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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第九十七話 私の小さな失敗

 千雪ちゃんが私のために頑張って政虎と仲良くしてくれようとしているのはわかっているのだけれど、そんな事をしなくても大丈夫だという事は何度も伝えていた。それなのに、千雪ちゃんは積極的に政虎と交流を深めようとしているのだ。

 移動中もこちらに来てからもずっとずっと政虎と一緒にいようとする千雪ちゃんではあるが、政虎に恋愛感情を抱いているわけではなく仲の良い親戚のお兄さん程度の付き合いをしてくれるんだったらそれでもいいのだけど、何となく千雪ちゃんも政虎の魅力に気付いているように思えてくるんだよね。


 私が頼んだことではあるのだけれど、初日の夜に廃神社に行ってもらったのはちょっと焦りすぎていたかもしれない。

 何となくではあるけど、あの日はみんな疲れていたという事もあってゆっくりしていたいという気持ちは共通だったと思う。それでも、みんなの中で一番若くて元気が有り余っている千雪ちゃんは初日から遊びたいという気持ちを前面に押し出していたのだ。小さい子供じゃないんだから千雪ちゃんだけで遊んでもらっていても問題は無いのかもしれないけど、さすがに海で一人遊ぶというのは待っている方も不安になってしまうのは仕方ない。だが、長距離移動の疲れもあってみんな付き添いたくないというのは本音だったと思う。私もすぐにでも休みたいと思っていた。

 そんな時、みんなの代わりに保護者として千雪ちゃんに付き合ってくれたのが政虎だったのだ。本当は右近君にも一緒に付き添ってもらえれば嬉しかったのだけれど、一人で運転をしてくれていた右近君にそこまで無理強いする事なんて出来るはずも無かった。

 政虎と千雪ちゃんが楽しく遊べたという事はその日の夜に千雪ちゃんから聞いていた。疲れている自分たちに変わりに千雪ちゃんのお守りをしてくれた政虎に対して愛華ちゃんと桜さんの評価が少しだけ良くなっていたのは私にとってちょっとした誤算だった。二人から政虎に対する評価なんて地に落ちているはずだったのに、ちょっとした優しさや自己犠牲の精神が二人の中で政虎の評価をあげる材料になってしまっていたようなのだ。これは一つ目の失敗と言っていいだろう。


 二つ目の失敗は、みんなで蛍を見に行ったことだ。

 蛍なんてそんなに珍しいものでもないと思っていたのだけれど、都会育ちの桜さんにとっては蛍というのはとても珍しいものだという事を理解していなかった。蛍と言っても虫であることに変わりは無いし、綺麗な光を放つと言っても虫なんだからあそこまで喜ぶとは思っていなかったのだ。それなのに、普段は自分から政虎に話しかけることなんてないはずの桜さんが政虎の近くでたくさん会話をしているというのは大きな失敗と言っていいだろう。

 政虎も最初は桜さんから話しかけられることに戸惑っていたようなのだが、それなりに楽しそうにしていたのはちょっとだけイラっとしてしまった。でも、政虎は自分の思っている事の半分も桜さんに伝えることが出来なかったんじゃないかと思うと、そこはちょっとだけ可愛いなって思ってしまったんだよね。

 ただ、私は初日にしてしまった失敗はその日のうちに取り返そうと焦っていたのかもしれない。今になって思えば時間はたくさんあるんだから焦る必要なんてこれっぽっちもないという事はわかるんだけど、あの時は政虎に対する桜さんの好感度が一気に上がっているように思えて慌てていたんだと思う。

 その結果、政虎が少しだけここの神社が普通ではないという事に気付いてしまったかもしれない。長時間の移動や千雪ちゃんと遊んでいたことで疲れがたまっていて、蛍を見に行ったことによる軽い山登りが追い打ちをかけてしまい、何でもないはずの石段が永遠に続いてしまうと思っていたようなのだが、政虎があの時向かっていた神社はまさにその通りの状況にあったのだ。

 私が急に予定を変えた事で準備が整っていなかったという事もあるのだけれど、政虎が神社にたどり着くまでに少しだけ時間をかける必要があったのだ。千雪ちゃんはよかれと思って政虎を神社に早く着かせようとしていたのだけれど、そうしてもらっては困るという事をちゃんと伝えなかったことも私のミスではある。頭の良い千雪ちゃんならそう言う事も気付いてくれるんじゃないかと期待していたのだけれど、勉強が出来るだけでこういう場にはなれていないという事を忘れていた。

 色々不審に思われることもあったし、普通じゃないこともたくさんあったとは思うんだけど、政虎はそういう事も受け入れてくれる人間になっているんだから大丈夫だとは思っていた。信じてはいたんだけど、ここに連れて来るには少し早かったかなという思いもあって私は少しだけ不安な気持ちを抱えていたのだ。

 来年の夏だと焦る必要もなく三日もあれば十分だったと思うんだけど、来年の今頃はきっとみんな就職活動やその他の事で忙しいと思うので集まることは出来なかったと思う。政虎たちはきっと付き合ってくれると思うのだけど、桜さんは忙しい人なので来年だったら断られていたんだろうな。桜さんが参加してくれないとこの計画は始まらないんだ。


 政虎がこの地域を不審に思い出していたのはちょっとだけ時間が足りなかったから仕方ないのだけれど、それくらいだったらどうにでもなる。

 私が今まで時間をかけて計画してきた事はそんなに簡単に破られたりなんてしないと思うんだ。

 普通の人達にはどうする事も出来ないと思うんだからね。

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