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シーン16大富豪ザイアック。

私達の元へとやってきたのは感じの悪い大富豪である『ザイアック』。

街中の人々からの歓声は聞こえるものの…私にはこの男から嫌な空気しか感じられなかったんだ……そして…男の前まで歩いていく『メギノス』博士。


『お久しゅうございます……』


博士の言葉に『ザイアック』はニヤリと微笑む。


「おお……かつて…このアメリスアードの地において人々の知の英雄と呼ばれた男…『メギノス』よ……久しいな………。」

『いや……博士からすればこのワシなど…もはやもうろくした老人ですわい……ときに…此度は何用でここへ?』


博士は波をたてぬ話かたでそう問いをなげかける。

すると『ザイアック』は何かを企んでるかの様な表情を浮かべる。


「久しいお主が毎日のように酒場に入り浸り……お粗末な余生を送っていたのはワシの耳に入っていたのだがな……先月辺りからお主が酒場に来なくなったと話を聞いてな……あの店のオーナーのワシの耳にも入ってきたというわけじゃ……」

『なるほど……じゃがワシが店に行かぬのは……休肝日をとっているだけなのじゃがな。』

「ほお?休肝日………か……ならば………この写真はなんだ?」


そこには私達と買い物をしながら歩く博士が映し出されていたんだ。


『それは…………………』

「確か……お主にいた孫娘は残念な事にあの事件で亡くなったよなあ?これは一体どういう事なのだ?」


ギクリと目を見開いていた博士。

その博士の表情を見た『ザイアック』は含み笑いを見せながら問いかける。


『これは……ワシの遠縁にあたる娘達じゃ……偶然今ここに遊びにきているのじゃ。』

「ほお?遠縁なあ………確か博士にかつて家族は一人娘とその子である孫しかいなかったよなあ……ワシの調べた所……その二名しかいないはずだがな?」


嫌な言い方と博士を追い詰めるような男の嫌な目。

すると。


『怪しいのお……『メギノス』博士……これを見ろ。』


『ザイアック』はそういうと一人の部下に目で合図を送る。

すると部下は一枚の紙を取り出し博士に見せつける。


『これは……なんですかね?』


博士は紙に目を向け…そう返す。


『ザイアック』はニヤリと微笑み口を開いたんだ。


「これはな……博士……最近この地に『勇者』という存在を召喚しされたのではないか……そんな情報を耳にした我々は……国王にその話を報告したのだ……すると我がアメリスアード国王はワシの話にえらく感銘を受けてな……その勇者様を是非招きたいと申してな…。」


この男の情報はどこからきたのだろう。

この時そう思ったのは私だけじゃないはず。

エルフィーナ…のみならず、ドワフロス…そしてロイズも不可思議な表情を浮かべている。

すると『ザイアック』が大声をあげる。


「ここに世界の『勇者』を匿っているという情報だ……どうだ……これは王の問いであるぞ……隠し立ては許さん。」


『ザイアック』がそう告げる。


この状況を…町中の人々はヒソヒソと小声で話し始める。

それは次第に『メギノス』博士への不信感の言葉へと変わっていく。

一人は。


『あのおじいさん……いつもおかしな事ばかりしているし気持ち悪かったのよね』


一方子連れの女性からは。


『やあねえ……あのおじいさんはずっと一人でいたはずなのにどこからか人でもさらってきたのかしら…怖いわ。』


など…博士に対する町中の人々の声はいいものではなかったんだ。

私は次第に苛立ちへと変わっていた。

家から出ようとすると私の手をとるエルフィーナ。

その表情は私を止めるものだった。

するとドワフロスが家から出ていってしまう。

ズカズカと『ザイアック』の前まで歩いていくドワフロス。

すると『ザイアック』へと口を開く。


『俺はかの地……ブラズールのドワーフ王国の王……ドワフロスだが……その書状は本物のアメリスアード国王からの物であるのか!?』


そう問い返すドワフロス。

不審な表情をする『ザイアック』

すると。

男は笑い出す。


『クックック……国王とはいえ……………異国の男が何を口を挟んでくるのだ………貴様のやってる事はこの地アメリスアードへの冒涜としてとらえるぞ…?それでも……構わんのか?』

「ああ………これでもこの世界の全てを……背負ってるんでな。」


そう告げるドワフロス。

すると『ザイアック』は不快な表情へと変わる。


『いくぞ。』


『ザイアック』がそう言うと……彼は兵達を引き連れ立ち去ろうとする。


「貴様……………良いか………必ず後悔させやる………………そうだな………特に夜などは…………気をつける事だな…………勇者と言えど……眠ってしまえばただの女子であろうし……な。」


そう吐き捨て『ザイアック』は去っていったんだ。


彼が立ち去った後。

顔面蒼白の博士が立っていた。


この時。


あの無念の真実を博士は知ってしまったのだから。

お読みくださりありがとうございました。




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