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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第八十五話 海に入らなくても楽しいことはある

 みんなが海で遊んでいるのを見ていると羨ましいなと思ってしまう事もあったけれど、こうして右近と一緒に過ごすことが出来るのでどうでもいいと思ってしまっていた。

 最初は参加する事に不安も感じていたのだけれど、いつもとは違って政虎君の視線を感じることもほとんどないのでそこは安心することが出来た。いつもであればもっと唯ちゃんが政虎君に話しかけていると思うんだけど、今回の旅行では唯ちゃんと政虎君が話しているところをほとんど見かけることも無い。その代わりなのか、千雪ちゃんが政虎君に対してやたらと距離感が近くなっているように思える。今も一緒に海に入って遊んでいるようなのだが、唯ちゃんも愛ちゃんも椅子に座って見守っているだけなのだ。

「昨日から思ってたんだけど、千雪ちゃんって政虎君とあんなに仲が良かったんだね。大学であんなに仲良さそうにしてるの見た事なかったからちょっと意外かも」

「俺も意外だよ。千雪は政虎に対して警戒している感じだったと思うんだけどな。この旅行中はなぜか積極的になってるんだよな。逆に唯が政虎と距離を取ってるように見えるんだけど、何かあったりしたのかな?」

「さあ、何も無かったと思うんだけどね。強いて言うのであれば、政虎君と千雪ちゃんが仲良すぎだから嫉妬しちゃってるってのがあるかもしれないけど、そんな事も無さそうなんだよね」

 誰が見てもこの旅行中の政虎君に対する千雪ちゃんの態度は恋する乙女そのものなのだ。そんなに関りが無い私が見るからこそそう見えているのかもしれないけど、右近もそう感じているようだし多分愛ちゃんもそう思っている事だろう。でも、唯ちゃんの態度を見ているとそういう風に思っていないようにも見えるんだよね。

 私には何もわからないけれど、千雪ちゃんと政虎君って昨日の夜に何かあったりしたのかな。そんな事は聞いたりできないけど、そうとしか思えない位今日も二人の距離感がおかしいんだよね。


 旅館の人に作ってもらったお弁当を食べている時も政虎君と千雪ちゃんは同じ椅子に二人で座って食べているし、それを見ている唯ちゃんも別に気にしているようには見えなかった。愛ちゃんも右近君も普通だった。もしかしたら、私だけが変な風に考えてしまっているのかもしれないって思い始めてしまっていた。

 朝よりも若干雲が出てきて日陰も少し増えてきていた。パラソルの下で見ている私が少し肌寒さを感じるくらいの気温になってきたので海に入って遊んでいるみんなはもう少し寒く感じているのかもしれないな。海から上がった四人はそれぞれ体をタオルで拭くと水着の上からジャージを着ていた。

「じゃあ、いったん旅館に帰って着替えないとね。千雪ちゃんと政虎は今日も神社に行ってくれるかな?」

「俺は行くよ。ちょっと確かめたいこともあるし」

「私は遠慮しておこうかな。昨日も行ったしいかなくても大丈夫だよね?」

「うん、大丈夫だよ。じゃあ、千雪ちゃんだけお留守番って事でね。何かあったらすぐに電話していいからね」

 私と右近は別に着替える必要も無かったので旅館に着いてからも特にすることも無くロビーで待つことにした。

 海にいる時もこうしてロビーにいる時も思っていたよりも会話をすることは無かった。いつもであれば何かしら話題を探して話しかけてみたりもしていたのだけれど、ずっと一緒にいるという事もあってだんだんと話題も少なくなってしまっている。テレビや映画の話なんかもしていたと思うのだけれど、ここではそう言った話題も広がったりはしないのであった。

 共通の話題はいくらでも出来ているし、この旅行中に限った話でも話したいことはたくさんあるはずなのに、そのどれもが政虎君に関する話題ばかりになってしまいそうで私は右近に話しかけることが出来なかったのだ。どうしてなのかわからないけれど、この旅行中に政虎君の話題を右近にするのは良くないように感じてしまっていたのだ。

「千雪ちゃんって体調悪くなっちゃったのかな?」

「どうなんだろうね。昨日からずっと動きっぱなしだったからさすがに疲れたのかもしれないね。二日続けて半日近く海で遊んでいたら疲労も溜まっちゃうんじゃないかな。それに、昨日は山の方にも行ってるからね」

「蛍を見に行った時はテンション高かったから何とも思わなかったけど、帰ってきたらくたくたになっててビックリしちゃった」

「俺も唯菜と一緒で思っていたよりも疲れてたかもな。そう考えると、政虎ってずっと千雪と遊んでたのに今日も元気なのって凄いよな。さすがに昨日の夜は帰って来てからすぐに寝ちゃってたけどさ、今日もずっと海に入ってたもんな。普段は家でゲームしてたり漫画読んでるだけだったのに、どこにそんな体力隠してたんだろうって思うよ」

 政虎君が活発に動いているところなんてほとんど見た事が無かったし、今回のこの旅行で意外と面倒見もいいという事がわかった。でも、そんな事を知ったからと言って私が政虎君を好きになることは無い。好きになんてなっちゃいけないんだ。

 私が好きなのは右近だけなんだからね。でも、今までずっと私の事を好きだって言っててくれた政虎君がこの旅行中に全然私の事を見てくれなくなったのはちょっとだけ気になるかもしれないな。いや、そんな事は思ってはいけない。思っちゃいけないんだ。

 蛍を見たからそんな事を考えてしまっているのかもしれない。蛍はいつ見ても良いものだと思うけど、そんな事で感情を揺さぶられたりするのなんて良くないよね。政虎君に対しても失礼な事だと思うよ。

 だけど、千雪ちゃんの政虎君に対する態度や行動はちょっと気になっちゃっているのも事実なんだよね。

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