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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第九十話 意外な共通点

 唯と唯菜の名前は似ている。外見はそこまで似ているとは思わないけれど、こうして見ていると仲の良い姉妹なのではないかと思えてくるのだ。

 何がそんなに良いのかわからないけれど、適当に入った店でも同じものを気に入ったり誰もそんなのを買わないだろうと思うようなものを手に取ったりしている。あえて二人が変なものを選んでいるのかとも思って見ていたのだけれど、何度も何度もそんな事を繰り返しているので二人は本気でアレを可愛いと思っているようだ。

「そっちの変な猫の置物の方が可愛いよね。ちょっとおかしい感じが妙にそそるというか、少し離れて見ていたいって感覚になるかも」

「私もそうかも。桜さんってもっと可愛いものが好きなのかと思ってたけど、意外と私と趣味が合うのかもしれないね」

「唯ちゃんはもっと可愛らしいみんなが好きそうなものを好きなんだと思ってたよ。でも、政虎君の事が好きだって考えるとそういうのが好きなのも納得出来るかも」

「その言い方はちょっと失礼だよ。この子は政虎よりも見た目だけならイケてると思うから」

 今の会話を政虎が聞いたとしても何とも思わないんだろうな。むしろ、あいつだったら唯菜の口から政虎の名前を呼んでもらえたという事で喜んでしまうかもしれないな。何がそんなに嬉しいのかわからないけれど、政虎は唯菜に名前を呼んでもらえるだけでも嬉しいみたいなんだよな。

 特に目的も無いような二人は順番に色々な店を回っている。何かを買うわけでもないのに商品を手に取っては嬉しそうにその商品について色々と妄想を膨らませているようだ。二人の趣味が似ているのは商品を選ぶところまでで、それ以降の使い方は似ても似つかなかった。

 唯は人形でも花でも何でも家に置いて話しかけることが目的のようなのだが、唯菜はいろいろな組み合わせを考えて観賞をするのが好きなようだ。どちらもやっていること自体はそんなに変ではないと思うのだけれど、お互いにそこで歩み寄ろうという気持ちは無いようだった。

「話しかけたとしてもそれに答えてくれたりなんてしないよね。それなのに話しかけるのは子供っぽいって思っちゃうかも。でも、別に唯ちゃんの事を否定しているわけではないからね」

「子供っぽくはないと思うんだけどな。人形でも花でもそこに話しかける対象があるんだったら話しかけても問題ないと思うんだよね。でも、何も無いのに独り言とか言っちゃう人はちょっと怖いって思っちゃうかも。別にそんな人を見たわけじゃないけど、ひとりごとを言ってる人ってちょっと怖いなって思うから」

 俺は正直どちらの気持ちも理解出来た。話しかけたくなる気持ちも理解出来るし、何か新しい組み合わせを考えて飾っておきたいというのも理解出来る。だからと言って、どっちもやることは無いと思うな。俺の部屋はそんなに物が多くないわけだし、そんなわけだから新しい組み合わせとかを考えることは出来なと思うし、俺が何か買ったものに話しかけることなんてしないと思う。

 その後も小さなことを拘っていてお互いに歩み寄ろうという姿が見られなかったのだが、思わぬ方向からこの問題に仲裁が入ることになったのだ。それは、二人の空腹が限界を迎えそうになったという事なんだ。俺も少しお腹が空いてきているので何か食べたいなとは思っていたのだけれど、今の二人の感じだと店選びも苦労しそうだなと考えていたのだ。

「私はラーメンが食べたいなって思ってるんだけど、二人はどうなのかな?」

「え、私もラーメンが食べたいなって思ってたよ。桜さんはあっちのインスタ映えしそうなお店に行きたいって言うのかと思ってた」

「大学の友達とだったらあっちに行ってたかもしれないね。でも、ああいう店ってあんまりご飯を食べたって気にならないんだよ。本当は焼肉とかでもいいんだけど、ここで焼肉とか食べて帰ったら残ってる三人に申し訳ないって気持ちになっちゃいそうだからね」

「それは私も思ってたよ。千雪ちゃんとか愛華ちゃんは焼肉食べてきたって聞いたらしばらく文句言ってきそうなんだよね。意外とあの二人ってそう言うところで根に持つタイプだからね」

「そうなんだ。意外だね。私はてっきり政虎君が文句言ってくるのかと思ってたよ」

「たぶんそれは無いんじゃないかな。政虎ってあんまり食事に執着してないんだよね。食べられれば味は二の次って感じで、好きな食べ物とかあまりなかったみたいなんだよ。メインのおかずが一つしかなくても千雪ちゃんに欲しいって言われたらあげちゃうようなひとだからね。千雪ちゃんじゃなくてもくれるとは思うけど、多分政虎に何か頂戴って言う人はいないんだよね。私が思うに、政虎って誰かに何かを与えることに関してのハードルがめちゃめちゃ低いんだろうね。誰かに何かをあげれば自分も貰えるようになるんじゃないかって思ってるのかもしれないよ」

 そう言われてみると、政虎は唯が作ったご飯以外は欲しい人がいれば自分が食べる分を最低限を残してあげるような人だ。何でそんな感じなんだろうと長年疑問に思っていたのだが、唯の言葉を聞いて何となく納得出来そうな気もしてきた。


 買い物に夢中になっていたおかげなのか、いつの間にか昼よりも夕方が近いような時間になっていた。

 そのお陰でお店にはすんなり入ることが出来た。俺達はそれぞれ違うモノを頼んだのだが、これはみんなでシェアしようというものではなく、それぞれが本当に食べたいものを選んだ結果なのである。

 なぜか俺が頼んだお店の名前が入っているラーメンが完成するのは二人が半分くらい食べ終わった時になってからだった。このままだと俺が二人を待たせることになってしまうと思ったのだ。でも、三人の中で一番遅くきた俺のラーメンは一番最初に空になったのであった。

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