シーン13精霊ラムネ。
暗い部屋の中……私の目の前には、とある魔物がいた。
グルルと唸り声を上げる魔物……。
それは手に巨大な槍を構え馬の頭を持ち強靭な肉体を持つ魔物…名は『馬頭』と呼ばれるらしい。
魔物は涎を垂らし私を目にする。
すると私の目の前にとある精霊が姿を見せ声をかけてくる。
『どうだい?ラブラ?すっかり力を使えるようになったね?』
『ああ……うん……ラムネ…大丈夫さ……』
私と会話をしているのは私の半身精霊『ラムネ』。
なんと博士が私を調べた事によって私の半身が精霊という事実が確かになり…しかも博士は精霊との交渉が可能になったんだ…そして会話がスムーズにできるようになり…私をレベルアップさせる事に繋がったのだ。
これはラムネ自身も私が消えれば自身も消滅してしまう…その為の契約だと言っていた。
ちなみにラムネという名前はエルフィーナがつけてくれたんだけど…私も気に入っている。
私がそんな事を考えていると。
部屋の最奥からドスドスっと無数の足音を立て姿を現したのは頭が馬に巨大な身体を持つ魔物だった。
『あれは………迷宮モンスターの馬頭一体どうやってここに連れてきたというの。』
そう言ったのはエルフィーナ。
エルフィーナの肩に手をやるロイズがいう。
『あれは転移魔法さ……以前とある迷宮に転移装置を送ったら偶然迷い込んできて、研究所の地下牢に捕らえていたそうだよ……ラブラのレベルアップと修行の成果を見る為に……今回ちょうど良かったみたいだね。』
こうして私の修行は行われていたんだ。
私の戦闘時……これまではラムネの力でコントロールしてもらい戦闘をしてきた…ある意味これでも通用するかと思っていた所……あのミノタウロスとの戦闘での敗北。
私自身がレベルアップの必要があると思い知らされた私は博士を師として受け入れた…そしてここで修行するという形で数日間……博士の元で頑張ってきたんだ。
私は剣を構える。
目の前にはあのミノタウロスに同等の力を持つと言われる魔物が大きな槍を構えて私と対峙する。
「ラブラちゃん!?頑張って!」
「ここからが君の本領発揮する時だ。」
エルフィーナとロイズが私に声援をくれる。
私は二人に微笑み頷く。
『博士?魔神具も使ってもいいんだよね?』
「ああ……もちろんじゃ……ここでその馬頭も倒せたなら……更にお前の力になってくれる事じゃろうて………。」
『ありがとう。』
私がそう返した瞬間。
『ぐおおおおおおーーーーーーーーーっ!?』
大槍を振り回し襲いかかってくる馬頭。
私は冷静に立ち……そして息を吐いていく。
「ふうううぅぅぅーーーーーーーーっ。」
ドドドっと走り寄ってくる馬頭。
そして頭上から馬頭の大槍が迫ってくる。
私は精霊『ラムネ』へと告げる。
『魔神具をここに………………………』
ここまで私が修行で得た魔神具も含め四種類となっていた。
『ゴブリンアクス…そしてキラーエイプを封じて手にした『エイプズロックス』………そしてここで修行の際に倒し手に入れた……オークハンマーにマンティススカル………最後は……コイツを倒して………………………。』
私は手を翳すとそこには私サイズになった魔神具『オークハンマー』が現れる。
『ごふっ……………………ううううぅぅぅ。』
一瞬馬頭の動きが止まる。
『隙ありだよ…………………………………。』
私はハンマーを振り上げる。
私の背後には魔神となったオークが現れる。
『たあああーーーーーーーーーっ!!』
ハンマーを振り回しそれは馬頭の足元をとらえ弾く。
グラッとその巨体を宙に浮かされ焦る馬頭。
『ぐふっ!!があああーーーーーーーっ!?』
叫ぶ馬頭………………だけど。
私は魔神具を持ち替えている。
私の手にはマンティススカルの大鎌を持ち構えている。
コイツは巨大なカマキリ型のスケルトンだ。
私の背後で魔神マンティススカルが大鎌を構える。
戦いの基礎の動きはこれまで精霊『ラムネ』によってある程度見につけてきた。
そして私はこれから精霊『ラムネ』の力をこれまで以上に引き出せるようにする為……戦いの修行をした。
博士の立てたこの私の修行はどうやら私にとって功を奏したらしい。
そして今………ここで私は。
馬頭の身体は目の前に浮いている。
『たああああーーーーーーーーーーーっ。』
『スカルズカッター!!!』
私の大鎌は馬頭の身体に切りかかる。
ズザザザーーーーーーーーーーーーーーっと斬り裂いていく馬頭の巨体。
『ううううがああああああーーーーーーーーーっ!!!???』
私の目の前にバラバラに切り裂かれた馬頭。
手を翳す私。
『魔神封印』
シュゴオオオーーーーーーーーーーーーーッという音を立て私の腕輪に吸収されていく光となった馬頭。
『魔神封印完了だよ。』
ラムネの声に私は皆に目を向ける。
笑顔の三人。
そして博士は口を開く。
『見事じゃ……ラブラ………じゃが……お主の目指すあの魔王ゼルドリスは正真正銘……魔族の王じゃ……これからまだまだ強くならなければならない……お前に…………できるか?』
私は答える。
『はい!!』
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