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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第九十九話 あっという間の二週間

 長いようで短く感じた二週間であった。最初のうちは海に行ったり山に行ったりと新しいことも色々と経験出来ていたのだけれど、最終的には海に行って遊ぶか神社に行って清掃をするかという事の二択であった。

 最初はあれほど俺と一緒に行動したがっていた千雪ちゃんではあったのに、四日目からは俺と行動を共にすることは無く髑髏沼愛華と唯菜ちゃんと一緒に俺を避けるように行動していたのだった。鬼仏院右近は午前中は俺達と一緒にいて午後からは千雪ちゃん達と一緒に行動するようになっていた。

 雨が降って旅館から外に出ない日も千雪ちゃん達は俺を避けていたし、食事の時も気が付いた時にはもう三人とも食べ終わっているという事が度々あったのだ。

「俺ってあの三人に避けられるような事したのかな?」

 つい口から出てしまった俺の言葉を聞いた鵜崎唯は俺に向かって微笑んでくれたのだ。三人から避けられている俺はその笑顔を見ただけで少し嬉しくなっているのだが、その微笑みが何を意味しているのかは理解していなかった。

「政虎は何もしてないんじゃないかな。千雪ちゃんはずっと真面目で良い子だったんだけど、たまたま反抗期が来ちゃったんじゃないかな。家でも外でも真面目で人当りもいい子の千雪ちゃんだけど、政虎には自然体で接することが出来るようになってるみたいだし、たまたまそのタイミングで反抗期になっちゃっただけだと思うよ。愛華ちゃんも桜さんも優しいから千雪ちゃんを諭してあげてるんじゃないかな。私は反抗期とか経験してないからどうしたらいいのかわからないんで何もしてあげることが出来ないんだ。出来ることと言ったら、千雪ちゃんの目の届かないところに政虎を連れて行くって事しか出来ないかもね」

 たった一日で反抗期というものが来るのだろうかという疑問はあったのだけれど、昔を思い返すと俺も急に気持ちが変わった事なんていくらでもあったんだよな。ましてや、千雪ちゃんは思春期真っただ中であるわけだし、そんな時に俺みたいな大人の男に反抗したくなるような気持ちもわからないではないな。

 それに、髑髏沼愛華も唯菜ちゃんも若い女の子が思い描く理想の女性像に近いと思う。髑髏沼愛華はちょっと性格に難は有るけど見た目は美人でどこかのモデルと言っても信じてしまうだろうし、唯菜ちゃんはとにかく愛嬌があって誰にでも好かれるタイプだと思う。髑髏沼愛華は浅く付き合っても深く付き合っても印象は何も変わらないと思うのだけれど、唯菜ちゃんに関しては深く付き合えば付き合うほど好きになってしまうタイプなんだと思う。それだけに、なぜ鬼仏院右近が全く唯菜ちゃんに興味を示さないのかという事に疑問を抱くこともあるのだ。鬼仏院右近は唯菜ちゃん以外の女であれば誰とでも付き合うような男なのでゲイではないと思う。俺が唯菜ちゃんを好きだという理由だけで鬼仏院右近が唯菜ちゃんと付き合う事が無いという理由が俺には理解出来ないし、その理由で鬼仏院右近と付き合えないという事を知った唯菜ちゃんは完全に俺の事を嫌っているんだよな。この旅行で少しだけ距離が近付いたような錯覚があったんだけど、それもこれも急に始まってしまった千雪ちゃんの反抗期のせいで元に戻ってしまったように思える。

「じゃあ、明日の午前中にはここを出ないと家に着くのが夜中になっちゃいそうだし、今日は早めに寝ないとね。右近君に運転頑張ってもらうんだから、政虎は右近君の睡眠の邪魔しちゃダメだからね」

「そんな事しないって。そっちもちゃんと寝ないとダメだよ。寝不足だと車酔いしちゃうかもしれないからね」

「心配してくれてありがとう。そんな政虎が好きだよ」

 俺は社交辞令のつもりで言っただけなのだが、鵜崎唯から返ってきた好きだよという言葉になぜか強く心惹かれてしまった。今まで何度も鵜崎唯から言われていた言葉ではあったのだけれど、思い返すとこの旅行に来てからそんな事は一度も言われていなかったような気がする。だからこそ、俺の心に強く印象付けられたのかもしれない。

 部屋に戻ってきた俺は何か冷たいものでも飲もうと思って冷蔵庫の中身を確かめる。中に入っているのは何日か前に買ってきたのに飲むことのなかったビールだけであった。普段から酒をあまり飲まない俺ではあったが、今日はそこまで体を動かしたりもしていなかったこともあってすぐには寝付けそうにも無かったのでそのビールを飲むことにした。

 すっかり眠りに落ちている鬼仏院右近を起こさないようにゆっくりと缶を開けたのだが、思いのほか音が大きく感じてしまって焦ってしまった。

 俺は飲み慣れないビールをゆっくりと味わう事もせず一気に飲み干すと空に浮かんでいる月をぼんやりと眺めていた。見慣れてきたこの景色とも明日の朝でお別れかと思うと少し寂しい気持ちにもなったのだが、久々に帰る我が家でいったい何をするのが良いのかと想像を膨らませていた。

 そんな事を考えながら俺も横になることにしたのだが、定期的に聞こえる鬼仏院右近の寝息と外から聞こえる虫の声が心地よいリズムで俺をリラックスさせていく。そのまま気付いた時には俺は眠りに落ちていたようだった。

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