シーン103エビルツリー。
私達は神樹から地下へ行く為の洞窟内を行く。
戦闘を行くのはドワフロス。
彼の足は普段よりも足早だったんだ。
『ドワフロス!?』
私達の声にも耳を貸さずに進むドワフロス。
それは何かが彼を突き動かすかのような行動。
確かにこのエルフの大樹に異変は起こったのだ……近隣のドワーフ王国にも何かが起こったとしてもおかしくはなかったんだ。
そう考えるとドワフロスが足早になるのも無理はなかった。
私達はドワフロスの後を追うように続いたんだ。
◇
◇
◇
地下世界へと進む道。
ドワフロスの後を追う私達に聞こえてきたのは彼の言葉だった。
『これまで話してはいなかったのだが……俺は地精霊との契約をしている……まあドワーフ族とは互いを必要としこの大地と共にある存在……ラブラ程ではないが精霊の声も聞こえる…そんな俺は久しく先日……精霊の声を耳にしたのだ………』
『ドワフロス……』
『ドワフロス……その内容とは一体!?』
エルフィーナ………そしてロイズは彼にそう問いかける。
すると足を止めずドワフロスは語る。
『ドワーフ王国は滅亡してしまう………苦しい……との言葉だった。』
ドワフロスの言葉に私達は立ち止まりそうになる。
だけどドワフロスは立ち止まる事もせず進む。
どんどん私達はゆっくりとながらも地下へと進んでいるのだろう……もうここまで地上の明かりは差し込む事もないほどの地下へと降りてきた気がする。
すると私達の目の前には巨大な扉が見えてくる。
『あれは!?』
ロイズの声がそう聞こえた瞬間……巨大な扉がそこにハッキリと見える。
すると立ち止まるドワフロス。
ドワフロスが扉に手を当てる。
『これは一体どういう事だ?』
『ドワフロス……なに!?なにかあったの!?』
そう問いかけるエルフィーナ。
辺りを見回すドワフロス。
すると、ドワフロスは口を開く。
『このドワーフ王国への入口城門……ここには常に我が王国より兵を投じこの城門も守らせているのだ……ここには、その兵がいない……この現実に今考えているのだ。』
『ドワフロス……………………。』
私達がドワフロスの背中を見つめる。
するとその巨大な扉に手を当てるドワフロス。
『んんっ……………』
ググッとその手に力を込めるドワフロス。
『うおおおおおーーーーーーーーーーっ!?』
グググと押し出していくドワフロス。
すると徐々にその巨大な扉は開かれていく。
『ぐおおおおおおーーーーーーーーーっ!?』
ギギギと音を立て開いていくその巨大な扉。
そして扉の向こうが見え始めてくる。
私達は彼の背後から見えてくる景色はとても美しい景色かと想像したその時。
私達の目の前に広がったのは怪しい樹木に覆われたドワーフ王国の全貌だった。
『なっ!?なんだこれは!?』
『えっ!?』
私達がその光景に驚き驚愕の表情を浮かべてしまう。
するとエルフィーナが口を開く。
『あれは………エビルツリー……………………。』
『エビルツリー!?』
『ええ……魔界の魔樹とされる怪物と言われこの魔樹の侵食でその地の全ては吸い尽くされ……立ちどころに荒廃してしまうとされる怪物……………それがこの地に植え付けられるとすれば……これは魔王の力なのでしょう……。』
エルフィーナの声。
するとロイズが口を開く。
『ここまでとは………まずがドワーフ王国の状況を確認しなければ……だけどここまで侵食されいるなんて……燃やし尽くす……しかないのか。』
すると声を上げるドワフロス。
『うおおおおおーーーーーーーーーーっ!?』
バッサバッサとエビルツリーに斬りかかりきっていくドワフロス。
だがその根は生きているようにうねうねと動き出しドワフロスの剣を避ける根まであるという状況。
『ここれはドワフロスの道を開けながら進むことにしよう!!』
そう叫ぶロイズ。
『分かったわ………風の精霊シルフィード……………私に力を貸してちょうだい………この根を斬り裂く風を起こせ………『エアールフール』。』
ごーーーーーーーーーーーっと吹き出す風はやがて吹き荒れていく。
ズババババッと次々と切り裂かれていくエビルツリー。
『ならば!!ファイアーズレッド!!』
バンバンバーーーーーンっと放たれる銃弾。
それはまた侵食した根を燃やしていく。
私は聖剣を構える。
『いくよ…………ここから私はドワフロスに恩返しをするんだ……ここは…………………』
私が聖剣を構えると剣先から光が溢れだしてくる。
光が私の身体に纏っていく。
『はあああーーーーーーーーーーーーっ!!』
『精霊ラムネよ……聖剣に宿れ…………』
私は飛び出す。
『『精霊ラムネ………『桜花蘭々《おうからんらん》』』!!!!!』
空から散り落ちてくる桜の形の光。
それはエビルツリーを捉え動きを止めていく。
そして………数多の私の斬撃。
それはエビルツリーを斬り裂いていったんだ。
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