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シーン14ザイアック。

私はメギノス博士の元で自分自身を知りそして力をしっかり自分のものとする事ができた。

これは博士が私の半身である精霊『ラムネ』と交渉できるようになった為可能となったのである。

そしてこの博士……残念な所も沢山あるのだけれど……その頭脳と腕は確かなのである。

「ラブラ…よくやったぞ……ではそろそろ飯にしようかの!?」

「うんっ!!エルフィーナーーーーーー!!ごはあーーーーーーーーーーーんっ!?」


私は中でいい匂いをさせご飯を作っているエルフィーナに声をかけながら小屋へと入っていく。

その時。

私が勢いよく入った為……博士の飾っていた写真立てがグラッと落ちかける。


「おおっと………。」


博士が慌て落ちるのを防ぐ。


「あ………ごめんなさい博士。」

「あっ………ああ………大丈夫じゃ。」


そういいながら博士は写真立てを戻す。

その写真に写っていたのは今より若い博士……隣には幸せそうな笑顔の少女がいたんだ。


「博士………この写真の子は?」

「ああ……なんでもない……昔の写真じゃ。」


そういった博士だったけど……博士の表情には悲しさが見えた気がしたんだ。

私達はエルフィーナの作ってくれた美味しい食事に舌づつみをうっていた。


「んぐんぐ……んぐんぐ……………おいひい。」

「そう?良かったわ……あ!博士も沢山ありますから遠慮なく食べてくださいね。」

「ああ……ありがとうの。」


そういった博士……その表情はどこか寂しげで……やっぱりあの写真の彼女の事を考えているのかもしれない。


「『メギノス』博士はどうしたんだ?」


博士の隣りで食べていたロイズがそれに気づき私に小さな声で問いかけてくる。

私はどうすればいいのか……しばらく考えていたのだけれど上手い言葉が出てこない。


「ご馳走様じゃ……今日は少し疲れておる……先に休むのでな……ラブラ……明日は仕上げじゃ…早く休みんじゃぞ……」

「わかった!!」


私の返事に微笑む博士。


「皆の者……ではの。」


そう告げると博士は奥の部屋へと戻ってしまったんだ。

「『メギノス』博士はね……魔導学者からなる、この国の魔導科学の第一人者と呼ばれる存在だったんだ………。」


博士の居なくなった食堂で口を開くロイズ。

私達はその言葉に耳を傾ける。


「僕も博士の存在から科学者というものに憧れを持っていたんだ……まあ、この国の僕くらいの年代の子供達にとっては本当に憧れの存在だったんだよ。」


私達に博士の話を始めるロイズ。

そして彼は続けたんだ。


「平和な時は流れ…そして博士も地位と名声を得ていったんだ……そんなある時。」


ロイズの表情が曇る。


「そんな天才ともよばれた博士をよく思わない…もう一人の魔導学者が存在していたんだ……名は『ザイアック』…………………………そして……そんな彼は『メギノス』博士に嫉妬をしてしまう……。」

「博士は家族をもっていたのだが…奥様は娘さんを産んだ時に早くも亡くしていた……そんな博士は娘を一人で育て共に暮らしていたんだ………そしていつしか娘には婚約者が現れたのだ…娘の幸せ……それは博士にとってそれはもう幸せだったんだ……しかも娘さんはいつしか子供を授かり、目に入れても痛くない孫娘もでき博士は幸せの絶頂だったんだ……。」


次第に悲しげな表情へと変わっていくロイズ。

『そんな時……いつもの様に博士が家路につき一人帰っていると……突然背後からけたたましい鐘の音が聞こえてくる……』

カランカランっと街中に鳴り響く鐘の音。

これは火事や事件が起こった時に鳴らす警報の音。

しかもいつもにも増して激しくその音は博士の耳にも入ってくる。


『なんだ………今日の鐘の音はやけに騒々しいな………。』


博士の背後からどんどん有事の際の部隊兵が前方に向かい走っていく。

すると遠くから聞こえてくる野次馬達の声。


『うあああーーーーーーーーーーー!!なんだよあれ!?』

『炎なのか!?炎の魔物達があの屋敷で暴れてるぞ!?』


炎の……魔物だと!?

この警護もしっかりしてるこの前に魔物が入り込んだというのか!?

すると博士は胸騒ぎを覚える。

自分の足が急速に我が家へ向かうように走りだす。

そう……兵士たちが次々と向かう先には自分の家があるのだ。

メギノス博士はどんどん走る。

我が家への道は普段は遠くも感じはしない。

だけどこの時は……気も遠くなりそうなほど遠いのだ。

そしてなんとか博士が自宅に辿り着く。

だが…そこには……延々と燃え上がる我が家があったのだ。

博士は震え叫ぶ。


『アメリア!?』

『ライラ!?』


そして博士はどうしようもなく……かけがえのない二人の家族をこの時………失ったんだよ。

「そんな事が………………………………………」


エルフィーナはそう呟く。

私もその話に、ただ何も言えなかった。


「これはあくまで推測だけど……おそらく犯行は博士をライバル視していた…『ザイアック』の息のかかった者による犯行……今やこの街で魔法科学を駆使しテキトーな魔道具を作り高額で販売し巨万の富を得ているのだ……金の力で完全な犯罪を遂行し、『メギノス』博士を地に陥れ…自分はこの街でのうのうと生きてるんだけどな…。」

「許せないわね……そいつ。」

「ああ……でも見てみろよ……博士の孫娘さん…まあ…写真だし、まだ幼いが……誰かに似てないか?」

ロイズはそういうと……三人が私をジーッと見てくる。

「「そうか………勇者ラブラにそっくりだ。」」

お読みくださりありがとうございました。

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博士の孫娘がラブラにそっくり。これはどうなるのか気になります!
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