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シーン117雷武魔神具化。

雷武ちゃんの姪ルイちゃん……そしてメギノス博士を使い脅そうとしてくる魔王ゼルドリス。

そして。

魔王ゼルドリスはその拳えを振り上げていく……次の瞬間。

どーーーーーーーーんっと魔王ゼルドリスの巨大な拳は雷武ちゃんの身体を殴り吹き飛ばす。

そして吹き飛ばされる竜王雷武。


『ぐぬう………ガハッ!!』


血反吐を吐き苦痛の表情を浮かべる雷武ちゃん。


『雷武ちゃん!!!???』


私は思わず飛び出す。


『来るなーーーーーーーーーーーーっ!!?』


大声を上げ私が行くのを止める雷武ちゃん。

すると私を上から見下ろしている魔王ゼルドリス。


『お前が……勇者か。』

『魔王……………………ゼルドリス……………………』


すると魔王ゼルドリスは口を開く。


『お前はこの世界になぜ……やってきたんだ。』

『えっ!?』


私にそう問いかけてくる魔王ゼルドリス。


『この地に干渉する必要もないお前がこの世界に来て何をしようとしてるのだ!?まさかではないと思うが、この俺様を倒そうなんて考えてないだろうなあ。』


そう言いながらゼルドリスは上に手を上げる。

次の瞬間。


メギノスおじいちゃんの首元に剣先をあてがう配下の男。


『おじいちゃん!?』


苦しげな表情を浮かべるおじいちゃん。


『くっ!?汚いぞ魔王ゼルドリス。』

『そうよ!そんなことして恥ずかしいとおもわないの!?』


ロイズとエルフィーナの声に耳も貸さない魔王ゼルドリス。


『ふん…………俺様は悪しき感情から生まれし存在だ………故に人間や精霊のような感情などあいにく持ち合わせていないのでな。』


そう語った魔王ゼルドリス。

それは感情というものを亡くした存在なのだろう……故に恐ろしくも感じてしまうもの。


『動くなよ………………』


そう短い言葉で言い放った魔王ゼルドリス。

そして手に構えた大鎌を振り上げていく。


『『ラブラ!?』』

『ラブラちゃん!?』


三人が私に叫ぶ。


『クククッ…勇者よ…お前には個人的な恨みなどはないがお前のその力は我が身を脅かす存在だ……ここでトドメをさしておかねばな………その前に……その聖剣を捨てろ。』


そう言い放ったゼルドリス。

私が立ち尽くしているとおじいちゃんの声が聞こえる。


『ラブラよ!?このわしの事など構わん!!やるのだ!?』

『おじいちゃん!?』

『ラブラ………ワシのこれまでの事許して欲しい……お前の敵となるであろう者達へのワシの研究はあのエレッソ持っていた魔神具が最高傑作だったのだ……それをお前ならきっと打ち破ってくれるであろうと思っていたぞ。』

『おじいちゃん………』


私の目には涙が込み上げてくる。


『ラブラ………ワシは最後にお前に会えて過ごせたあの時間が本当に幸せだった……ありがとう。』


ニコリと笑ったメギノス博士。


『メギノス博士……貴方はもしや。』


ロイズはそういうと焦り出す。


『ロイズ………さすがお前は我が弟子だ……………あとの事は……………頼む。』


メギノスおじいちゃんはそう言うと何かをルイちゃんに放り投げる。

次の瞬間…………ルイちゃんの身体はエルフィーナ達の元に転移される。

そしておじいちゃんはニコリと微笑む。


『この世界……………諦めかけたが最後にワシは幸せを感じる事ができた…この世界に生まれ……ここまで生きれた事…………いい人生だった。』

『『博士!!!???』』

『おじいちゃん!!!???』

『最後に………ラブラ………愛しい孫に合わせてくれた気がした………そしてお前も本当に可愛い弟子だった………ありがとう。』


その言葉に涙が溢れる私。

次の瞬間!!

ドーーーーーーーーーーーーーーーンっという爆音をたておじいちゃんの身体は吹き飛び捕らえていた兵士たちは爆発に巻き込まれ消滅してしまう。

爆風が周囲に吹き荒れる。

それは大好きだったおじいちゃんがきっと天国の家族の元へと向かったのだろう。


『クククッ……メギノスよ…………自らその生命を経つことでこの者どもを守った気にでもなったのか………人間どものやる事がこの俺には全く理解できないがな。』

『うるさい……………』

『は!?何を言ってるんだ?貴様。』

『うるさいって言ってるんだ。』


私はあまりの怒りに震えていた。

するとガバッと身体を起こしたのは雷武ちゃんの姿だった。

そして雷武ちゃんは私を呼ぶ。


『勇者ラブラよ…………ここへ。』


彼は瞬時に私を自分の元へと転移させる。

見ると魔王ゼルドリスによって抉られ深い傷となっていた雷武ちゃんの身体。


『雷武ちゃん!?これは……今……ちょっと待って!?』

『いや……魔王相手にそんな時間はない………』

『えっ!?でも………………』

『この俺をお前の力で魔神化させろ……』

『えっ!?』

『俺がお前の為の魔神具となってやる。』


そう言った雷武ちゃん。

雷武ちゃんの目は真剣そのものだった。

そして私は………。


『いくよ……雷武ちゃん。』


雷武ちゃんは私を見つめている。


魔神封印デスペラード

お読みくださりありがとうございました。

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