シーン19勇者ラブラと魔神メズ
私の目の前には『ザイアック』からの刺客『オリバー』がいる。
『ほほう………どうやらこの俺とやり合うようだな…さあでは楽しませてもらおう。』
オリバーはそう告げサーベルを構える。
私も返すように構えるのは聖剣だ。
私達の間には緊張感が高まる。
『いくぞおおおーーーーーーーーーーっ!?』
ダッと飛び出してくるオリバー。
私の頭上から振り下ろしてくる奴のサーベル。
私は聖剣を構えサーベルをうけると重くのしかかってくる。
ニヤリと微笑むオリバー。
『クククッ……勇者とはいえ……所詮女……この俺の剣にはかなうわけなどあるまい。』
そういうと更に攻撃を追加するかのように振り上げていく奴のサーベル。
『これで最後だ………………………………………………。』
『そうは………いかない…………………………』
私は左腕を振り上げていく。
三人……そして博士は倒れつつもこちらを見ている。
「ラブラちゃん………」
「ラブラ……………………」
彼らの声を残し私は集中していく。
『何か………お前にできるとでも言うのか……』
「できる………………」
そう告げたのは『メギノス』博士。
『なにっ!?』
「その子は…勇者…………そしてワシの研究により……その成長を僅かだが施した……今のラブラは……強いぞ?」
博士のその言葉。
私はオリバーを見据える。
『ほお?そんな勇者という存在……確かに、この俺の攻撃を受け止めた事だけの事はある……だが……それだけでは元騎士団の特別隊隊長だったこの俺にかなうハズがないのだ。』
するとサーベルを振り上げていく。
そして。
『騎士法……魔法剣………『火炎剣』』
『これをくらって立つものなどいない……さあ……いくぞ。』
ダンっと飛び出し斬りかかってくるオリバー。
私は身構える。
すると奴のサーベルに火がともる。
「あれが……魔法剣…………………」
『くっ……そうみたいだね…。』
エルフィーナ達がそう言葉にする。
『クククッ……この俺はこうして傭兵になる事で俺の本来の騎士としての力を誇示しそしてよりこの力を発揮できる……さあ………我が剣で….。』
『死ねーーーーーーーーーーーーーーっ!!』
その時…………私の腕輪から眩い光が発せられる。
そして聞こえる精霊『ラムネ』の声。
『ラブラ…………成長したみたいだね。』
『うん……戦いの基礎はしっかり身につけたつもりだよ?』
『そうだね…でも君は勇者だ……その力だけは誰にも真似できないんだ……今こそ君の力を……ここに………………………さあ。』
『うん………いくよ?』
私は腕輪に祈る。
『出てよ……魔神……………馬頭…………その力をここに…………。』
私の手には一本の輝く槍が握られている。
「なにっ?」
オリバーが私を見てその剣技を止める。
すると私の槍先から発せられた光が具現化していく……………。
そして光から姿を現したのはあのミノタウロスとも同等の力を持つと言われる馬の頭を持つモンスター。
そのの小型版の姿なのである。
これは今までの私の魔神化させた者の小型版である。
故に……見た目は可愛いらしい二頭身の馬頭なのである。
「クククッ……クククククッ…あーーーっはっはっは!!!何が飛び出すと思ったらなんだその魔神とは………舐めてるのか!?」
『魔神……レベルワン。』
私の声に槍を構える魔神馬頭。
だが、オリバーはそのサーベルを再び構え直し襲いかかってくる。
馬頭の頭上からサーベルが降りかかる。
『馬頭……………………いくよ?』
私は槍を構える。
だっと飛び出す私。
「フン…………まずはお前だ!!」
馬頭に目掛けた火炎が放たれる。
瞬間………馬頭は槍を振るう。
ブオンっとふるった槍を止める馬頭。
炎は揺らめくが再び再燃する。
「クククッ……なんだそれは………届きもしないぞ…しねえええーーーーーーーーーーーっ!?」
すると、オリバーは自身の身体に違和感を覚える。
『馬頭…………『氷馬槍』』
次の瞬間……足からピキピキっと凍りついていくオリバーの身体。
『なん……………だとおおおおーーーーっ!?』
「もう遅いよ……君の敗因は……私と魔神の強さを見誤った事だよ……そして………これは…私の力……。」
私は魔神具である『氷馬槍』を手に構え直す。
『ぐっ!???こんな。』
「メギノス博士の幸せだった時を突然奪い去った君に罪を償ってもらうんだよ………。」
『わ……悪かった!!あの時は俺が金に目が眩んでザイアック様のいいなりになってただけなんだ!!だから……な!?な!?勇者ならこの俺を許してくれよ!?』
今更、謝罪の声を叫ぶオリバー。
(クククッ……勇者なんだったらこんな言葉に弱いんだろ?お前がその魔神を消したその時…みてろよ………)
「えっ!?なんだい!?」
私はそう問いかける。
ニヤリと笑みを浮かべるオリバー。
(かかったな…。)
オリバーはそう頭に浮かべ、その腕を振るおうとしたその時。
『馬頭………そうだね……凍らせちゃおう……氷馬観音』
「なっ!?なんだとおーーーーーーーっ!?」
驚きの表情を浮かべ凍りついたオリバーは馬頭の放った氷の突きの連撃に…凍りつき……そして次の瞬間。
粉々に砕け散ったんだ。
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