シーン114ドワフロスの戦い。
私達の戦況は、こちらに傾いた気がしていた。
そしてエルフィーナもまたその力を発現させる。
エルフィーナの背後には『精霊シルフィード』がいる。
『エルフィーナ様………私の力を是非……………』
そうエルフィーナに声をかけたのは精霊『シルフィード』だった。
『ありがとう!シルフィード……。』
『いえ………では私の意識……能力は全てエルフィーナ様の共に。』
そう言ったシルフィードはエルフィーナの弓へと吸い込まれていく。
そして煌めく弓矢を構えるエルフィーナ。
『いくわよ……………私の中に力となり存在するシルフィード……今こそ風となり魔界の根達を消滅させよ………』
『エレメンタル……………エアーズショット!!』
シルフィードが放った変化した数発の矢はエビルツリーのうねりだしている根に次々に突き刺さっていく。
誰が見ても……一見それで終わりのように思えた。
『エルフィーナ様……あのエビルツリー相手にあの攻撃では………』
誰かがそう言った気がした。
するとエルフィーナは不敵に笑う。
『ふふ……そうね……それだけではいささかこの戦いの最終局面においては力不足よね………だからこそ私は………。』
エルフィーナがそう言った………次の瞬間。
突き刺さっている矢が変化を見せ始める。
矢の周辺の空気が変わっていく。
それはわずがな旋風を巻き起こし始める。
そして旋風はその威力をどんどん大きなものへと変化させていく。
『あれは……………』
『そう……あれこそが私の魔神と化したシルフィードの真骨頂……………『シルフィードウインズ』よ。』
『本当に……凄い。』
そう言った瞬間。
ズババババーーーーーーーーーーーっと切り裂かれボロボロに散っていくエビルツリーの残骸。
そう………エルフィーナもまたその力を強化させていたのだった。
『こないだ神樹へと行った時…………神樹から新たな力をいただいてきていたのよ……………これなら私も魔王相手に………戦えるからっ!!??』
そう言い放ち次々とエビルツリーとの戦いを再開させるエルフィーナ。
そしてそこから目に入ってきたのはドワフロスの勇姿だった。
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『はああああーーーーーーーーーーーっ!?』
ドシャッとエビルツリーの大枝を次々と斬り裂いていくドワフロス……その猛攻は流石と言うべき剣技だった。
彼は生まれながらに人よりも大きく戦闘においてはずば抜けた力を持っていたんだ。
『くっ!?やはりキリがないか!?あの二人……人知れず強くなる為に自分たちの技を磨いていたとはな……これは俺も負ける訳にはいかないな。』
そう言葉にしたドワフロスは大剣を背中の鞘に収めていく。
『ドワフロス!?どうしたの!?』
エルフィーナの叫び声が聞こえたがドワフロスは目を閉じ何かを唱え始める。
『ドワフロスが……魔法を使えるのか!?』
その光景にロイズも叫ぶ。
私もその光景に驚きの表情を浮かべていた。
するといつの間にかドワフロスの大剣にするすると登っていく精霊がいたんだ。
『なるほど!!地の精霊……ノームか!?』
『あれなら私と同じように精霊力を使うって事なのね!?』
ロイズもエルフィーナもドワフロスの力を目にし叫ぶ。
するとドワフロスの大剣の鞘に光となって消えていく地精霊ノーム。
『おじちゃーん!?僕達が一緒に戦うよう!』
『ふっ……ノーム……やはりあれからずっと俺の大剣の中にいたのか。』
『うん!おじちゃんと一緒に戦うの楽しくてー!』
この戦況中でもにっこり笑顔をみせるノーム。
するとドワフロスが笑い出す。
『クククッ…………あーーーーっはっはっは!これはいい……』
ドワフロスの大笑いはまるでこの戦況を変えるかのようだった。
するとググッと大剣を握り締め抜いていくドワフロス……そしてズズズと抜けていく剣先。
やがて光が溢れ出しドワフロスの目の前には進化したノームの姿が現れる。
それは大地の力を集約した騎士が大剣を構え立ち尽くす。
『地精霊ノームナイト…………降臨……我が剣と共に戦いゆくぞ。…』
次の瞬間。
うねりを見せノームナイトに飛びかかっていく魔樹エビルツリーの大枝の群れ………。
『フン……………本気でかかってくるがいい………』
そしてドワフロスとノームナイトは大剣を構える。
『我が大地の力よ……地精霊ノームの力となり……敵を滅ぼせ…………………。』
ドワフロスの大剣に恐ろしい程の力凝縮されていく。
そして、ドワフロス……ノームナイトは斬りかかっていく。
『ノームディック………ロック…………バースト!!!!!』
そして……力を溜め込んだドワフロスとノームナイトの斬撃は………見事エビルツリーを斬り裂いていったんだ。
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