にもあったと思う!!私大好きだったもん!!」
そう…なぜかこの匂いは脳内に記憶されていたのか……この匂い=美味しいという計算式の答えが脳内で処理されていたんだ。
そして。
『いただきまーす!!』
私はエルフィーナが作ってくれたシチューを食べ始める。
これは本当に美味しい。
全国共通というか全世界……いや、異世界を含めた全世界共通の『美味しいメニュー』なのだろう。
するとシチューにがっついている私を横に一人うるうるしながら手を震わせている男がいたんだ。
『あら?どうしたのロイズ?口に合わなかったかしら?シチューは嫌い?』
ロイズに声をかけるエルフィーナ。
すると目を潤ませていたロイズがシチューを一口………口に運ぶと……その目からは涙が零れたんだ。
『い……いや……美味いよ……本当に……美味いよ。』
そう……ロイズは涙を流したんだ。
◇
◇
◇
食事が終わり……一人涙を流したロイズ。
するとロイズを見ていたメギノス博士が口を開く。
『ラブラ……そして皆の者……これからの道はあの飛び去ったドラゴンの元へ向かうと行っていたが……情報を入手したのだが…このアメリスアードの大地は広い……ここ『テキスーサ』のある場所は東の果て……だが……ドラゴンの飛んで向かった先は西の果てだという情報であった。』
『それは……博士……』
『ああ………移動するにはかなりの時間を要してしまう……そこでわしは転移魔法装置を準備しようと思う。』
『転移装置………ですか?』
『ああ……その間……時間が有り余りそうじゃしの………。』
そう呟くメギノス博士は再びロイズに目を向ける。
『のお?ロイズ……時間がかかるのでな……どうじゃ?自分の生まれた地に足を向けてみてはいいのではないか?』
バッとメギノス博士を見やるロイズ。
ロイズのその目からは涙が溢れていた。
『はい……ありがとう………ございます………。』
ロイズはそう言葉を口にすると。
静かに声を抑えながら。
泣いたんだ。
◇
◇
◇
こうして私達はロイズと共に彼の故郷へ行く事になったんだ。
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